表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【Zone STARZの物語】  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
第5章:環水公園の灯と富山第二高校の絆 —Zone STARZの夜—
61/63

第9話『結びの灯 ―富山を離れる朝―』


3日目の朝。富山市内にうっすらと霞がかかり、遠く立山連峰は幻想的にその稜線を浮かび上がらせていた。


Zone STARZの6人は、チェックアウトを終えたホテルのロビーで、それぞれの荷物を肩にかけていた。

今回はあくまで「休暇」——表向きには、かつての同級生との再会旅行。

アイドルグループ「Zone STARZ」としての身分は、ずっと伏せたまま、地元の人々とも普通の高校生の延長線のように接してきた。


だが、その“秘密”ゆえに、いっそう心に残るものもあった。


◯ 最後の立ち寄り ― 市場の朝


出発前、彼らは梨紅の勧めで、近くの朝市へ足を運ぶことになった。


場所は、新富山口駅近くにある地域の小さな公園広場。

地元の人々が手作り野菜や工芸品を並べ、互いに笑顔を交わしていた。

Zone STARZの6人はサングラスや帽子でさりげなく顔を隠しながらも、会話や表情には緩みがあった。


農家のおじさん(60代):「見かけん顔やな。旅行か?東京から?」


悌輔(やや大阪訛りで自然に):「ええ、ちょっと息抜きでな。昨日は環水公園でええもん見ましてん。」


おじさん:「ああ、あの野外の映像イベントか? うちの孫がめっちゃ喜んどったわ。“Zone STARZってアイドルすごかった”てな。」


メンバーたちは視線を交わしながら、あくまで観客としての立場を崩さずに微笑んだ。


承太郎さりげなく:「映像越しでも、音楽って伝わるもんなんですね。」


東助(トマトを見て):「うわ、これ瑞々しいなぁ。めっちゃうまそう。」


おじさん:「持ってけ持ってけ、サービスや! 学生さんはよ食べて、よう学んで、また遊びに来てな。」


光莉:「…富山の人って、ほんとあったかいな。」


その横で、玜介はふと、誰にも聞かれぬように呟いた。


玜介:「俺たちのこと、たぶん薄々気づいてる人もいるかもな。でも——」


光莉(微笑んで):「それでも“普通の人”として接してくれる。それが、ここなんだよ。」



◯ 新富山口駅 ― 出発の時


駅に到着すると、すでに梨紅と美香が待っていた。

二人はZone STARZのことを知る数少ない地元の理解者だったが、他言せず、あくまで「同級生との再会」として今回の滞在を共にしてくれた。


梨紅:「……ほんとに帰るんだな。」


美香:「もっと一緒にいたかったのに……。」


承太郎(笑いながらも柔らかく):「また来るよ。今度は、もっと派手に遊ぼうぜ。」


悌輔:「せやせや。次は、寒ブリの季節にな。」


東助:「あったかいおでん食べながら、また富山の夜を語ろうや。」


光莉(涙ぐみながら):「美香ちゃん、連絡先、これ……彩香さんにも渡してね。」


美香(目を潤ませながら):「うん。絶対、忘れない。」


玜介(静かに):「君が信じた人たちなら、俺も信じられるよ。」


梨紅は少し寂しげに笑ってから、ふっと真剣な表情になった。


梨紅:「……正直、Zone STARZって知った時、びっくりした。でも、話して、歩いて、笑って……“ああ、やっぱりあの頃の仲間だ”って思えた。」


光莉(小さく):「それが一番、嬉しいよ。」


梨紅(手を差し出して):「また富山に来いよ?“Zone STARZ”としてでも、“光莉”としてでもいい。絶対、だぞ。」



◯ ホーム


アナウンスが響き、新幹線がホームに滑り込んでくる。

車体の白が、朝の光を反射してまぶしいほどだった。


改札を抜け、6人は振り返り、富山の空を見上げた。

過ごした時間のすべてが、まるで昨日の夢のように胸を締めつける。


承太郎:「梨紅、美香……ありがとな。」


悌輔:「また、ふらっと帰って来るで。」


東助:「富山の風、忘れへんよ。」


光莉:「美香ちゃん……必ず、また。」


玜介:「この町の静けさ、言葉じゃ言えん宝だ。」


手を振り、ゆっくりと動き出す車体。

光莉は、窓の向こうで小さく手を振る美香の姿を、しばらく見つめていた。


そして、胸の奥でそっと呟いた。


光莉(心の声):「いつかまた、“Zone STARZ”じゃなく、“私”として会いに行けたら…そんな日が、きっと来るって、信じてる。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