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⑴『デジタル・トラップ』
⑴『デジタル・トラップ』
㈠
俺は今日も、ミスばかりしている。無論、現実のミスではない。デジタルでのミスである。俺は俺を苛むデジタルのトラップに引っ掛かり、毎日が地獄変であるが、芥川龍之介の地獄変を思い出すから、まあ、良しとしよう。
㈡
それにしても、デジタルから対極にあった、執筆家としての俺を、デジタルの俺に移行させるため、日々、努力しているのだが、デジタルのトラップは、なかなかに、巧妙であり、俺は追い付け追い越せの状態だ。
㈢
それでも、現代、デジタルは必要だろうから、俺は今日も、デジタルのトラップと戦うことにした。とはいっても、何のその、単に、小説を書く時に、筆記ではなくワープロで打つだの、ツイッターの更新だのといった、かなり簡単なデジタルではある、世間から見ると、である。