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百合魔王航空第0001瓶~大戦~
今となっては昔の話。
かつて、日本は大国と戦争をしていた。「○戦」が空を駆け、野球においても「正球」という言葉が使われていた時代。でもそれはもう何十年も前のこと。この立成の時代では戦禍を覚えている者も少なくなり、人々は教科書や資料で写真を見る程度だと思う。
私の家庭は違う。他人事じゃ済まされない。
その時代、戦闘機事業で財を成した家があった。私の先祖「三瓶財閥」がそれだ。当時の財閥は既に解体されているものの、現在も航空事業を中心とした組織「三瓶グループ」として形を残している。私、三瓶ときわはその直系の子孫、という訳だ。国民の涙を吸い、血を浴びた醜い家庭の子。兵器を作った家系に生まれた者としての業を背負って生きていかなければならないのだ。