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【Zone STARZの物語】  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
第3章:交差する旋律
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第3話「交差する音と想い」



 ZoneSTARZのメンバーがそれぞれの日常に戻りながらも、音楽への情熱を静かに燃やしていたころ、東京・渋谷の音楽スタジオでは、若き5人組アイドルグループ【Lightning】のレコーディングが行われていた。


 「――OK! 今のテイク、最高だったよ。楓珠、やっぱり感情の乗せ方が素晴らしい」


 モニタールームの中から声をかけたのは、映像演出家の三谷彰吾。ZoneSTARZのMVも手がけた彼は、今やLightningの表現力を引き出すキーマンでもあった。


 「ありがとうございます。父や母が耳で音を感じられない分、伝えられるものは全部届けたいんです」

 そう言って微笑んだのは、リーダーの楓珠ふうじゅ。彼の両親は耳が聞こえない。幼少期から“音楽”は単なる娯楽ではなく、表情や振る舞いすべてで伝える“手段”だった。


 他のメンバーも黙ってはいなかった。


 「三谷さん、次の楽曲にキーボードソロ入れたいんですけど、オーケーですか?」

 自信たっぷりに提案したのは将翔しょう。彼の母は世界的ピアニストであり、音楽に対する探究心はグループ内でも随一。


 「じゃあ俺はベースライン強化しようかな。兄貴が最近ロックにハマってて、なんか影響受けた」

 ギターを抱えた**蓮王れおん**は、元紅白歌手の父と現役歌手の母を持つ。芸能一家のDNAは、確実にLightningに新しい風を吹き込んでいた。


 「お前らそれ言うなら、俺はちょっとラップ入れようかな。福岡っぽく」

 **遥輝はるき**が笑うと、スタジオの空気が一瞬で軽くなる。グループのムードメーカーで、バランス感覚に優れた存在だ。


 「……俺は、家族と離れてる分、音楽に集中できる。だからこそ、1音たりとも無駄にしたくない」

 そう言ったのは当真とうま。新潟の糸魚川に家族を残し、上京してきた彼は、冷静な判断力と確かなギター技術を武器にしていた。


 三谷は彼らの姿に、ZoneSTARZの原点を見ていた。――異なる個性、異なる家庭環境。だが「音楽で伝えたい」という熱だけは、誰もが等しく持っている。



 一方その頃、富山ではZoneSTARZの園川悌輔が歯科クリニックの診療を終え、こっそりと事務室でメールを確認していた。差出人は菅生美優。内容は次のライブに向けた新曲候補だった。


