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【Zone STARZの物語】  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
第4章:響け、47の旋律(しらべ)~ 沈黙の交響曲(サイレントシンフォニー) ~
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第8話 「―それぞれの一週間―」



Zone STARZ、ツアー後の休止期間は残り一週間。

再始動に向けた会議やリハーサルが始まるその日まで――

彼らは「本業」と呼ばれる、もうひとつの現場に心血を注いでいた。


それは、ステージ上の煌びやかさとは真逆の、地道で過酷な世界。

だが彼らは、この現実を避けることなく、自ら選んだ道を真っ直ぐに歩いていた。



◆森下玜介(KOUH)―救命の隙間に音楽を思う


ERの待機室、夜勤明けの薄明かり。


血まみれの手袋を外し、手を洗う音だけが響く。

朦朧とした意識の中でも、森下はひとつひとつの命に向き合っていた。


「搬送6件、手術2件、あとICU引き継ぎやな……」


仮眠室に戻ってソファに沈む。天井を見つめながら、ふと思う。


――あと一週間でZone STARZが再始動か。

「また歌えるんやな」


瞼を閉じた瞬間、ツアー最終日のステージの光が蘇る。


ナースの光莉がそっと毛布をかける。


「寝れる時に寝とき。今は命が相手やけど、もうすぐまた、心が相手やもんな」


彼は眠りに落ちる。再び“歌う医者”に戻る日のために。



◆孤咲東助(FOX)―証拠と闘う日々


東京地方裁判所。弁論の静けさの中、孤咲東助の声が響く。


「この証人の証言は信頼に足りません。なぜなら――」


情熱も怒りも抑えて、冷静に、緻密に。

彼の言葉は法の矛として鋭く、盾としても強い。


休憩中、彼は裁判資料を抱えたままベンチに腰を下ろす。


スマホに届いたZone STARZのライブ写真を眺めて小さく笑った。


「まだ……こっちの世界が終わってへん」


彼にとっては、音楽も、法も――弱き者のための武器だ。



◆仲間蜜介(CHAM)―金と信頼を守る者


「仕訳の修正、ここ。あと法人税、締切近いからな」


会計事務所では、仲間蜜介がスタッフに的確な指示を飛ばしていた。

税務署とのやり取り、経営者との電話。神経をすり減らす仕事が続く。


部屋の片隅に、Zone STARZの金色のツアー衣装の布が飾ってある。

それを一瞬だけ見て、蜜介は眼鏡を直した。


「俺がこっちで守ってんのは、数字やなくて信用や」


そしてまた、帳簿へと視線を戻す。静かに、正確に。



◆園川悌輔(Teeth)―口腔から未来を変える


町の小さな歯科医院。子どもが泣きながら診察台に座っている。


「大丈夫や。痛ないようにやるから、一緒にがんばろな」


園川悌輔の手は穏やかで、表情は優しい。

音楽では熱い炎だが、ここでは安心をくれる灯火。


終業後、彼は地域の歯科衛生講習会に講師として登壇していた。


「健康な歯は、未来への投資やで。音楽も、医療も、人を笑顔にするもんや」


拍手が起こる中、彼の瞳はどこか遠くを見つめていた。


「……そろそろ、またマイク持ちたなってきたわ」



◆森下光莉(Hikari)―小さな命に、静かな祈りを


婦人科病棟。出産直後の新生児を抱き、母親が涙を浮かべている。


光莉は優しく微笑んだ。


「がんばりましたね。おめでとうございます」


彼女の手は、命の誕生を祝福する神聖な手。

一つの生命を見届け、見守り、また次へと歩き出す。


休憩室ではZone STARZの音源が小さく流れていた。


「この音楽、ほんまに癒しやね」


同僚ナースのその言葉に、光莉は微笑む。


私は小声で誰も聞こえない様に…

「……私も、その一部なんやって、誇らしいんです」


と呟いた



◆城戸承太郎(JOH)―すべての歯車を整える者


(株)龍雷神のオフィス。スケジュール管理、予算編成、各方面への調整。

メンバーがそれぞれの現場にいる今、城戸承太郎は誰よりも忙しかった。


「再始動に向けて、全員の準備が完了するまで、俺が全部整える」


パソコンに映るメンバーのスケジュール表を眺めながら、呟く。


「……でも、会いたいな。みんなに。あの音が、あの光が、もう恋しい」


ふと、メンバーの動画を見返す。ステージの笑顔がそこにあった。


「よし、あと一週間。俺もギア上げてくぞ」



それぞれの仕事、それぞれの責任


華やかなスポットライトの裏で、彼らは誰よりも地に足をつけて働いていた。

救う命、守る信頼、整える未来――彼らがZone STARZであることに、何一つ無駄なものなどない。


そして、一週間後。


再び光が彼らを照らす時、そこにはひとまわり強くなったZone STARZがいるだろう。


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