BLACK SABBATH
今回は現代ヘヴィロックの生みの親とも言えるアーティスト、BLACK SABBATHをご紹介します!
何故彼等が現代ヘヴィロックの生みの親と言われているのか、まずはその功績を挙げてみましょう。
功績①:ベーシストのギーザー・バトラーの発案と言われている、黒魔術等サタニックなイメージの歌詞やビジュアルを、曲単位ではなくバンドに一貫して持たせた事。
功績②:地を這う様なスローテンポのグルーヴを、バラードやブルーズとは別次元で確立した事。
功績③:ロックミュージックの基本であった、レギュラーチューニング・半音下げチューニングより更に下げたチューニングを採用し、2本の弦による簡略コード・パワーコードを多用した事。
この三点だけでも彼等の偉大さが分かりますよね!
BLACK SABBATHはギタリストで稀代のリフメイカー、トニー・アイオミの存在無しには語れませんが、左利きの彼はバンドのデビュー前の工場の仕事で右手薬指の先端を切断してしまう等、そのキャリアのスタートは逆境の連続でした。
後にプラスチックのチップを加工して指先にはめる事で、何とかギターが弾ける様になりましたが、速いフレーズは弾き辛く、薬指に力が入りにくい事で複雑なコードを長く押さえる事も辛い。
従って、弦の張り(テンション)を弱める為にチューニングを下げてパワーコードを多用し、それまで愛用していたレスポールから、より軽くてボディの薄いギブソンSGと言うギターに持ち変えるのです。
このギターを使った事のある方は分かると思うんですが、軽くて薄い為に、同社のレスポール等と比べて音に個性がなく、弾きやすいけど音が細くて歯切れも今イチ……みたいな中途半端な印象になりがちですよね。
しかし、そこを逆手に取れば、ギターの音を思いっきり歪ませてもベースやボーカルの邪魔をしない音が作りやすいとも言えるのです。
ハードコア系のギタリストに、意外とSGユーザーが多いと言う現実は、軽くてステージアクションがやり易いと言う理由だけではないと思いますよ。
まあ、こんな感じでBLACK SABBATHの偉大さを紹介しましたが、私が彼等の良さに気づくのはずっと先の事でした。
男臭いストロング・スタイルが好きな私にとっては、オジー・オズボーンのやる気あるのか無いのか分からないボーカルは好きになれなかったんですよね(笑)。
一方で、私がハードロック・ヘヴィメタルにハマった頃の彼等は、全く違うタイプの音楽性になっていました。
トニー・マーティンと言う、めちゃめちゃ歌の上手い普通のおじさん(笑)がフロントに立つ時代のBLACK SABBATHは、重厚なメロディック・メタルをプレイしていて今では凄く大好きなアーティストなんですが、当時は昔の映像や楽曲とのギャップに混乱してしまい、彼等は「後回しのアーティスト」になってしまったのです。
彼等と向き合って真剣に聴いたのは、サウンドガーデン等のグランジ〜オルタナティブアーティスト達のリスペクトと、オジーがヘヴィロックのアイコンとして神格化されてからでした。
あくまで個人的なおすすめアルバムは、初期の3作品、とりわけ「MASTER OF REALITY」(1971)と、トニー・マーティン在籍時の「HEADLESS CROSS」(1990)、「CROSS PURPOSES」(1994)です!
前者は彼等のスタイルが完成しつつも、ブリティッシュ・ロックらしいトラッド風味も効いていてロックとして深味があり、後者2枚はとにかく男臭い哀愁がめちゃめちゃ格好いいメロディック・メタルですよ!
しかし、残念ながら後者2枚はCDが廃盤中ですので、トニー・マーティン在籍時の作品で唯一簡単に聴ける作品、「THE ETARNAL IDOL」(1987)もおすすめしたいと思います!
尚、BLACK SABBATHには数年前に亡くなった名ボーカリスト、ロニー・ジェイムズ・ディオが歌っている時代の名盤もあるのですが、彼の魅力はまたいつかDIOと言うアーティストで取り上げたいと思います。