TESLA
今回はアメリカン・ハードロックの良心とも言える正統派バンド、TESLAをご紹介します!
前回書かせていただいた経緯の後、私は自分の耳だけで新人のハードロック・ヘヴィメタルアーティストも発掘しようと考えました。
私が初めてアルバムを買ったハードロック・ヘヴィメタル・バンド、DEF LEPPARDは、アルバムの間隔こそ空いていたものの、既に英米ではビッグなバンドでしたからね。
そこで私は、ここ一年(1986年下半期〜1987年上半期)の注目新人のビデオクリップをメドレー方式で放送していたMTVを録画し、繰り返し眺めていた所、ハードロック・ヘヴィメタル系の新人ではGUNS AND ROSESとTESLAという二つのアーティストが目に付きました。
偶然にも、お互いにDEF LEPPARDと同じマネージメントだという事でハズレは無いと確信し、中学一年生の少ないお小遣いでどちらのアルバムを買うか迷った挙げ句、TESLAを選びます!
後にビッグになるのはGUNSの方ですが、彼等のサウンドは当時の私には荒々し過ぎて、しっかりと纏められていたTESLAの方により格好良さを感じていました。
勿論、後にGUNSのアルバムも買いますが、今でもTESLAの方から先にファンになった事は後悔しておりません。
だってGUNSってなかなかアルバム出さないんだもん(笑)。
そんなTESLAの音楽性を一言で表現するならば、「生真面目なAEROSMITH」でしょうね!
プロデビュー前はタクシー運転手をしていたしゃがれ声のボーカリスト、ジェフ・キースを軸に、ブルーズ・カントリー・R&B等、アメリカン・ミュージックの美味しい所をさりげなく盛り込んだハードロックで、グルーヴとワイルド感を強調していたAEROSMITHに比べて、より重心を下げつつしっかりと作り込んだ楽曲で勝負していたのがTESLAでした。
デビュー当時から現在に至るまで、常に風格を漂わせた完成度の高い作品を発表し続けており、高いプロ意識と誠実な人柄が窺える、まさにアメリカン・ハードロックの良心とも言える正統派バンドですね!
彼等はまた、アコースティックギターの使い方が非常に上手く、普段ハードロックを聴かないリスナーの中にも、サザン・ロックやソウルと同列に彼等の音楽を聴くというファン層が確立されました。
音楽シーンの変化に対応しきれない形となって90年代後半に一時期解散状態であったものの、21世紀間近に再結成を果たし、現在まで息の長い活動をしています。
ツアーに明け暮れる生活を愛し、不必要なまでのエゴや欲を持たず、メンバーチェンジもドラッグやアルコールの問題があったギタリスト一人だけという、アットホームで好感度の高いバンドと言えるでしょうね。
そんな彼等のおすすめアルバムは、全米TOP20ヒット「LOVE SONG」を収録し、内容的にも彼等の代表作と言える「THE GREAT RADIO CONTROVERSY」(1989)と、時代の波に翻弄され、一部グランジ〜オルタナティブ的な楽曲も含むものの、アメリカン・ハードロック見本市の様なバラエティに富み、個人的に彼等の楽曲の中で一番好きな「MAMA’S FOOL」を収録した「BUST A NUT」(1994)の2枚を挙げさせていただきます!
ちなみに、彼等の80年代・90年代の輸入盤CDは常に安価で供給され続けており、日本での評価は通好みのアーティストという認識であっても、アメリカでは生活に根付いたハードロックのビッグネームになったんだなと、感慨深くなりますね!
私もおじさんになる訳ですよ(笑)。