プロローグ①
初投稿になります。駄文になるかと思いますが、温かい目で見てやってください。
「こりゃあ一体どうなってるんだ...?」
俺は眼前に広がる光景を、砂利浜に座って唖然としながら眺めていた。ほんの数十m先の波間から大きく身を乗り出して嘶いているのは美しい白馬....であるかに見えた。額に生えた一本の角と、波間の下に透けて見える鱗の生えた大きな魚の下半身を無視すれば。
「あれは...ケルピーってやつか?」
前にファンタジー小説で読んだことがある。上半身は馬、下半身は魚の体を持つ生物のこと。だが、あれはファンタジー小説だ。ファンタジーは人が想像で描いた世界の物語、すなわち空想である。空想であるがゆえに現実にはあり得ない。ゆえに幻想足りうるのだ。
しかし目の前で悠然と泳ぎまわるあのケルピーはどうだ。目の前で確かに嘶き、潜っては水面に飛び出して飛沫をあげている。俺の目のを通して見える映像も、むせ返るような潮の匂いも、足元に寄せては返す波の音も、とても夢とは思えなかった。
「...痛ぇ....」
夢でも見ているのかもしれないと頬をつねっても、確かな痛みがある。ふと海に視線を戻すと、ケルピーらしき生きものは姿を消し、その代わりに
「なんだありゃあ....」
トビウオらしき魚が海面すれすれを群れて飛んでいた。らしきというのは、ある一点が自分の知っているトビウオとかけ離れていたからだ。
その流線型の魚体には、魚らしいに似つかわしくない青い翼が生えていた。その翼を時折羽ばたかせながら、水面を滑っていく。自分が知っているトビウオのように、ひとしきり飛んだあと海中に戻る様子もない。
.....どうやら俺は、異世界というやつに迷い込んでしまったらしい。