表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【Zone STARZの物語】  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
第4章:響け、47の旋律(しらべ)~ 沈黙の交響曲(サイレントシンフォニー) ~
38/63

第2話「都市の熱、心の輪郭」- 関東編 -




「ただいま、って感じだな」

舞台袖でぽつりと呟いた諒真に、東助が静かに笑う。

ZoneSTARZは、満員の東京ドームを前に、心を一つにしてステージへと足を踏み出した。


火花のような歓声が一斉に沸き上がる。揺れる光、響く音。都市の夜を貫くような演奏が、巨大なドームを震わせた。

この場所で何度も立ってきた。だが、今日の光景は初めて見るような鮮烈さがある。ZoneSTARZが紡ぐ言葉と旋律は、確かにこの東京の空へと吸い込まれていった。


翌朝、6人はひとときの緊張を解くように、黄金社長の事務所へと挨拶に向かっていた。

「いっつもすまんなぁ。おまえらの顔見たら元気出るわ」

そう言って笑う社長の背中は変わらず大きく、6人の誰もが深く頭を下げた。



東京を後にして向かったのは茨城県。

まずは国営ひたち海浜公園のネモフィラ畑を眺め、広がる空と海のコントラストに息を呑む。続いて偕楽園では、光莉が庭園の造形に目を細めた。

「ここ、緻密に計算された“余白”がある。音と一緒ですわね」

その一言に、他のメンバーも静かに頷いた。


袋田の滝の迫力に見入ったあと、彼らは茨城の味覚を味わう。

水戸納豆の深い旨味、干し芋の甘さ、あんこう鍋の濃厚な風味。常陸牛の霜降りのとろける舌触りに、メロンの瑞々しさまで。

「これ、全員分買っとくか。東京帰ったら配るぞ」

玜介が言えば、「食う前に撮れよ、全部な」と承太郎が笑った。


夜にはLIVEが行われ、茨城の澄んだ夜空にZoneSTARZの音が溶けていった。



次は栃木県。耳うどんの独特な食感に驚き、佐野ラーメンのあっさりしたスープに心をほどく。足利焼売はじゅわっと肉汁があふれ、芋フライはおやつにぴったりだ。

日光東照宮では、彫刻の精緻さに6人全員が見入る。

「“見ざる、言わざる、聞かざる”…深いっすね」と悌輔が呟けば、蜜介が黙って写真を撮っていた。


那須高原の風は涼しく、あしかがフラワーパークでは満開の藤がライトアップされていた。

その夜、ZoneSTARZは幻想的な屋外ステージでLIVEを行った。紫の花が揺れる中で歌う姿は、まるで夢のようだった。



群馬県では草津温泉に宿をとった。

6人そろって長湯に浸かる湯煙の中、悌輔と蜜介、東助、承太郎と玜介に光莉はタオルを身体に巻いて湯に沈む。

語らずとも、心がゆるやかに結び直されていく時間だった。


その後、上州和牛の焼肉、下仁田ネギと椎茸の煮物、おっきりこみの温かい味に舌鼓を打ち、地元の職人による伝統工芸品を見学。

車に乗り込むとき、光莉が手にしていたのは、手織りの絹の小さな巾着だった。


LIVEは高崎の夜景を背に。ZoneSTARZの力強い音が、未来を照らす光となって響いていた。



埼玉県では川越の「時の鐘」で鐘の音を聞き、秩父の羊山公園で芝桜を堪能。

味噌ポテト、行田フライ、草加せんべい、川越いも、そして深谷ネギ――全員が口いっぱいに笑顔を咲かせる。

「ここのはお土産にするっきゃねぇな」承太郎がまとめて購入し、人数分を丁寧に袋詰めしていた。


LIVEは大宮で行われた。彼らの故郷からも近いこの場所で、観客の拍手はとても温かく、懐かしさすら感じさせるものだった。



そして千葉県――東京ディズニーリゾート。

一般公演とは異なる“音楽の魔法”として、ZoneSTARZは姿を隠してステージに立った。仮面と衣装に身を包み、正体を明かさずに2日間のLIVEを敢行。

まるで夢の中で歌っているような時間。誰にも気づかれないからこそ、届けられる音楽があった。



神奈川県では横須賀でそれぞれスカジャンを購入。

「どれも似合うな…って、俺らどこのバンドだよ」と玜介が冗談を飛ばせば、東助が「それも含めてZoneSTARZ」と笑った。

小田原城址公園では、巨大スクリーンを活用した屋外LIVEを開催。城壁に音が反響し、まるで時代と時代がつながったような幻想的な演出となった。



関東の旅は、こうして終わりを迎えた。


だが、彼らの旅はまだ続く。

次に待つのは中部地方――富山、石川、福井、そして悌輔の妻・珠莉しゅりが待つ“家”のある場所へ。


ZoneSTARZの音楽が描く地図は、まだその輪郭を描き始めたばかりだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