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【Zone STARZの物語】  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
第3章:交差する旋律
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第5.5話「交差する想いと新たな挑戦」複数視点(悌輔、未依奈、楓珠、ジョー)


誰かの「日常」は、別の誰かの「非日常」になる。

それでも、音楽が重なり合うとき、そこには確かな“真実”が宿る。

同じ空の下で、それぞれが胸に秘めた想いと向き合っていた。



朝の光が障子越しに差し込む富山・園川家。診療所を併設するこの家には、昭和の温もりと異国の風が共存している。


「悌輔、今日のリハーサル、何時からだっけ?」

台所でご飯をよそいながら、珠莉が尋ねる。

「午後2時からだけど、昼前には出るよ。機材の準備もあるからね」


ふと、珠莉が手を止めた。

「昨日…夢でZoneSTARZの曲が流れてた。すごくあったかくて、不思議だった」


悌輔は箸を置き、微笑む。

「音楽って、言葉じゃないんだよな。君が感じたもの、それが答えなんだと思う」


珠莉はそっと頷く。

「私、もっと日本語上手くなりたい。あなたの世界を、もっと近くで感じたいの」


悌輔は静かに頷き、胸の奥にじんわりとした決意が灯った。



東京では、女優・広瀬未依奈が撮影現場の控室で、スマホの待受画面に映る子どもたちの笑顔を見つめていた。春翔と由紀恵――蜜介との間に生まれた大切な存在。


「ママ、またお芝居のお仕事行くの?」


その時の春翔の少し寂しげな声が、未依奈の胸をよぎる。しかし、あの時彼はこうも言った。「ママ、応援団長するよ」


未依奈は静かに微笑んだ。

「私は“支える側”だけじゃない。届ける側でいたいの」


彼女の連ドラ主演が発表された日。演じる役は、難病を抱えるシングルマザー。現実とも重なるが、彼女はその役に真っ直ぐ向き合う覚悟だった。



午後2時、都内の非公開スタジオでZoneSTARZとLightningの合同リハーサルが始まった。


初顔合わせの緊張感の中、LightningのSHOWが礼儀正しく頭を下げる。

「初めまして、SHOWです。キーボードやってます」


TOUHMが続く。

「ギターとボーカル担当、TOUHMです。よろしくお願いします」


ZoneSTARZ側も、少しずつ壁を解くように反応を返す。CHAMが手伝いを申し出れば、FOXが興味深そうに楽器のことを尋ねる。


そんな中、Lightningのリーダー・楓珠は、ZoneSTARZの中心人物KOUHに問いかけた。

「KOUHさん。ステージに立つとき、何を思ってるんですか?」


KOUHは一瞬の沈黙の後、穏やかに答えた。

「“誰かの希望になりたい”って、いつもそう思ってる。俺たちの音楽は、誰にも知られない苦労の上にあるから」


その言葉に、楓珠の瞳がわずかに揺れた。互いの奥にある「覚悟」が交錯した瞬間だった。



リハーサル後、音楽スタッフの桜庭柊二がジョーに話しかけた。

「どうだった?」


「最初はぎこちないけど、プロだよ、みんな。心配ない」


桜庭は続ける。

「Lightning側にも、信じてる子たちがいる。特に楓珠は、耳の聞こえない両親を持つ子だ。“伝える”ことの意味を誰よりもわかってる」


ジョーは頷いたが、表情は引き締まっていた。

「でも、ZoneSTARZの“顔”を誰にも知られてはならない。それが俺の責任なんだ」



リハーサルの最後、ZoneSTARZとLightningは初めて音を合わせた。

それはまだ未完成だったが、確かな未来への「芽吹き」がそこにあった。


悌輔は珠莉の存在を、蜜介は家族の笑顔を思い、楓珠は耳の聞こえない両親に届く「音のない言葉」を心に描いていた。


音楽は、今をつなぐ絆だった。



再び富山・園川家。


「悌輔、来月から私、日本語の朗読教室に通おうかなって」


「朗読?」と悌輔が驚く。


「ZoneSTARZの歌詞、もっとちゃんと理解したくて」


珠莉のその一言に、悌輔は深く胸を打たれた。


「ありがとう、珠莉。俺も音楽と、もっと真剣に向き合っていくよ」



その頃、東京のテレビ局では未依奈が新しい役に挑もうとしていた。


母であり、表現者であり、妻であり。


「負けてられないわね」


強くなった瞳が、レンズを見据えていた。



スタジオの一角では、Lightningの控室。


「ZoneSTARZ、どこか“守ってる”感じがしたよね」と蓮王。


「うん。でもそれも悪くない。彼らにも秘密があるのかもしれない」と楓珠。


自分にもある。音のない世界で育った彼は、「音でしか届かない言葉」を信じている。


「音楽で、彼らの本音を引き出してみせるよ」


リーダーではなく、ただの“楓珠”として。



龍雷神事務所。机の上には秘密保持契約の書類が並び、ジョーは独りごちた。


「…万一情報が漏れたら、終わりだな」


だが彼は恐れなかった。


「彼らが本気なら、俺も命懸けで守る」


少年時代に夢見た音楽の力。それを信じる限り、自分の選んだ道に後悔はない。



ZoneSTARZとLightning。


その交差点は、単なる共演ではない。


未来へ続く確かな“鼓動”だった。



これは(悌輔、未依奈、楓珠、ジョー)をみた複数視点での物語です

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