02月27日
今日は珍しい来客があった。
門前の掃除をしていると声を掛けられ、振り返ると同じ服を着た男が二人立っていた。
なんの御用ですか?と聞くと、教祖様はいるか?と返ってきた。
用件を聞かなければ会わすことは出来ないと言うと、話が通じないやつだと言いたげな表情をした。
最近謎の失踪が相次いで報告されている事、その失踪した人物がここに通っていた事を渋々話した男と、何も言わず俺の顔をじっと見つめてくるもう一人の男。
話していた男が一枚の写真を俺に見せてきたが、俺は見覚えはあるが最近ここに来ていたのかどうかは把握していないと嘘をついた。
とりあえず上層部の人間に話をしてくるから少し待っていてくれと告げ中に入ろうとした時、今まで何も話さず人の顔を見つめていた男が口を開いた。
「あなたの名前を教えてください。」
今?と少し疑問に思ったが、俺は自分の名を告げ上層部の元へと向かった。
その後の事は俺は知らない。
上層部の人間が外に出て二人と話していたが、その会話の内容が俺の耳に届くことはなかった。
「なにか聞かれたか?」と戻ってきた上層部の人間に聞かれた俺は「話したことが全て」とまた一つ嘘をついた。
名前を聞かれた事は話さなくてもいい。
いや、話さない方がいいと思ったんだ。
男に見せられた写真に写っていたのは俺の眠りを妨げたあの男だった。
勿論鮮明に覚えている。記憶に新しい顔だ。
嘘はいずれバレる。
素直に、正直に、綺麗に生きる事が正しいとされる。
時には優しい嘘も必要だというが、俺がついた嘘は優しさの欠けらも無いただの偽りの言葉。
全てがバレた時、俺はこの世で笑えないだろう。
だけどそれでいい、教祖様の為になるのだから。
この思いは偽りなんかじゃない。
きっと、本心だ。




