えり、転生する。
設定はゆるめにしてありますのでゆるーく呼んでくれたら嬉しいです。
「はぁ...」
眠い。もう3日は睡眠をとっていない。今日こそは絶対に家に帰りたい。
私の名前は坂本えり。ゲーム制作会社に勤めている。私の担当は新作乙女ゲーム『true love』のキャラクターデザインだ。
私は満足のいく作品にするべく忙しい毎日を送っていた。
しかし、ちゃんとした睡眠を取らなければ当然体力にも限界が来るわけで...
上司にも一度家に帰りなさいと言われた。当然だと思う。自分でも酷い顔色をしていると思うし、何より、この目の下のくまである。
深夜二時を回り、ようやく仕事に一区切りをつけて帰路についた。疲れていたせいで、寝ているのか起きているのか分からない状態だった。終電はもうない時間だったが、幸いにも私の住むアパートは会社から徒歩五分の場所にあった。アパートの前にある信号を渡ろうとした時、
ドンッ!
強い衝撃だった。何が起きたのかわからない。通りすがりの男性が「大丈夫ですか!すぐに救急車を呼びますから!」と言っているが、その声もだんだん聞こえなくなっていく。視界もだんだん狭まってきた。あぁ、死ぬのか。
ついこの間30歳になったばかりなのに。
人生百年っていうのに、私は30年しか生きられないのか。自分が作ったゲームのリリース、見届けたかったなぁ。しばらく実家にも帰ってなかったなぁ。最後に両親の顔見たかったなぁ。みんな悲しむかな。
まだ生きていたかった...な...
眩しい。天国に来たのかな。私は無神論者なんだけどなぁ。天国ってあったのかぁ。てことは神様もいるのかな。ていうかなんで意識があるのだろうか。
「貴女に幸運の女神フォルトゥーナの加護を授けます。いってらっしゃい。」
「...え?」
目を開けると一面に草原が広がっていた。雲ひとつない空、暖かい空気、優しい風。まさに天国のような場所だった。
「ここ、どこ...?」
私はさっき死んだはず。周りにはビルは一棟もなく、見渡す限りの草原だった。自分の身に起きた不思議な出来事にただただ驚いた。
「あれ。私ってこんなに目線低かったかな。」
ふと疑問に思った。手も小さいし、着ている服はリボンやフリルがいっぱいで、30歳女性が着るにはあまりにも子供っぽいワンピースだった。何かがおかしい。すると、
「エミリー!そろそろ家に戻るぞ!」
「はーい!」
なんで私返事したのかな...。
その瞬間、強い頭痛がした。そして一気に流れ込んできた記憶。
そうだ私の名前はエミリー・ブロウンだ。今年で6歳になるブロウン伯爵家の長女である。自分に坂本えりとしての記憶とエミリー・ブロウンとしての記憶がある。交差する二つの記憶。2人共似た性格であったのか、私の脳は直ぐにこの状況を飲み込み、順応しようとしていた。
さっき、私を呼んだのは兄のアレンである。
あれ?大変なことを思い出してしまった。
エミリー・ブラウンは『true love』のヒロインと同じ名前だった。まさかとは思いつつも家で鏡を見ると、まだ幼いがまさに自分がキャラクターデザインを担当したゲームのヒロインの姿がそこにはあった。
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