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秘密の報告書  作者: 藤岡
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04月15日

光司の字が読めるようになってきた。

毎日のように字の練習をしていて、それを隣で見続けていたからなのかもしれないが、最初の頃よりは読める文字になっている。


光司のような子供はごく稀にこうして俺たちの前に現れる。

俺がそういった子の世話をするのは光司が初めてだ。

世話係に選ばれる理由は知らない。

全て教祖様が決める事だから文句を言う人もいない。

大体は親を亡くした子供が来るのだけど、光司の場合は両親を教団に奪われた。

教団員が憎いだろう。勿論、俺のことも。

だけど、逆らうことが出来ないんだ。

俺の知らない約二ヶ月。

光司は大人ですら目を瞑りたくなる体験をしてきただろう。

親を求めれば、助けを求めれば、逃げ出そうとすれば、全て体罰で黙らされる。

俺はこのやり方を良くは思っていない。

だけど俺はこれを大人相手にしている。

だから、何も言えない。


痛い、ごめんなさい、やめてください

そんな言葉すらも発することが許されない。

暴行を受けた上で声を発さなくなった時、そこで初めて痛みを与えられなくなるんだ。

大人、裏切り者相手ですら心を痛める時があるのに、子供相手に同じ事をしてヘラヘラとしている教団員が存在する。

慣れだよ。

そんなことを言われた時もあったな。


それを乗り越えた子供だけがこうして連れてこられる。

教団員として教育されるんだ。

毎日のように教え込まれるんだ、世の中の仕組みを。

教祖様のいう存在がどれほど偉大なのかを。

洗脳といえば分かりやすいだろうか。

大人ですらあっさりと引っかかる者がいるんだ。

逃げ場を失った子供が助かる方法は、洗脳にかかり教団員たちの仲間になること。

どれだけの暴力に耐えようと、教団員にならないのならばゴミも同然の扱いを受ける。

そのまま殺されて終わりならまだ良かっただろう。

反抗し続けた子供が行く先は、子供を人としてなんて見ていない汚い大人たちのお遊び場。

そして大金を得ている。

この教団がこうして存在しているのは、協力者になった大人達と、無害な子供たちのおかげだ。


それでも教団員は、俺は、教祖様は間違っていないと思う。

どこかで引っ掛かったとしても、最終的には別の誰かが間違っているのだと、教祖様は悪くないのだと、そう思ってしまうんだ。

これは全ての教団員に共通する思考だろう。


光司もいずれ俺のようになるんだろう。

いや、俺のようにしなくてはならない。

それが俺に与えられた仕事だ。


だけど、なぜだろう。

俺はこの子を守りたいと思う。

何から?と聞かれれば、教団からという答えが導き出されるのだけど、これは俺が教団に対する考えが変わってきてしまった証拠だろうか?

なんだろう。よく分からないな。

ただ一つ言い切れるのは、この考えは他の教団員にバレてはいけないということ。

裏切り者に与えられる試練を俺はよく知っている。

裏切り者は人間なんかじゃない。

だから、躊躇しないんだ。

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