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【Zone STARZの物語】  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
第4章:響け、47の旋律(しらべ)~ 沈黙の交響曲(サイレントシンフォニー) ~
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第1話「北の旋律、雪の鼓動」 (北海道・東北ツアー編)


雪は静かに降りしきる。

粉雪が照明に照らされて煌めく夜、ZoneSTARZとLightningは、さっぽろ雪まつりの特設ステージに立っていた。


大通公園の一角、巨大な氷像を背景にした白銀のステージ。観客たちは厚手のコートに身を包み、凍えた頬を火照らせながら歓声を上げている。

ZoneSTARZのリーダー格である諒真が一歩前に出て、マイクを握る。


「……この雪の中、集まってくれてありがとう。忘れられない初日にしよう」


観客が沸く。音が鳴る。心が震える。

氷像をスクリーン代わりにしたプロジェクションマッピングと共に、力強く、美しく、鋭く、ZoneSTARZのビートが札幌の夜空を突き抜けた。


柚羽のクリアな歌声が響き、蜜介のダンスが雪を切る。

涼央の繊細なコーラスに、諒真のリリックが重なり、音楽は氷をも溶かす熱を帯びていく。


Lightningも交代で登場し、クールなパフォーマンスで魅了していく中、ZoneSTARZの面々は互いに視線を交わしながら、「この旅が特別なものになる」と確信していた。


