第5話『普段の活動姿に戻る』
――Zone STARZ LIVE後、富山第二高校にて
Scene 1:富山第二高校・登校の朝
朝の空気にはまだ、あの夜の余韻が漂っていた。
富山第二高校の校門前、制服に身を包んだ生徒たちが口々に興奮を語り合っている。
川本鏡花「ねえねえ、あのhikariさんのソロパート、見た? ちょっと涙浮かべてたよね。ヤバすぎて…私まで泣きそうだった。」
真中球児「俺さ、あんなに全力で声出したの、人生初かも。マジで喉やられた。」
小野瀬梨華「てか、グッズもっと買えばよかったよー。パンフだけじゃ物足りない…Tシャツとか欲しかったのに完売とか、早すぎ!」
**曾根智恵子**は、美香を見つけると駆け寄ってくる。
智恵子「ねえ美香、あんたホントすごいよ…Zone STARZの人たちと知り合いだったなんて。マジで“富山のシンデレラ”だよ。」
美香は恥ずかしそうに小さく首を振りながら、控えめに笑った。
美香「ううん、そんな大げさなことじゃないよ。私はただ…お願いしただけ。でも、来てくれて本当に嬉しかった。」
朝の光に包まれた校門。その奥から、軽快な声が響く。
佳菜子先生(村留佳菜子)「おーい、みんな~!教室戻って、ホームルーム始めるわよ~。」
生徒たちは「はーい」と返事をしながら、名残惜しそうに話を切り上げ、それぞれの教室へと戻っていった。
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Scene 2:放課後・テニス部部室
夕方、日が傾く頃。
テニス部の部室では、ラケットやシューズを整える音が静かに響く。
美香は黙ってラケットを磨いていた。
表情は落ち着いているが、内心ではあのLIVEの記憶がまだ鮮明に残っていた。
ふと、机の上に置いたZone STARZの缶バッジに目を落とす。
ピンクの文字で「Zone STARZ」と書かれたその小さな缶バッジは、まるで胸の奥に残った熱を代弁するかのように輝いていた。
そこに部員の声が聞こえた。
芦屋真琴「ねぇ美香、あのLIVE…うちのお姉ちゃん、ガチで泣いてたよ。“こんなグループ富山に来てくれるなんて奇跡!”って。」
渡瀬真未鶴「あんな有名な人たちが、顔隠して来るなんてさ…もう異次元だったよ。何者なの、あのメンバー。」
美香(微笑みながら)「本当だよね…でも、あれ、夢じゃなかったんだよね。ちゃんと現実だった。」
部屋の窓から見える校庭では、野球部の掛け声が風に乗って聞こえてくる。
日常に戻ったようでいて、どこか違う――
Zone STARZの存在が、この日常に光を落としたことだけは確かだった。
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Scene 3:龍雷神家・夜
夜。
龍雷神家のリビングでは、馨が夕食のテーブルを囲みながら温かいご飯をよそっていた。
ステーキ、味噌汁、そして美香の好きな出汁巻き玉子が食卓に並んでいる。
馨「あの人たち、テレビで見るのと違って、すごく感じのいい人たちだったね。ちゃんと挨拶もできて、礼儀もあって…あんな人たちが芸能界にいるなんて、ちょっと驚いたよ。」
敏幸「ただの芸能人じゃなくて、全員それぞれちゃんとした職業持っとるんやろ? 医師や弁護士、公認会計士に歯科医師って…普通じゃ考えられんわ。」
美香「うん、光莉さんも…優しくて。いろんな話、聞いてくれた。」
そう言った美香の瞳は、遠くを見ていた。
Zone STARZの輝きは、ただの一夜限りのステージではなかった。
彼らが富山に残したのは“夢の破片”ではなく、“夢の種”。
美香(心の中)「私も…誰かのために、何かを届けられる人になれたら――。」
静かな夜、部屋の片隅に置かれた缶バッジが月の光を受けて、淡く光った。
Scene 4:富山駅周辺・某日
数日後――
Zone STARZのメンバーは梨紅に連絡し、再び富山市内で合流していた。
梨紅「ここなんです。吟魚ってお店。」
(住所:富山市新富町2丁目1-3)
メンバーたちが入口をくぐると、暖簾が風に揺れた。
店員(女性)「いらっしゃいませ。何名様ですか?」
梨紅「6人と学生1人です。」
その店員がふと顔を上げて、目を丸くした。
店員「…あれ? 梨紅さん?」
梨紅「宮下さん?」
旧友の再会だった。
典子「梨紅さん、相変わらず変わってないねんな。」
梨紅「宮下さんこそ。バレーは?」
典子「もうやめた。今はここで働いてる。」
光莉「もしかして…彼女ってGRT48グループの?」
典子「(笑いながら)それはもう昔の話です。」
悌輔「確か、宮下って苗字…」
