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5 ラスニア様の雷が……。

次話は今日の8時頃更新予定です。

「……ま、ふゆ、、くん?」


思わず声が出てしまっていたらしい。

勝手に話しかけるのは失礼だと言うことも今の私の頭からはすっかり抜けてしまっていた。


しかし、みるみるフラジストの目が開かれていく。



「もしかして……絵、梨花……?」


目の前の彼は私に恐る恐る尋ねてきた。

これはもうほぼ正解と言っていいもの。嬉しさやら疑問やらが胸の中で渦巻いて訳のわからないことになっていっいる。

返事をしようとする前に、、思いっきり抱きつかれた。



「絵梨花!! ずっと会いたかった! 車に轢かれたときはもうだめだって思ってたけど気づいたらこの世界にいて、、もしかしたらって思って、、もう一度会えて、嬉しい……」


「勝手に真冬くんが死んじゃうからでしょう。私も……会いたかったよ。ずっと。今までずっと」



涙が止まらない。ずっとずっと会いたかった人。でも半分は諦めてたから。

私は今、フラジスト、真冬くんの腕の中にいるためこちらからは真冬くんのことは見えないが、彼の腕は震えていた。


もう一度話すことができた。その事実は何よりも嬉しかった。



「おい!!」


後ろから苛立ったような声がして、気づくと私は違う人の腕の中にいた。ウィルのだ。


「フラジスト!! 勝手にリーナに抱きつくな」


「何故そんなことをウィルラインに言われなくてはならない」



…………!?!?


私の視界はウィルの胸でいっぱいのため二人の様子は見えない、が、、何やら険悪そうな雰囲気……。

何故? 二人とも敬称なしで呼び合うくらいだから仲いいと思ってたんだけど……私の思い違いだったのかな?

まあ、二人とも公爵子息だし家の都合とかで仲良くは出来ないとか? いや、でも現に真冬くんはカルミア邸にいるわけだし……。何が何やらわからん。


「リーナはフラジストとは初対面だと言っていたよな?では何故こんなにも親しい? 何やら訳のわからん事も言っていたが」


「え? まあ確かにフラジスト様とは初対面だけど……」


「だそうだ、フラジスト。気安くリーナに触れるな」


そう言い残してウィルは私を抱きかかえそのまま部屋を後にした。


ええ!? 大事なお客様を放っておいて大丈夫なの? 一応相手も公爵家だと思うんだけど……。


そんな私の心を読み取ったのかウィルは小さく笑って答えた。


「フラジストの事は大丈夫だよ。父上もいるしね。それよりもあの部屋にリーナを居させたくない」


私のためですか。別にフラジストが真冬くんだってわかったら緊張する事はないのに。

あ、でも逆に気を許しすぎて公爵家に対して不敬を払うかもしれないからそれはそれで良かったのかも。


「ありがとう、ウィル」


と、感謝の気持ちを伝えた途端ウィルはバンッと大きな音を立てて自分の部屋に入りソファーへ私を押し付けた。


…………!?!?


「……リーナはっ、フラジストと一緒にいたかったのではないか?」


「え、フラジスト様とはまたお話できたらいいなーって思ったけど今日の予定はラスニア様とのお茶会だったし……」


真冬くんのことはびっくりしたけど、なんせもう真冬くんが亡くなってから17年も経ってる。

お互い新たな人生を歩み始めているわけだし、そこへ私が前世の幼馴染だからとか、周りから聞いたらよくわからない理由でずかずか入り込むのもあまりよろしくない。しかも相手は公爵子息だ。今では身分が違う。

ていうか私はそのことよりも今のこの体勢にびっくりしてるんだけど!!


「そう……か……」


ウィルは安心したような、少々複雑なような顔でそう小さくつぶやき、私に込めていた力を緩める。

いきなりどうしたんだろう。


はっ……!! 

まさかこの私がラスニア様とのお茶会をすっぽかして真冬くんとずっと一緒にいると思ったのか!?

確かにさっきのラスニア様の叫びを聞いていたら来れなくなったとか言うと後が怖い……。


「じゃあもう大丈夫だから、私はラスニア様のところにいくね?」


「ああ、俺も一緒に行く」


◇◇◇


いつものお茶会セットと、見慣れないお茶菓子が並んだテーブルに案内された。そこには満面の笑みでニコニコと手招きしているラスニア様の姿が。


「エリーナちゃん!! 久しぶりね!! さあさあ座って頂戴な。もう今日お茶会が出来なかったらあの人、どうしてくれようかと思ったわ」


おお……クリス様セーフ!!

ラスニア様めっちゃ強いからな。ウィルの強さはたぶんラスニア様からの遺伝だと思う。ラスニア様ってもともと騎士団に入団してたんだって。

すごいよね! 


でもこの女子力を殺してない、むしろ人一倍あるところは誰にとっても憧れである。女性の(特に私くらいの年頃の)ファンは多いようで。ファンクラブもあるんだって。


「あ、ウィルライン。エリーナちゃん連れてきてくれてありがとう。もう帰っていいわよ」


「はあ!?」


そして安定の冷たさです。決して家族仲が悪いわけではないのよ。ただこのお茶会の時間になるとね。


「だってここは女子だけのお茶会よ? ウィルラインがいたらエリーナちゃんが気を使うじゃない」


「いや、そんなこと……「ほら、こう言ってるじゃない!!」


ラスニア様は被せるように言葉を遮った。いや、どう言ってるのだ……?


まあここには二人しかいないし、ウィル、今は出ていった方が身のためだぞ。


「母上……。分かりました。時間が来れば迎えに来ます」


「そうして頂戴。そうね……6時くらいでいいかしら」


「…………」


お買い物は、、また今度かな。

視線で会話し、そう伝える。


ウィルが渋々退場すると、ラスニア様のマシンガントークが始まった。



そこから解放されたのはもう日が落ちている頃だった。

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