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百合魔王航空第0002瓶~マオウ、ナイトメア。~
ふと気がつくと、荒野が広がっていた。
「また、この夢……」
破裂音と、男達の叫ぶ声が、止むことのない空間。
いつからだっただろう。私は、戦争を体感する悪夢を見るようになった。
弾が飛び、土が飛び、人が飛ぶ。高校生の自分は知らないはずの光景が、鮮明に映る。
国籍を問わず、人が倒れていく。無数に増えていくこの遺体の一人一人に、大切な家族が、守りたかった生活があったであろうことは想像に難くない。それを奪った。私の家族が、それに加担した。
「やめますの!」
意味がないことなんて分かってる。この戦争の直線上に今の世界ができていることも。これだけじゃない。歴史上の数々の戦争によって、文明が発達してきたことも。でも、こうせずにはいられない。
見上げると、隊列を組んだ戦闘機群がさながら竜のように空を支配していた。
そして、次々と落ちていった。
一つのプロペラが、私目がけてやってくる。
ぐつぐつと、体の中から上っていく死への恐怖心。
「これは、私に対する……」
罰なのですわ。