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秘密の報告書  作者: 藤岡
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04月17日

今日は光司と一緒に門前の掃除をした。

こうして外に出るのは久々だったのだろうか。

とても嬉しそうな顔をしていた。


別の仕事がない時は一緒に過ごしているのだが、最初に聞いた通り光司は夜泣きをする。

大声で泣き叫ぶなんてことは無い。

鼻を啜り静かに涙を流しながら眠っているんだ。

時には目を覚ますこともあるが、俺の顔を見るとどこか安心したような表情をして俺に抱きついて再び眠る。

これは俺の勝手な憶測かもしれないけど。

光司は話せない。

だけど、くしゃみや咳をした時に声が漏れ出る時がある。

だから俺は思うんだ。

光司は話せないというより、話さないようにしているのでは無いか?と。

本当は声を出して話すことが出来るのではないだろうか?と。

もしその通りだと言うのなら、話さないようになった原因は教団員だろう。

俺は世話係だが、世話係の元へ来る前の期間は指導係と共に過ごすことになる。

指導係は先日も書いた通り、暴力で支配し洗脳するやつらの事だ。

光司の指導係が誰だったのかは知らないし、知らなくていい。

もしそいつが原因で今の光司になってしまったと言うのなら、俺はそいつを殺してしまうかもしれないから。


俺には教祖様がいる。

仲が良い仲間と呼べる教団員もいるし、上層部の人間達からも可愛がられている方だ。

だけど、ずっとどこか寂しかったのかもしれない。

だけど、光司と過ごすようになったこの数日、俺はあまり寂しさを感じなかった。

文字の読み書きを教えたり、一日の過ごし方を教えたり、夜更けに目を覚ました時に誰も起こさないよう二人でこっそり外の風を浴びに行ったり。

忙しいとは言えないが、心が満たされるような、充実していると言えるような生活を送れている。

光司の面倒を見なくてはならない俺は前のように協力者と接する機会が減った。

そもそも信者とすら顔を合わさないことのほうが多くなった。


俺が助けなければならないし、導いてあげなくてはならない。

だけど今は俺が助けられているし、また違った光の先へ導かれているような気分だ。


だけど俺は、光司からすれば汚く醜い大人の一人にすぎないのだろう。

より身近な存在だから、自分を守る為に従っているだけなのかもしれない。

俺の言葉を信用していないかもしれないし、勿論心なんて開いてはいないだろう。

でも今はそれでいいんだ。

むしろそうでなきゃいけないんだ。

俺みたいな人間をあてにしてはいけない。

俺みたいな大人たちの言葉を信じてはいけない。


でも、そうだな。

もしいつか光司が俺に対して少しでも心を開いてくれると言うのならば、俺はとても嬉しく思うだろう。

その時初めて俺はお前に心の底からの笑みを見せることになるだろう。

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