ライブのラストには、観客と一体になって歌ったバラード。

空に舞ったスノーマシンの雪と本物の雪が混じり合い、全てが白い夢のようだった。



ライブ翌日。

ZoneSTARZの4人とLightningのメンバーは、函館へと移動していた。

新雪に包まれた五稜郭の星型の構造を、上から眺める展望台に立ち、諒真が呟く。


「…俺たちの人生も、どっから見ても綺麗な形に見えたらいいのにな」


彼の言葉に誰も返さず、ただ冷たい風と静寂が全員を包んだ。

視線の先には、かつて命を賭して戦った者たちの足跡と、今を生きる彼らの影が交差していた。


夜には函館山へ。

眼下に広がる夜景は、まるで星が地上に降りたかのような光の海。


「…もう一回、ここに来る日があればいいな」

涼央がぽつりと呟くと、蜜介が「おう」とだけ返した。


そんな風に、心の中に誰もが小さな火を灯しながら、翌日には網走へと移動する。



博物館網走監獄。

極寒の大地に残された旧監獄の建物。ZoneSTARZの4人は静かに各々の足で館内を歩く。


蜜介は、一つの独房の前で立ち止まり、じっと無言でその中を見つめた。

涼央はその背中を見つめながら、過去に背負ったものの重さを想像する。


「…俺たちが、音楽で人を救える日が来るんかな」

と、ふと諒真が言ったとき、誰も否定せず、ただ黙っていた。



その後訪れたのは、室谷岬。

北風が頬を刺すように冷たいが、どこか凛とした空気が心地よい。

広がる水平線を前に、ZoneSTARZの4人は無言で立ち尽くす。


「何も言わなくても、ここは全部受け止めてくれそうだな」

と、柚羽が小さく言い、皆はうなずいた。


続いて向かったのは、白金青い池。

静寂の中に凛と立つ白い木々と、氷結した青の水面。

まるで現実ではないような光景に、ZoneSTARZのメンバーは長く言葉を失った。



夜、札幌に戻った一行は、すすきのの居酒屋で小さな打ち上げを開く。


「俺らさ……変わったよな」

酒に少し頬を赤く染めた諒真がつぶやくと、蜜介が笑う。


「変わらないままのやつなんて、いねぇよ」

「でもさ、変わるたびに、ちゃんと音に残せたらいいよな」

柚羽のその言葉に、皆がグラスを上げた。


氷がぶつかる音。笑い声。誰かの箸が止まる音。

そのすべてが、確かにこの旅の始まりを刻んでいた。



翌朝。ZoneSTARZは運転を交代しながら、車で青函トンネルを抜ける。


「長ぇな…」

「これが日本の底を貫く道か」

車内では軽口を交わしながらも、トンネルの先に何が待つのか、誰もが少しだけ緊張していた。



青森県。

トンネルを抜けた先は、また別の静けさと雪の世界だった。


ZoneSTARZは、白神山地でスノートレッキングを楽しみ、奥入瀬渓流ではその清らかさに心を洗われる。

十和田湖では、柚羽と涼央が氷の上に座り込み、ただ風の音を聴いていた。


その日の夜は、青森グルメが並ぶ宴。

•柔らかい赤身がたまらないあおもり和牛

•ジューシーで香り高い奥入瀬ガーリックポーク

•地鶏の旨味が詰まった青森シャモロック


誰かが言った。「これ食うだけで来た価値あるな」


ライブは青森市のアリーナで開催。

客席には高校生や家族連れの姿が多く、ZoneSTARZの優しく強いメッセージが、まっすぐ届いていた。




岩手県・平泉中尊寺


歴史と雪に包まれた静寂の境内。ZoneSTARZの4人は、観光客の列から少し離れ、厳かな金色堂を見上げていた。


「ここ、金箔で覆われてんだってな……」

蜜介の言葉に、涼央がそっと頷く。


「命をかけて何かを遺した人の、祈りが見える気がする」


冷えた風に木々が鳴る音だけが響く中で、ZoneSTARZはただ静かに時を感じていた。


境内の外では、地元の食を味わう時間が待っていた。

•甘辛い餅を胡桃ダレで和えたからめ餅

•食べても食べても終わらないわんこそばで全員爆笑

•弾力のある麺に澄んだスープが心を温める盛岡冷麺

•ピリ辛の肉味噌が病みつきになる盛岡じゃじゃ麺


「次のライブで太ってたら、ごめんな」

と、柚羽が笑い、涼央がすかさず「許さん」と返す。


その夜、盛岡市のライブハウスでは、笑い声が響いた後の真剣なパフォーマンスが観客を魅了した。

ZoneSTARZの音に合わせて、地元の高校生たちが自作のパフォーマンスを披露するサプライズもあり、彼らはそれを真正面から受け止め、音で応えた。


「君ら、すげぇや。俺たちも、また頑張らなきゃって思えた」

諒真の言葉に、客席の表情が一斉に明るくなった。



秋田県・なまはげ館と白神山地


秋田の厳しい寒さの中、ZoneSTARZは男鹿半島のなまはげ館へ向かう。

赤鬼のような仮面と衣装が並ぶ展示室。蜜介がふと小声で呟いた。


「…子どもに悪さするなって、泣かせてでも伝える…」

「音楽も、そんなふうに…真っすぐ届くもんでありたいよな」

と諒真が返し、視線を合わせることなくその場を後にした。


昼食には、名物のきりたんぽ鍋。

炊きたての米を棒に巻いて焼き上げ、比内地鶏の出汁に浸した鍋を、湯気の向こうで囲む。


「これ、冬に食うもんとしては最高だろ」

「うん、沁みるな…」

黙々と食べながらも、心の芯にまで温かさが届いていた。


午後は再び白神山地へ。

青森側とはまた異なる冬の姿を見せる森に、ZoneSTARZの4人は言葉を失い、ただ自然の中に身を溶かしていた。



秋田美人コンテスト


その夜、秋田市内で開催されたイベント「秋田美人コンテスト」のゲストとしてZoneSTARZがサプライズ登場。


「いや俺ら、美人ってだけで舞台立てねぇよな」

柚羽の冗談に客席が爆笑。


ライブは地元参加者のドレスウォークの後に行われ、ZoneSTARZは“美しさとは何か”をテーマにした新曲を披露した。



山形県・将棋とさくらんぼ、そして米沢牛


山形に入った翌日、ZoneSTARZは天童市の将棋資料館へ。

涼央が真剣に将棋盤を眺め、蜜介と対局を始める。


「音と違って、先が見えるな」

「見えたところで、勝てるかは別だけどな」


午後はさくらんぼ農園で収穫体験。

柚羽が真剣な表情で選んだ実を口に運び、「あ、これ…」と目を丸くする。


「甘すぎず、でも香りが広がる…ちゃんと“仕事”してるって味」


夜は、米沢牛をふんだんに使ったフルコース。

•サシが美しく入った炙り寿司

•極上の脂がとろけるすき焼き

•素材の旨みが引き立つ塩焼き


「音楽も肉も、余計なことしなくていいってわかるな…」

諒真が言い、全員が静かに頷いた。


ライブは山形市民会館で開催。

地元の民謡をオープニングにアレンジして融合したライブ演出に、観客は驚き、そして熱狂した。



福島県・喜多方と猪苗代湖


旅の最後に訪れたのは、福島県。


ZoneSTARZは喜多方の老舗ラーメン店で、背脂とコクの効いた醤油スープを堪能。

「ラーメンって、地元の音みたいだな。懐かしくて、でも芯がある」

蜜介がつぶやいた。


午後は猪苗代湖へ。

薄氷が浮かぶ湖面を前に、全員がただじっと佇んでいた。


「…この旅、始まったばっかなんだよな」

「まだ、行く先があるってだけで救われるな」

涼央と柚羽がそう言い交わしたとき、陽が湖面に落ちていた。



ラストは郡山市でのライブ。

雪が舞う夜、ZoneSTARZとLightningは再び照明の下で輝いた。


それぞれのステージ、異なる音、交わるリズム。

ZoneSTARZの音楽は、確かにこの地の人々に届いていた。



そして、移動車の中。

次の目的地、関東へ向かう途中、蜜介が窓の外を見ながら呟いた。


「なぁ……もっとこのままでいたくなるな、こういう旅」


諒真が笑う。


「でもさ、終わりがあるから、いいんじゃねぇの」


ZoneSTARZの旅は始まったばかり。

47都道府県、すべての土地に、すべての人に、音を届けるために。



第2話「都市の熱、心の輪郭」(関東編)へ

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