戦国航空第0901瓶~悪意の連鎖が止まらない~
「光助、ご飯できたから戻っておいで!」
「ああ! 今行く!」
山の向こうに、夕日が落ちてゆく。
今日も一日が終わった。種蒔きも済み、明日からこの広い畑で野菜達の世話が始まる。この片田舎が嫌で一度は出ていったものの……やっぱり俺は、生まれ育ったこの地を嫌いにはなりきれなかったのかもしれない。服を汚し、軍手を汚し、額からは汗。よく働いた証拠だ。
「……俺は、これで満足だ」
「……それは本当かい?」
「……誰だ? アンタ……」
振り返ると、おおよそこのド田舎の景色には似合わない……真っ赤なドレスを着た女が居た。
「私かい? 私は甲ヶ崎華那。伊ヶ崎波奈を恨む者だ」
「伊ヶ崎……波奈……? ……っ!」
『拝啓、知戸光助様』
「ぐっ、あぁあっ!」
『この度、天寿の社員名簿からあなたの名前が消える運びとなりました』
「があぁぁぁっ!」
頭の中で、響く。怨念の、音。
思い出した。思い出したぞ。
どうして、忘れていたんだ……!
俺が居るべき場所は、ここじゃない……!
こんな田舎じゃない!
「思い出したかい? 君をこんな風にした、全ての元凶を。憎むべき、悪の根源を」
「……ああ。アンタのおかげで全部思い出せた。俺はまだ、夢の途中だったって事をな」
「その通り。君はこんなところで終わるようなタマじゃない。もっとビッグになれるはずだ。どうだい? 私と共に……天寿を滅ぼさないかい?」
「いいぜ。人の人生を滅茶苦茶にしておいて平気なカオしてる外道に天罰を下せるならな。あのクソガキ共にも、目に物見せてやる……! ……で? 俺は何をしたら良い?」
「その調子だ。私についてくるがいい」