プロローグ
趣味に突っ走りました!!
どうぞ最後までお付き合いくださいm(_ _)m
景色は途端に色を失った。
全てが灰色に近い薄暗い色になり、窓の外はイルミネーションでキラキラ輝いているにも関わらずそんな光さえも感じられない。
色々な感情が出てきては消え、出てきては消えを何回も繰り返す。
誰かが叫んでいる。
なんて言ってるの?
いや、やめて。それ以上は聞きたくない……!
その報告は突然宣言された。
"真冬くんが死んだ" と
一つ歳上の優しい幼なじみ。
家が隣同士だったこともあってよく一緒に遊んでいた。
「絵梨花、落ち着いて聞いてね。…………数分前真冬くんが息をひきとったの。交通事故らしいわ。車が雪で滑って運悪くそこに真冬くんがいたんですって……」
電話越しのお母さんの声。
多分母も泣いていたのだろう。声が少しかすれていて、いつも元気な母とは思えないほど弱りきった声をしていた。
今私はどんな顔をしているのだろうと、どうでもいい事を考えながら母の言葉を繰り返す。
今日の朝、真冬くんが珍しく真剣な顔で「大事な話があるから。……夜の8時にこの場所で待ってて」と言われたため、イルミネーションが綺麗に見えるレストランの一室でそわそわしながら待っていた。
何で、もっと早い時間にしない? って言えなかったんだろう。
何で、違う場所にしない? って言えなかったんだろう。
もう少し何かが違ったら真冬くんは今も生きて私の目の前で笑っていたかもしれない。
大丈夫だよ、心配かけてごめんね? って優しく頭を撫でてくれたかもしれない。
後悔の渦が私を呑み込んで何もかもに拒絶してしまう。
あれからどうやって家に帰ったかは覚えていない。
お母さんに「今どこにいるの?」っ聞かれて場所を教えた後のことがさっぱりと抜けている。
気づくと自分のベッドで横になっていた。
◇◇◇
あの時から多分数ヶ月がたった。
そういえば一度、真冬くんを轢いた人が真冬くんの家族と何故か私の家にも謝罪しに来たっけ。もちろん人が一人亡くなっているため軽く挨拶に来て"すみませんでしたー"なんていって許されるものではないことは分かっているけど、詳しいことは私には分からないからそこはスルーした。
ただ真冬くんのお母さんも、何故か私のお母さんも延々と終わらないんじゃないかっていうくらい泣いて、どうしてまだこれから生きていく子の命が失われてしまったのかって珍しく怒鳴ってたっけ。
まあ自分の息子が亡くなっているのだから当たり前か。
そんなの事故を起こしてしまった人に言っても仕方のないことなのにと、どこか他人事のように感じる私はすでに心が壊れていたのかもしれない。
私の体は日に日に弱っていった。
真冬くんのいない世界なんて別になくてもいいと何度も考えた。いっそ自殺でもして真冬くんと同じところに行きたいと。でもいつもそこで真冬くんが困ったように微笑むの姿が頭をよぎる。きっと真冬くんはそんなこと望んでない。
だから私は生きた。
まともに高校には行けなかったけど足掻いて、何度も諦めそうになりながら。
自分でも弱すぎるってわかってる。
こんなんじゃきっとだめだって。ちゃんと学校行かなきゃって。
でもだめなの。
体がご飯を受けつけない。
世界ってこんなに味気ない色をしてたっけ……?
そして私の体は限界を迎えた。
一年間
とてもとても長かった。
よく生きたほうだと思う。
お母さんも何度も私を病院へ連れていき、ご飯も点滴でもなんでもいいから体に栄養を取らせようとしてた。でも、私はもう心が病んでしまっていたのだろう。"生きたい"という気持ちが足りなかったのだと思う。
体が動かなくなって、お腹が空いているのかもわからなくなって、、
ああ、自分死ぬんだなぁって思うと不思議と恐怖は湧き上がらなかった。
もうすぐ真冬くんと同じところに行ける、と
静かに目を閉じ、意識が闇の中へと消えていった。
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