第4話「古都の鼓動、未来への響き」 ― 近畿地方編 ―
――ZoneSTARZ 47都道府県LIVE TOUR in 関西――
中部地方の旅から2ヶ月。彼らは一時、それぞれの本業や家庭へと戻っていた。悌輔は珠莉と過ごす時間を取り戻し、玜介は医療の現場へ、蜜介は静かに診察室へ、承太郎は再び数字と格闘し、光莉は看護の現場で人に寄り添い、そして東助は京都で家族のもとへ――。
その間もメンバー同士の絆は絶えなかった。連絡はこまめに取り合い、次なる目的地「近畿地方」への想いをそれぞれ胸に熟成させていた。そしていま、春の気配が漂い始める京都で、再びZoneSTARZが集結した。
中部地方での2ヶ月に及ぶ旅路と経験を経て、ZoneSTARZの6人は次なる舞台・近畿地方へと向かった。ツアーの再始動を告げる場所は、孤咲東助の故郷、京都府。古都の空気を胸いっぱいに吸い込みながら、彼らの物語は新たな章へと進んでいく。
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京都府 ― 静寂に宿る強さ
「おかえり、東助くん」
そう微笑んだのは、東助の母だった。早朝、6人は東助の実家に訪れ、和やかな空気の中で茶を囲む。母の淹れた煎茶は香り高く、季節の和菓子がテーブルに並べられた。両親には「大学時代の友人」として紹介され、ZoneSTARZの活動や正体はあくまで内密に――この家には、“静かな誇り”が流れていた。
東助の父は、古美術を扱う仕事をしており、蔵にある巻物や屏風を静かに紹介してくれた。「この文様、音と似ていると思わないか?」と彼が指差したのは、規則と余白が美しく共存する和柄だった。
昼を過ぎて、6人は京都の名所を巡る。
金閣寺の黄金に包まれた静寂に息を呑み、清水寺の舞台から見下ろす景色にしばし見入る。そして伏見稲荷神社では、果てしなく続く千本鳥居の中を歩きながら、光莉がぽつりと呟いた。
「音も、願いも、こうして幾重にも重なっていくのね」
その後、紫野今宮町へと移動。『かざりや』で香ばしいあぶり餅を人数分購入し、すぐ隣の『一和』でも同様に全員分を。光莉が黄金社長と妻の彩香、事務所スタッフへのお土産も買おうと提案すると、承太郎が「俺が払うから心配いらない」と頼もしく言った。仲間としての絆が、こんな何気ないやりとりに宿っていた。
夜、島津アリーナ京都では、恒例の“スクリーンLIVE”を開催。観客は彼らの正体を知らないが、ステージの熱と映像演出に魅了され、拍手が幾重にも重なった。音と光の魔法が、古都の夜に鮮やかに咲いた。
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大阪府 ― 雑踏に咲く情熱
「次は大阪。…道頓堀、また今度な」
通天閣や新世界、北新地など、観光名所は多いが今回は時間の都合で断念。その代わり、大阪城に足を運び、豊臣秀吉が築いた城の歴史を感じながら散策した。
名物の串カツを前に、「二度付け禁止!」と叫びながら笑い合い、お好み焼き、たこ焼き、ネギ焼き、イカ焼きと続々に食を堪能。甘いものも忘れず、モンシェールの堂島ロール、千鳥屋宗家のみたらし小餅、茜丸本舗の五色どら焼きもお土産に。
夜、大阪城公園でのスクリーンLIVE。広々とした芝生広場に特設されたスクリーンの前で、音と光が広がる。都会の喧騒に負けない熱量で歌い上げる6人に、観客の声援が響き渡った。
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三重県 ― 優しき波と風と
翌日、三重県へ。伊勢市ではてこねずしと伊勢うどんを昼食に。柔らかく太いうどんに甘めの出汁が絡み、笑顔が広がる。「これはこれでクセになるな」と悌輔が言えば、蜜介も頷く。
午後からはナガシマスパーランドへ。遊園地のエリアでアトラクションをひとしきり楽しんだ後、隣接のホールでスクリーンLIVE。観客は歓声を上げて応え、夜のイルミネーションが盛り上がりをさらに加速させた。
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滋賀県 ― 湖面に映る誠実さ
琵琶湖畔の静けさの中、「じゅんじゅん」と呼ばれるすき焼き風の郷土鍋と、贅沢な近江牛に舌鼓を打つ。彦根城ではひこにゃんと6人で記念撮影。「癒されるなぁ」と承太郎がつぶやき、他のメンバーも和む。
運営側と細かく交渉し、金亀公園でスクリーンLIVEの開催が許可される。市民の前で披露された歌と映像に、子どもから高齢者までが笑顔で応えた。
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兵庫県 ― 城と海と星の下で
明石焼き(卵焼き)のふわふわした食感に、「たこ焼きとはまた違うやな」と玜介が語る。イカナゴの釘煮は「名前のクセがすごいけど、うまい」と東助が笑う。
姫路城では特別に許可を得て、城内最上階から夜景を眺めた。「まるでこの町の灯りが音楽みたいだ」と光莉がつぶやき、悌輔が頷く。
姫路城公園でのスクリーンLIVEでは、観客の熱量がステージを揺らすほどに。風に揺れる城のシルエットが、歴史と未来をつなぐ橋となった。
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奈良県 ― 静寂の中のざわめき
奈良では柿の葉寿司と奈良のっぺを食べる。「素朴で、優しい味やな」と蜜介がぽつり。
奈良公園で鹿と触れ合うが、外国人観光客の心ない行動や動画配信者の様子に、6人はそっと離れた。その後、東大寺、春日大社、法隆寺を静かに参拝し、LIVEは行わなかったが、心に深く刻まれる時間だった。
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和歌山県 ― 締めくくりの一杯
旅の最後は和歌山。名物・和歌山ラーメンを堪能し、スープを一口すすって「この締め、最高やな」と悌輔が言う。
LIVEは行わず、旅の余韻を噛み締めるように和歌山の海を静かに眺め、次の目的地を見据えた。




