第6話『休息のひととき ― スクリーンLIVE前日譚 ―』
富山の空は、冬とは思えないほど柔らかく澄んでいた。灰青色の雲がゆるやかに流れ、どこか夢の続きを見ているような、そんな穏やかな朝だった。
Zone STARZの6人は、2日後に控える富岩運河環水公園でのスクリーンLIVEを前に、この日は完全な「オフ」として、久々に自由な時間を過ごすことにしていた。
午前11時。彼らは宿泊先の「天然温泉 剱の湯 御宿 野乃」を出発し、徒歩で富山城址公園へ向かう。白壁と石垣が映える富山城の姿を見上げながら、冬の陽射しを背に受けて歩く姿は、芸能人とは思えないほど自然体だった。帽子とマスクで身を隠しつつも、誰よりも旅人らしい穏やかな表情を見せていた。
公園内の芝生広場では、6人が横一列に寝転び、冬の空を見上げていた。通りすがる親子やカップルが気づくこともなく、彼らだけの静かな時間が流れていた。
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光莉(hikari)「ここのお堀、すごく綺麗…水鏡みたい。空が逆さに映ってる。」
悌輔(Teeth)「昔は城なんて興味なかったけど、こういう静かな時間にふれると、渋さがわかるようになってきたな。」
東助(FOX)「ここ、春になったら桜すごいんやろな。ライブと重なったらええ景色になりそうや。」
蜜介(CHAM)「観光地の空気って、時間の流れがゆっくりになるよね。都会と全然違う。」
玜介(KOUH)「こうやって地べたに寝転ぶのって、いつ以来だろうな…子供の頃みたいで、ちょっと照れるけど。」
承太郎(JOH)「こんな日があるから、次に進めるのかもしれないな…“無”になる時間って、大事だ。」
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昼過ぎ、6人は公園をあとにして、近くのカフェ「城下町珈琲」へ。どこかレトロで落ち着いた雰囲気の店内で、それぞれが好みのスイーツとドリンクを注文。
光莉は、苺のミルフィーユを見て一瞬、目を輝かせた。
光莉「…これ、かわいすぎて食べられない……って、食べるけど!」
玜介は抹茶ラテとふわふわのスフレパンケーキを前に、スマホで写真を撮っていた。
玜介「このパンケーキ、まじで厚い…。3枚重ねとか、テンション上がるわ。」
他のメンバーもゆっくりとコーヒーを飲みながら、時折笑い声を交え、しばしの休息を楽しんだ。
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午後は、それぞれが自由行動に。
東助と承太郎は「文苑堂 富山駅前店」へ立ち寄り、新刊の小説や地元の歴史本、音楽雑誌を見て回った。2人の会話は書店の片隅で静かに交わされていた。
悌輔は富山の伝統文化に惹かれ、「池田屋安兵衛商店」や薬売りの資料館を訪れ、富山の“薬文化”にふれる。薬草の匂いと木の香りが交じった空間で、彼は思わず「ええ匂いやな」とつぶやいた。
光莉と玜介は高志の国文学館と富山ガラス美術館を訪れ、富山ゆかりの作家たちの直筆原稿や、光にきらめくガラス作品に見入っていた。
光莉「物語を“書く人”の想いって、伝わってくるよね。読む側としても背筋伸びる…。」
蜜介はひとり、総曲輪通りや大和富山店、マルートを巡り、家族やスタッフへのお土産を丁寧に選んでいた。味噌や昆布、白エビの煎餅、そして自分用にと小さな「富山ブラックラーメン」のカップ麺を3つほど手に取った。
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日が暮れる頃、メンバーたちは再び合流し、環水公園の近くにあるイタリアンレストラン「La Campagna」でディナータイムに入った。
ホタルイカのペペロンチーノや、白エビとバジルのリゾット、加賀野菜のグリルなど、富山の食材を活かした料理がテーブルに並び、自然と話も弾む。
承太郎「やっぱり、旅先で地元のもの食べるのって一番やな。エネルギーがそのまま体に入ってく感じ。」
東助「こういう時間があるから、またライブで全力出せるって気がする。」
光莉「明日はしっかり準備して、明後日――みんなに最高の時間、届けようね。」
メンバーたちは頷きながら、静かにグラスを合わせた。
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食後は、夜景の映える公園沿いを歩きながら、富岩運河沿いにたたずむ「スターバックス 富山環水公園店」へと再び足を運んだ。
湖面に映るカフェの光、そしてライトアップされた天門橋が夜の空に浮かび上がる。
ホットドリンクを手に、それぞれが言葉少なに、夜景を見つめる。
玜介「……この場所、なんか、また来たくなるな。」
光莉「うん。記憶の中でずっと光っててほしい場所、っていう感じ。」
冷たい空気の中、6人のシルエットは静かに寄り添いながら、ライブ当日への想いを胸に刻んでいた――。




