02月17日
広間の方が騒がしくて目が覚めた。
顔を覗かせるとそこには数人の教団員が誰かを取り囲み声を荒らげていた。
早朝四時位だったかな。
室内だというのに白い息が出るほどの寒さだった。
何かあったのか?と教団員の一人に聞くと、どうやら協力者が脱走をしようとしたらしい。
たまにある事だ。
だから別にそれに関しては驚きはしなかった。
教団員達に囲まれ怯えていたのは一人の男。
頭を抱えるように丸まって「ごめんなさい。」を繰り返していた。
俺はもう一眠りしようと思い部屋に戻ろうとした時、背後から「お父さん」と幼い子の声が聞こえてきて思わず振り返ってしまった。
俺の目に映ったのは、細身の女と子供。
女と子供は教団員たちを掻き分け男の元へ行くと抱き着いた。
「家族だけはお助け下さい!」
子供と女を守るようにして抱く男の精一杯の叫び。
俺は知っている。
この男の末路を。
俺は知っている。
この家族の行く先を。
俺は知っている。
この光景を。
俺は知っている。
運が良ければ子供だけは助かるかもしれないという事を。
俺は知っている?
ああ、知っているよ。何人も見てきたからな。
助かった子供はどこに行った?ここにいる。
助からなかった子供や家族はどこ?空高く昇った先と言いたいが、地の底で苦しんでいるだろうな。
なぜだろう。
胸の辺りがおかしい。
ざわざわするような、ずきずきするような。
一度医者に診てもらったほうがいいのかもしれないな。