 《悌輔へ

 音源の仮ミックス、添付します。美豊も協力してくれて、ハーモニーがより深くなったよ》


 悌輔は返信する前に一瞬ためらった。――自分が歯科医としての顔と、音楽家としての顔を持っていることを、妻の珠莉にはまだ話せていなかった。


 けれど、美優や美豊の支えがある限り、彼はその二重生活を続ける覚悟でいた。



 東京の夜。レコーディングを終えたLightningの5人が、駅のホームで談笑していた。

 ふと楓珠がつぶやく。


 「ZoneSTARZって、すげぇグループだよな。ああいう大人になれたらいいなって……思う」


 「そのうちコラボできたら最高だな」

 と、蓮王が笑った。


 冗談めいたその一言が、数か月後に実現するとは、まだ誰も知らなかった――。




 その頃、富山のある住宅街。暖かな夕暮れの光が差し込むリビングでは、仲間蜜介が2人の子ども――春翔と由紀恵に絵本を読んでいた。

 「パパの声、テレビの人みたい!」と無邪気に笑う春翔に、蜜介もつられて笑う。


 その様子をキッチンから見ていたのは、妻の広瀬未依奈。彼女は元モデルで現在は女優として活動中。最近はドラマの主演に加え、バラエティ番組にも頻繁に出演していた。


 「明日、収録の後にインタビュー入ってるから、帰り遅くなるかも」

 味噌汁をよそいながら、未依奈が静かに告げる。


 「大丈夫。俺も今週は会計監査とZoneSTARZの曲整理で夜遅くなりそうだし」

 蜜介は、現役の公認会計士でありながら、音楽グループとしての活動も継続中だ。


 未依奈はふとため息をつきながらも、彼の背中に言った。


 「ねえ……音楽、やめないでくれて、ありがとう。春翔もきっとパパみたいな男になりたいって言うよ」


 蜜介はその言葉に、胸の奥で静かに何かが震えるのを感じていた。



 一方、東京の音楽プロダクションでは、音楽プロデューサー・桜庭柊二が、LightningのMV編集を見ながらスタッフに指示を出していた。

 彼はZoneSTARZの初期を支えた音楽関係者の一人で、最近はLightningのブレイクに全力を注いでいた。


 「楓珠のボーカル、もう少し前に出して。あいつの感情表現は、今の若手じゃ頭一つ抜けてる」

 桜庭がそう言った直後、ドアのノック音が響いた。


 「お疲れさまです、三谷彰吾です」


 映像演出家・三谷彰吾が現れる。ZoneSTARZのツアードキュメンタリーを撮った彼は、最近Lightningにも関わり始めていた。


 「ZoneSTARZの件、考えてるよな?」

 桜庭が聞く。


 「ええ。彼らが日本に戻ってから、動きが静かすぎる。そろそろ、次の波を起こすタイミングかもしれません」


 「Lightningと、ZoneSTARZ。交差させるのも面白いかもな」


 プロデューサーと演出家、2人の視線が一つの方向を向いたとき、新たな展開の幕が、静かに上がろうとしていた――。




 桜庭と三谷の話が終わる頃、東京のライブハウスでは、Lightningのメンバーたちがリハーサルを終えて控室に戻ってきた。

 リーダーの**楓珠ふうじゅ**は汗をぬぐいながら、メンバーに声をかける。


「みんな、今日は本当に良い感じだったね。特に蓮王のギター、前よりずっと熱い!」

 蓮王は照れくさそうに笑い、ギターケースにしまう。


「ありがとう、リーダー。将翔のキーボードも最高だったよ」

 将翔がキーボードのフレーズを口ずさみながら返す。


 遥輝は控えめに笑い、当真は「次はもっと高い壁を越えよう」と決意を込めた目で仲間を見つめた。

 彼らはただのアイドルグループではなかった。個々がそれぞれの環境や家族の想いを背負いながら、音楽に全身全霊を注いでいる。



 一方、岩手の歯科医院では、悌輔が患者の診察を終え、休憩室でスマホを取り出した。

 画面にはZoneSTARZメンバーのグループチャットが表示されている。


「次の曲、どうしようか……」悌輔はつぶやきながら、菅生美優の最新メッセージを読む。


『今度のライブで、みんなの新しい顔を見せたいね。曲調も少し挑戦的に。悌輔はどう思う?』


 返信を打とうとしたその時、妻の園川珠莉が声をかけた。


「遅くまで無理しないでね。あなたが一番輝いてるのは音楽の時だけじゃないけど」


 珠莉の言葉に、悌輔はほっとした笑顔を見せた。


「ありがとう。君がいるから、頑張れるよ」



 その夜、広瀬未依奈は子どもたちを寝かしつけた後、リビングのソファに座り、スマホでZoneSTARZのライブ映像を見返していた。

 そこには仲間蜜介の真剣な表情と、メンバーたちの一体感が映し出されていた。


「みんな、それぞれの場所で戦ってるんだな……」

 未依奈の目に、ほんの少し涙が光った。



 こうして、3つの場所でそれぞれの挑戦と支え合いが続いていく。

 ZoneSTARZとLightning。二つの音楽の波が、やがて一つの大きな未来へと重なり合うことを誰もまだ知らなかった。




 数日後、都内のスタジオではZoneSTARZのメンバーが集まっていた。

 KOUHがギターを手にしながら話し始める。


「次のライブ、もっとパワフルな曲にしたい。みんなの本当のエネルギーを感じさせるような、そんな曲を」


 FOXがノートパソコンを開き、アイデアを共有する。


「歌詞はどうだ? 世界を渡ってきた俺たちの経験を込めるのは?」


 CHAMがにっこり笑いながらうなずく。


「いいね、悌輔、どう思う?」


 悌輔は少し考え、スマホの画面を見つめる。


「美優が新しいメロディを作ってる。あとで聞いてみよう。彼女のセンスはすごいから」



 その頃、北海道の札幌では、Lightningのメンバーが次のシングル曲のレコーディングを行っていた。

 楓珠がマイクの前で歌い始める。澄んだ声がスタジオいっぱいに響き渡った。


 遥輝がギターを調整し、将翔がキーボードを操る。

 蓮王と当真もそれぞれのパートを完璧にこなす。

 5人の息はぴったり合っていて、プロデューサーも満足そうに頷いた。



 夕方、三谷彰吾はスタジオの控室で楓珠と話していた。


「君たちの成長は本当に目を見張るものがあるよ。もっと自分たちを信じていい」


 楓珠は少し照れながらも力強く答えた。


「ありがとうございます。私たちは自分の家族の声を胸に、これからも歌い続けます」



 こうして、ZoneSTARZとLightning、それぞれが新しい音楽の扉を開ける準備を進めていた。

 次のステージは近い。彼らの想いが、音楽に乗って世界へと羽ばたいていく。


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