03月02日
今日は各地の幹部が集まった。
この拠点以外にも各地域にいくつかの拠点がある。
数ヶ月に一度こうして本拠点であるここに各国から集まって会議を開くのだ。
今回は教祖様は不在だった。
俺は幹部達に挨拶をしお茶を運んだ。
会議内容は知らない。
いつもなら一緒に話を聞くのだが、今日は呼び出された為その場に残ることが出来なかった。
俺を呼び出したのは教祖様だ。
仲間達は「よかったな」だとかなんだと言ってきたが、俺は正直なところこの呼び出しがあまり好きではない。
言葉を濁さずにいえば、嫌いだし断りたい。
だけど俺は、否定出来るような人間じゃない。
数日から数ヶ月の間で不定期に呼び出される。
浄化部屋という部屋があり、そこで浄化の水を浴びる事によって身も心も清めることが出来るのだが、俺はその浄化の水では無く教祖様直々に浄化されるのだ。
俺が向かったのは本拠点最奥に位置する教祖様の部屋。
部屋の前には数人の男が見張りとして立っている。
中に通された俺は布団の上であぐらをかき微笑む教祖様の前で正座をし頭を下げた。
自らがこの浄化を望まなくてはいけない。
普段は優しくて大好きな教祖様。
俺を育ててくれた恩人であり、俺に色々と教えてくれた人。
服を脱ぐように言われた俺は下着だけになると布団の上に座る。
背中や腹にある傷を優しく撫でる教祖様。
この傷がどうして出来たのかは覚えていない。
俺の両親のせいだということしか聞いていない。
その経緯や、どうやって付けられたのかは覚えていない。
この傷から悪い気が俺の体内に入り込むから、こうして定期的に教祖様自らが内側から清めるのだと教祖様から言われた。
だから俺はずっとこうして清めてもらっているんだ。
自分では気付けないらしい。
教祖様の目にしか見えない負のオーラというものが俺の内側から滲み出てくると、こうして呼び出されるんだ。
これは必要なのか?と疑問に思う行為も含まれるが、俺はそれを口には出さない。出せない。
この浄化は数分で終わる時もあれば数時間かかる時もある。
一番長かった時は、十三時間だ。
この間に休憩といって教祖様は何度か横になったが、その間も俺はずっと手足を拘束され、不気味な音を立て動くモノを体内に入れられていた。
俺が痛みに耐えきれず声を漏らすと教祖様はどんどん元気になっていく。
浄化するのに必要な力が漲ると言っていた。
何度も、何度も、何度も、教祖様は俺の中に浄化の水よりも強力な白濁としたものを流し込んだ。
いつも浄化が終わると頭がぼーっとする。
全身が痺れるような感覚で、力が抜ける。
それは浄化された証拠だと言われた。
ヒリヒリと痛む場所には、いつも薬を塗られた。
多少の出血が伴う場合もあるが、その時に出た血は負のオーラを含み排出されたものらしい。
だから怖がることは無い、むしろ体内から出せたことを喜びなさいと教えられた。
簡単には人に与えられることは無い特別な浄化。
多少の痛みも付き物だと教えられた。
俺にこんな傷さえなければ、教祖様の力を俺なんかの為に使わせなくても済んだのに。
今日だって大切な会議を俺なんかの為に欠席し、こうして俺の中から負のオーラを消し去ろうと奮闘してくださる。
貴重な時間を俺なんかの為に使ってくれる教祖様。
嫌だなんて、思っちゃいけないんだ。
きっと、俺の中にはまだ負のオーラが残っているのだろう。
悪い気が体を巡り蝕んでいるんだ。
どうして、こんな人間になっちゃったんだろう。




