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【Zone STARZの物語】  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
第2章:響き始める日常〜家族と音楽の狭間で
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第8話 「世界への一歩」



――2025年10月初旬。

ZoneSTARZのメンバーは、それぞれの職場や家庭に一時帰還していた。8大ドームを巡った夏のツアーの余韻は、まだ身体と心に深く残っている。だが、彼らの足元は、次なる舞台へと確実に進み始めていた。


東京・赤坂の某オフィスビル。

(株)龍雷神の本社ビル最上階にあるプライベートミーティングルーム。

窓の外には都会の喧騒が広がっているが、室内は静かだった。


ZoneSTARZの6人と、マネージャーのJOH、そして社長の黄金おうごんが再び集まっていた。


「準備は、いいか?」

黄金の問いに、KOUHが小さく頷く。


「もう、迷いはない。やれるだけ、やってみたい。俺たちで」


「ニューヨークとロサンゼルス、2公演。いずれもライブハウスからのスタートだが、現地の映像制作チームと契約も済んでる。成功すれば、全米ツアーも視野に入る」

JOHの言葉に、全員が真剣な表情になる。


「英語、死ぬほど練習してるんだけどな……まだMCが心配でさ」

と、CHAMが笑って言う。


「ハートが伝わればいいさ。俺たちは音で勝負してきた」

FOXの言葉には力があった。


「あと……家族も心配してたけど、ちゃんと送り出してくれた。光莉ヒカリも言ってくれた。『あなたが行きたいと思うなら、それが答え』って」

KOUHがそう言うと、Hikariが穏やかに微笑む。


「みんな、怖さもある。でも、それ以上に楽しみ。どんな景色が待ってるのか、どんな人たちと出会えるのか……」

Hikariの声に、場が一瞬温かくなる。


「……俺は、あの夜のロサンゼルスで歌いたい。10年前、留学してた妹と話してたんだ。『兄ちゃんがステージに立つ日が来たら、私、客席で泣く』って。もう、彼女はいないけど、叶えたいんだ。その夢」

そう語ったのは、Teeth(園川悌輔)だった。


彼の言葉に、全員が黙って頷いた。



数日後。

ZoneSTARZのメンバーは成田空港から渡米した。


搭乗ゲートの手前で、メンバー6人はそれぞれ一度立ち止まり、空を見上げる。

その目に宿るのは、恐れではない――希望だった。


黄金は、その背中を東京から見送る。

彼の手元には、ZoneSTARZが綴った未来のツアープランがあり、そして新たな契約書が並んでいた。


「行ってこい。思い切り、世界に轟かせてこい。お前たちの“Zone”を」



ZoneSTARZ。

今、その音が世界を揺らし始める。


蒸し暑い日本の夏をあとにし、ZoneSTARZのメンバーは巨大な飛行機に乗り込み、アメリカへと飛び立った。窓の外には青い空と雲が広がり、胸の高鳴りと共に、新たな挑戦の幕が上がる。


だが、誰もが知るスターではない彼らは、あくまで「謎の日本人グループ」として姿を隠し、日常の顔を守りながら進まねばならなかった。医師や弁護士、会計士という社会人としての裏の顔を封印し、歌とダンスだけを武器に戦う覚悟。彼らの絆は、これまで以上に強く、揺るぎないものへと変わっていった。



【ロサンゼルス:光と影の中で掴んだ初勝利】


到着したのは太陽が燦々と降り注ぐロサンゼルス。カリフォルニアの青空と海風は心地よくも、初めての海外公演の重圧はメンバーの胸を締め付けた。


控室でHikariが静かに口を開く。


「ここで成功できなければ、次はない。けれど、私たちは歌で、私たちの魂で、必ず伝わると信じてる」


KOUHはそれに頷き、深く息を吸い込む。


「俺たちの正体は知られていない。隠しながら戦う、これも新しい戦いだ。でも、それが俺たちの強みになる」


ステージに立つと、次第に緊張は力に変わっていった。Hikariの澄み渡る歌声が空間を満たし、KOUHのエネルギッシュなボーカルが観客の心を掴んだ。FOXの軽快でダイナミックな動き、CHAMのギターから放たれる熱い旋律、Teethの精密なリズムが一体となり、客席は瞬く間に熱狂に包まれた。


ライブのクライマックス、会場の全員が立ち上がり、総立ちの歓声が鳴り響いた。その瞬間、メンバー全員が胸に確かな手応えを感じていた。



【ニューヨーク:摩天楼の夜に結ばれた絆】


ロサンゼルスでの成功を胸に、彼らは東海岸の大都市ニューヨークへ移動した。摩天楼が夜空に輝き、街は昼間とはまた違う緊張感に包まれていた。


バックステージでは、CHAMが静かに口を開く。


「ここでこそ、俺たちの真価が問われる。誰も知らない俺たちだけど、歌が本物なら伝わるはず」


FOXが目を閉じて呟いた。


「秘密を守るのは大変だけど、それが俺たちの絆をさらに強くしている気がする」


ステージの幕が開くと、彼らのパフォーマンスは一層洗練されていた。Hikariの歌声は深みを増し、KOUHは力強く声を響かせる。FOXとCHAMの息の合った動き、Teethのビートは観客の心を鷲掴みにした。


ライブ後の会場からの歓声は熱く、メンバーは互いに視線を交わして微笑み合った。



【ハリウッド:夢の聖地で交わした約束】


続いて彼らはハリウッドへ。映画スターが歩くこの街で、ZoneSTARZは新たな伝説を刻むためにステージに立った。


JOHは静かにメンバーを見守りつつ、


「まだまだここがゴールじゃない。夢はもっと先にある」


と、静かに言った。


ライブが始まると、Hikariの声は神秘的に響き、KOUHの情熱的なボーカルが会場を震わせた。FOXとCHAMが華麗に舞い、Teethのドラムが躍動感を加速させる。観客は総立ちとなり、終始歓声がやまなかった。


公演後、メンバーは控室で互いに肩を叩き合い、未来へ向けた強い誓いを交わした。



【アメリカ全土を駆け抜ける旅路】


彼らのツアーはロサンゼルス、ニューヨーク、ハリウッドを皮切りに全米に広がっていく。秘められた素顔は誰にも知られることなく、ただ「謎の日本人グループ」として各地で熱狂的な歓迎を受けていた。


舞台袖での短い会話の中で、メンバーは何度も結束を確認し合った。


「俺たちはチームだ。秘密も全部背負って、一緒に歩もう」KOUHの言葉に、


「そうだ、どんなに困難でもみんなとなら乗り越えられる」Hikariが答えた。



【総立ちの歓声、そして未来への誓い】


どの会場でも、彼らのライブは観客の総立ちを呼び起こし、拍手と歓声はいつまでも鳴り響いた。


その裏で、彼らは故郷の静かな町のことを思い出し、まだ誰にも明かしていない自分たちの素顔を胸に秘めたまま、未来への大きな一歩を踏み出していた。


「これからもみんなで力を合わせて、もっと大きな舞台へ行こう」KOUHが熱く語り、


「約束しよう、俺たちの絆はどんな試練でも壊れないって」FOXが応えた。


ZoneSTARZのメンバーは強い絆と共に、まだ見ぬ未来に向けて歩み始めていた。



この一歩は、誰にも真実を知られぬまま、音楽の力だけで世界に届く奇跡の始まりだった。


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