第5.5話『日常という名の余韻 ― 原点への帰還 ―』
【※これは全員がZone STARZのメンバーだと正体を明かした時の話 】
(この話は公になってる設定です)
Scene 1:富山第二高校・朝の昇降口前
スクリーンLIVEから一夜明けた朝。
富山の空は淡く晴れており、ほんのり白い雲が春の風に押されてゆっくりと流れていた。
Zone STARZのメンバーたちは、それぞれの登校スタイルで富山第二高校の正門をくぐる。制服の上に羽織る上着も、どこか「普通の学生」の一面を際立たせていた。
生徒たちはざわめいていた。前日の公演を思い出し、あちこちで話が弾んでいる。
「昨日のhikariさんのソロ、鳥肌だった…」
「悌輔さんのラップ、LIVEで聴くと全然違うね」
「えっ、環水公園でのステージって本物だったの⁉︎ ニュースにも出てたよ!」
その騒ぎの中心にいたのは、美香だった。
「Zone STARZって、あの美香の知り合いらしいよ?」
「えっ⁉︎マジで⁉︎ あの美香⁉︎」
「やば…もっと話しとけばよかった!」
美香は困ったように笑いながら、「いやいや、そんな…」と手を振って否定するが、口元にはどこか誇らしげな微笑みがあった。
その時――
「おはよう、美香」
光莉が声をかけてくる。制服姿のまま、にこやかに。
「うわっ…本当に来てる…!」
誰かがそう呟いた瞬間、生徒たちの視線が一斉に彼女たちへと集まる。
続いて、悌輔・東助・蜜介・承太郎・玜介も昇降口に到着。まるで映画のワンシーンのように、Zone STARZの6人が並ぶと、周囲の空気が一変した。
佳菜子先生がやってきて、苦笑いしながら言った。
「まさか、本当に全員登校してくるなんて思ってなかったわ。教室、ちょっとした騒ぎよ?」
Scene 2:教室
教室では、生徒たちが彼らを囲むように質問攻め。
「LIVE中、泣いてたでしょ?」
「次の公演、どこですか!?」
「サインください!家族に見せたい!」
Zone STARZのメンバーは照れくさそうに笑いながらも、全員が丁寧に応じていた。
東助は「次はまだ秘密やけど、富山よりアツくするで」と軽くウィンクを飛ばし、女生徒たちがざわつく。
蜜介は一歩引いたところで美香に話しかける。
「昨日のLIVE…やっぱり、君がきっかけだったんだね」
「…え?」
「梨紅さんから聞いたよ。“Zone STARZのきっかけをくれたのが、美香ちゃんだった”って」
美香は目を丸くしてから、ゆっくりと微笑んだ。
「……そう言ってもらえるのは、ちょっと照れるけど……ありがとう」
Scene 3:昼休み・中庭
Zone STARZの6人は中庭のベンチに腰掛けて、おにぎりや購買のパンを頬張っていた。
玜介「やっぱ、ここの唐揚げパン最強やな」
光莉「この学校、ほんと落ち着くよね。地元ってやっぱ違う」
悌輔「芸能やってても、こういう時間がないとバランス崩れるわ」
承太郎「ステージの上より、こういう日常の中にいると自分が見えるよね」
東助がスマホで、昨日のライブ映像がネットで拡散されているのを見せる。
「見てみ。全国ニュースになっとる。『Zone STARZ、富山で異例の無料スクリーンLIVE』って」
蜜介「けど、そこに“美香の名前”は出てへんのが、またええんよな」
光莉「きっかけをくれた人の名前は、自分たちの心の中だけにあればいいってこと?」
蜜介「そう。それが“感謝”ってやつや」
一同、頷く。
Scene 4:放課後・校舎屋上
夕焼けが富山の街並みを赤く染める頃、Zone STARZの6人は屋上に上がっていた。
遠くには富山城の天守が、夕日に照らされて黄金色に輝いている。
光莉「……明日にはまた、東京に戻るんだね」
東助「そうやな。でも、なんか“帰る場所”ができた気がするわ」
悌輔「いつかまた、ここに戻って来ようや」
玜介「“Zone STARZ”が、どれだけ変わっても、この景色だけは変わらんからな」
蜜介「じゃあ、次に来るときは…もうちょっとだけ、地元に恩返しできる形で戻ってこよう」
承太郎「うん。次のステージがどこだろうと、“心”だけは、ここに置いていこう」
その言葉に、誰もが静かに頷く。
赤く染まる空の下、Zone STARZの6人は富山第二高校の屋上で、しばし無言の時間を共有していた。
その沈黙は、言葉よりも深く――
確かに彼らの胸に、“帰る場所”としての富山が刻まれたことを示していた。




