4 これは全部ウィルのお父様のせいね!
次話は明日の朝、7時頃更新予定です。
先日、呼ばれたお茶会に早速向かっております。
馬車の窓からはお城みたいな大きなお屋敷が目に入る。
……いつ見ても広いなー……。
うちもまあまあ広いんだけど前世庶民にはついていけぬ……。
もうね、国会議事堂くらいある。……説明下手か?
茶番はこれくらいにして、久しぶりにカミリア家にお邪魔しに来ました。すぐ横にはウィルがいます。
あのね、いくら慣れてるといえね、破壊力強めのお顔が真横に座っているわけですね。
むさくさ距離近いんですよ。ちょーっと離れてくれないかなー、、なんて断られるのはわかっているため口にはできず……。
…………着いたようですよ。
うん?
いつもより少し騒がしい気がする。
私の優れた視力で見渡してみると、微かだがメイドさん達が競歩で、あくまで優雅に廊下を歩いている。
珍しい……。
「……少し様子を見てくる。リーナはここで待ってて」
うなずくと、ウィルは屋敷の中へ入っていってしまった。誰か急な来訪者でも来たのかな? 私いたら邪魔なんじゃないかな……。
でも勝手に帰ったら絶対そっちの方が迷惑かけるし大人しく待ってたほうがいいだろうな。
ちなみに今日の服は比較的動きやすいワンピース型のドレスだ。落ち着いた紺色で、アクセントにところどころ金の薔薇の刺繍が入っている。ほんとは目上の家に行くときはもっとちゃんとした服を選ばなくちゃいけないんだけど、別にいいって言われてるから現在この姿になっております。
ワンピースって前世でもよく着てたから楽なんだよね。ドレスって肩凝るしコルセット殺されるかと思うくらいぎゅうぎゅうに締められるし……。あれ凶器だと思う。
数分くらいたった頃に、少し困ったような顔をしたウィルが戻ってきた。
「大丈夫だった? 」
「ああ、大丈夫なのだが……。少々厄介なことになっていてな。前に話してただろう。フラジストが来てるらしいんだ……。多分父上に用事で来たらしいのだが、父上は今日リーナが来ることを知らなかったみたいだ。俺達以外の公爵家のものがいたらリーナが変に気を遣ってしまうだろうと使用人一同が頭を抱えていた」
なるほど……。ウィルのお父様ならやりそー。
ウィルのお父様、公爵なんだけど全然公爵感がない。どっちかというとうちのお母様と似たようなものを感じるのは私だけだろうか。
「あら……。迷惑をおかけするわけにもいかないから今日は帰ったほうがいい……?」
「すまない……と言いたいところなのだが今リーナが向かわないと母上が大変なことになる。多分そろそろ時間を間違えた父上に雷が落ちるんじゃないか? ……ほら……」
なんですってー!! という声がサロンの方から聞こえてきた。
ウィルのお母様よ、なんでここまで声が聞こえる……。
「…………な?」
そのように困ったような顔で見られても……。
「私は全然大丈夫だけど……無礼とか働いてもなんにもできないよ? 」
「ああ、全く心配はいらない。むしろリーナの作法は誰が見ても優雅で綺麗だ。だから心配ないと思う」
お墨付きを頂いた!!
ならば行くしかないだろう! いざ出陣です!!
◇◇◇
ウィルに案内されて応接間へと急ぐ。
流石に自分よりも家の格が高い方が来ていて、挨拶をしないということはできないからウィルのお母様に会いにいく前に挨拶です。
案内されなくてもカルミア家は自分の家のように知り尽くしてるんだけどね。
扉目の前で立ち止まる。
ど、ドキドキする……!
位が高い人ってあの小さいときのお茶会以来個人的にはあってないから緊張する。
よし、ミスったら全部ウィルのお父様のせいにしよう。
「失礼します。ウィルライン・カルミアとエリーナ・アストランティアが参りました」
そうウィルが告げ静かに扉を開く。
そこにはウィルのお父様、クリス・カルミアと青年が優雅にソファーに座っていた。
クリス様は相変わらずお美しい顔でどこか抜けてるところが少し残念。ウィルと同じルビー色の瞳の持ち主。
そしてその正面に座っている人。
一言で言うと、ウィルとは正反対の雰囲気がある。
月の光を閉じ込めたような銀色の髪をゆるく後ろでひとつに結っていて、その銀色に小さな闇が落ちているかのような紫がかった黒い瞳が、長いまつ毛に縁取られている。
そして陶器のような真っ白の肌。
中性的なその顔立ちはどこか人間離れもしていた。
この方がフラジスト・ウィルダリア……。
予想以上に美しい方だ。というか完全に外見で女子力負けている気がする……。
私よりも先にウィルが挨拶をしにフラジスト様の近くへと歩み寄った。
うわー! ウィルの美貌もフラジスト様にまけてないわ! 流石……二人だけでもとても絵になっておいでで。
ほんとにこうしてみるとふたりは正反対の外見をしているなー。
こりゃ並ぶとご令嬢はぶっ倒れるぞー。
何人犠牲になるかちょっと気になる……。
「リーナ」
ウィルに呼ばれた。挨拶をしろということですな。
すっとフラジスト様の近くに行く。そしてカーテシーを行い軽く自己紹介をした。
「お初にお目にかかります、フラジスト・ウィスダリア様。私はアストランティア伯爵家エリーナ・アストランティアでございます。以後お見知りおきを」
「ああ、丁寧にありがとう。私のことは知っていると思うがフラジスト・ウィルダリアだ。よろしく」
顔をあげるようにと言われ、ゆっくりとカーテシーをやめ元の体勢に戻る。
その際にフラジスト様と初めて目があった。
普段の私なら「眼福」とか言っていただろう。しかし今は違う。
この雰囲気を私は知っている。
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