東助「虹来ちゃんのお姉さん?」
悌輔&東助「GRT48・teamTの、あの虹来ちゃんのお姉さんだ!」
そこへ厨房から日菜佳が現れた。
日菜佳「なんか材料、足りませんか?」
ふと、目の前の人物に気づいて目を見開く。
日菜佳「あ、美香ちゃん!」
美香「日菜佳ちゃん!なんでこんな所に⁉︎」
日菜佳「いや、私の方こそびっくりだよ!」
美香「一緒に飲みに来たんだよ。お酒じゃなくてジュースだけど。」
光莉「日菜佳ちゃんって言うんだね。上の名前は?」
日菜佳「河合です。河合日菜佳と申します。」(お辞儀)
承太郎はその名前に反応する。
承太郎「もしかして…違ってたらごめん。お姉さんが陽毬さんで、女優兼声優、そして経営者? 妹さんは苑香さん、現役グラビアアイドルですよね?」
日菜佳「…知ってるんですか⁉︎」
東助「承太郎さん、その…陽毬さんと苑香さんって…」
承太郎「2人とも(株)龍雷神と契約してるタレントです。」
日菜佳「そうなんですね…びっくりしました。」
蜜介「世間って狭いんですね。」
梨紅「ほんと、そうですね。」
一行は席に案内され、テーブルには付き出しの海苔が出される。
海苔には「今宵は吟魚日和でござる」と筆文字で書かれていた。
注文した料理(吟魚名物):
1.フグの白子ポン酢
2.寒鰤のお造り
3.ゲンゲの唐揚げ
4.100円あら煮
5.のどぐろ白焼き
6.蟹クリームコロッケ
7.おじゃこのポテトサラダ&手造りポテトサラダ
8.ローストビーフ&鳥の唐揚げ
9.鯵の黒酢南蛮
10.3貫おすすめ握り
東助「地元の味って、ほんと贅沢やな。」
悌輔「お湯とご飯がいいと、ついつい長居しそうになるな…」
夕方――
メンバーは再び環水公園でコーヒーを飲みながら、今後の活動について話し合っていた。
承太郎「次の地方公演、どこにする?」
蜜介「美香ちゃんの影響で、次も学生絡めてもいいかもな。」
光莉「“Zone STARZ”って名前、ちゃんと意味があるって、富山で改めて感じたよ。」
玜介「初心に戻るって大事やな。」
梨紅「できたら、明日か明後日に富岩運河環水公園の野外劇場でスクリーンLIVEやってもらえませんか?
明日はゆっくり休んで、明後日もう一回お願いできると嬉しいんです。黄金さんにもお願い伝えますね。」
承太郎「まず、公園管理部に電話しないとですね。
それから社長に相談してみます。」
梨紅「お願いします。」
6人は静かにうなずきながら、夕暮れの富山の夜景を見つめていた――。
Scene 5:富山第二高校・屋上にて(数日後)
富山市某日――
Zone STARZのメンバーは、富山での再会と短い滞在を終え、梨紅から提案された“とある場所”へと足を運ぶことにした。
それは、彼らの思い出の一つ――
**「富山第二高校」**の屋上だった。
放課後、夕暮れ前の校舎。
梨紅と美香の案内で、6人は校内へと静かに入った。すでに校長の許可と、生徒会の手配も済んでいる。
エレベーターではなく、あえて階段を使って屋上へ向かう一行。
屋上の扉を開けると、心地よい風が吹き抜けた。眼下に広がるのは、どこか懐かしい富山の街並み。
梨紅「ここ…この場所で、わたし、初めて歌ったんです。」
光莉「ここが…?」
梨紅「放課後、誰もいない時に、1人で歌ってた。そしたら、美香が来てくれて…それが始まりだった。」
美香「本当にきれいな声だったんだよ。」
悌輔「青春って感じやな…。」
そこに、制服姿の日菜佳が現れる。
日菜佳「ご案内、遅れました。」
東助「河合さん、ありがとう。」
日菜佳「…ここ、卒業生にとっても特別な場所なんです。」
美香「屋上、普段は立ち入り禁止なんだけど、今日は特別にって。」
承太郎「ありがたいな…青春ってやつ、少し味わわせてもらいますか。」
蜜介「今もここで誰かが夢を見てるんやろうな。」
玜介「それ、ええな。」
Zone STARZの6人は、富山の風を感じながら、屋上でしばらく時間を過ごした。
空は次第にオレンジから群青へ――
光莉はふと、スマホのカメラを取り出し、風に揺れる校舎とメンバーたちを静かに撮った。
その写真には、懐かしさと今の絆が、確かに写っていた。
梨紅「本当は…この屋上で、またライブやりたいんです。今度は…みんなと一緒に。」
東助「やるか。富山第二高校での“非公開ライブ”。」
承太郎「“秘密のステージ”ってタイトル、しっくりくるね。」
悌輔「悪くないな…むしろ最高や。」
光莉「この場所からまた始まるって、素敵だと思う。」
蜜介「決まりやな。次のステージは…ここや。」
Zone STARZは静かにうなずき合い、富山の空の下で新たな決意を胸に刻んだ――。




