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秘密の報告書  作者: 藤岡
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04月26日

門前の掃除中、「顔色が良くなりましたね」と声を掛けられた。

俺にチョコレートか何かを渡そうとした女信者だ。

「そうですか?」とぶっきらぼうに返す俺の隣に立ち、「彼女でも出来たんですか?」といたずらに笑う信者。

目は笑ってなどいなかった。

「出来るわけがないですよ。」なんて悲しい返事をすると、信者はなぜかとても嬉しそうな顔を俺に向ける。

彼女などという存在は必要無いと教えられた。

だがいつかは子を持った方が良いと言われ混乱した覚えがある。

その時がきたら、教祖様が俺に相応しい妻を紹介すると。

そこに愛が無くとも子は授かれると。

そう言われたからという訳では無いが、俺は彼女を欲しいと思ったことは無い。

性欲はどうする?と疑問に思う人もいるだろう。

性欲を発散するために恋人が必要か?

俺はそうは思わない。

別に腰を振らなければ死ぬわけでもないし、自己処理の仕方くらいは知っている。

性欲の捌け口が必要なら、それは恋人に限らなくても良いだろう。

どうしてもこの欲をどうにかしたいと言うのなら、今目の前にいるこの女でもいい。

でも、俺はそれをしない。

やろうと思えばいつだって襲う事くらいは出来る。

だけど、それでは満たされないだろうと思うから。

もし俺が彼女、恋人を作るとしたら、それは癒しを求めた時だろうか。

そばに居てくれるだけでいい。

綺麗事のように聞こえるかもしれないが、そう思える相手がいるという事実は素晴らしいと、俺は思う。


今の俺は、教祖様がいてくれればいい。

恋をしているというわけではない。

尊敬しているんだ。

それに、光司もいる。

俺は教祖様に救われ心を健全に保ち、光司に癒され過ごしている。

これ以上望む者はいない。


そういえば、今日話しかけてきたあの女信者は最近多くの人を連れて来たと教団員から聞いた。

全員まだ二十代だと言う。

その中でも多かったのは似たような顔をした女だそうだ。

整形をして同じ顔にしているのか?と教団員は笑っていたが、俺は興味が無い。

別に人が何をしようとどうでもいい。

だが、教団にとって悪となるならば話は変わってくる。

どこで集めてきたのかは知らないが、どうして似たような顔の女を連れてきたんだ?

たまたまか?それとも、なにか意図があるのか?

俺はなぜか引っかかってしまった。

見てもいないその集団に対して、俺は良い印象を持てなかったんだ。

教団員の話の続きで、あの信者は教団員になろうとしていると聞いた。

それに関してはあまり不思議には思わない。

信者が教団員になる事を望むのは珍しいことじゃないからだ。

教団員になる為に必要なのは信用と貢献。

教団員になる為に、信用を得るために、貢献する為に、悪事を働く奴もいる。

善悪の区別が付かなくなったそいつは、教団員になると悪一色に染まるんだ。

大体そうして教団員になったやつがやりたがる仕事といえば、指導係。

これは光司のような子に対してだけではなく、信者に対しても同じような行動をする危なっかしい存在。

指導係となったそいつは、信者をも食い荒らし協力者へ変えてしまう。

勿論、そんな行為は見過ごせない。

最後は教団員たちの手によって浄化されるんだ。

何も残らないし、何もいい事が無い。

だから、そうしてまで教団員になろうとする奴らのことを俺たちは警戒している。


この信者がもしその手のやつだと言うのなら、俺はそれを阻止したい。

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