表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/50

STATIC―X


 今回はヘヴィメタル冬の時代だった90年代末期に、インダストリアル・メタルを独自の解釈で親しみやすいダンス調にアップデートした「EVIL DISCO」サウンドで異彩を放った4人組、STATIC―Xをご紹介します!


 彼等は1994年、ロサンゼルスで結成されましたが、ウェイン・スタティック(Vo.Gu.Pro)、ビリー・ジェイ(Dr)、トニー・カンポス(Ba)によるバンド・DRILLに、隣のスタジオでリハーサルを行っていた大阪出身のコーイチ・フクダ(Gu.Pro)を迎え入れる形で、オリジナル・ラインナップが完成します。


 やがてDRILLというバンドが複数存在する事が判明すると、プロを目指す彼等は即座にバンド名をSTATICに変更、レコード契約を獲得後にSTATICというバンドが複数存在する事が判明すると(笑)、STATIC―Xとバンド名を改め、ようやく晴れてデビューに漕ぎ着けたのでした。


 彼等のデビューがホラー映画のサントラへの楽曲提供だった事もあり、バンドのコンセプトや歌詞、アートワークもホラー調に統一。

 

 1999年、デビュー・アルバム「WISCONSIN DEATH TRIP」を発表すると、シングル「PUSH IT」が全米シングル・チャート57位、アルバムは50万枚を売り上げる等、ヘヴィロック系の新人としては異例の大成功を収めます。


 セカンド・アルバム「MACHINE」も成功を収め、彼等はモダン・ヘヴィロック〜NU METALの代表格にのし上がりますが、アルバム完成に前後してコーイチが脱退、バンドは後任にトリップ・アイゼン(Gu)を迎えてピンチを脱しました。


 その後に発表されたアルバムも、前2作程のヒットにはなりませんでしたが、音楽セールスがCDから配信へと移行する過渡期にもしぶとく実績を残し、同時期に台頭したDISTURBED等とともに、ハードロック・ヘヴィメタル系列音楽の強みをまざまざと見せつける事となります。


 しかし、そんな彼等に最大のピンチが訪れました。

 ギタリストのトリップ・アイゼンが、未成年との淫行容疑で逮捕されてしまったのです。

 

 バンドはやむ無く彼を解雇しましたが、逮捕のイメージ的な問題で後任探しは難航。

 そこへコーイチが復帰する事になり、バンドの行く末を心配したファンからは熱烈な歓迎を受けるのでした。

 

 元来、コーイチの脱退は仲違いではなく、彼のアイディアをウェインが柔軟に取り入れる事で円満な復帰が実現したとの事です。


 コーイチ復帰第1作の「CUNNIBAL」(2007)、ライヴ・アルバムの発表で、完全復活を印象付けた彼等でしたが、ウェインはロック・シーンの変動からバンドの活動を休止する事を決め、ソロ・アルバムを発表した後の2014年、ウェインの謎に満ちた死でバンドは解散を決定しました。


 STATIC―Xのフロントマンであるだけでなく、デビュー以前からヘヴィロック界の世話役として慕われていたウェインの死は、今でも多くのアーティストから追悼の意を集めています。


 彼等の魅力は、どちらかと言えば難解で、政治的なメッセージを重視する硬派なイメージがあったインダストリアル・メタルを、「EVIL DISCO」の名の下にアップデートし、ダンスミュージックのキレにヘヴィロックの重量感を程よくブレンドした、禍々しくも楽しいロックを生み出した功績に尽きるでしょうね!

 イメージ的に混同しがちなMARILYN MANSONやROB ZOMBIEとの違いは、圧倒的なスピード感とキレ味の良さにあると思います。

 

 正直、音楽的な深味には欠けており、即効性は高いものの飽きられるのも早く、ウェインはその辺りを冷静に受け止めながらシーンの流れを見ていたのかも知れませんね。


 彼の真意はもう、確かめる事が出来ませんが……。


 ちなみに、ウェインやコーイチはミリオンセラー・アーティストでありながら庶民的で、10000円そこそこのマルチ・エフェクター(ZOOM)を一生懸命活用したり、マーシャル社の初心者モデルであるMGアンプでレコーディングまでしてしまう等、貧しくて高級な機材が買えないメタル・キッズの兄貴分的な存在感で愛されていました。

 

 強面の印象が強いメタル系ミュージシャンですが、中身は間違いなくいい人揃いなんですよね。


 そんな彼等のおすすめアルバムは、大ヒットした初期の2枚、「WISCONSIN DEATH TRIP」(1999)と「MACHINE」(2001)に加えて、ダンス・グルーヴを保ちながらも全編生ドラムを採用した「START A WAR」(2005)の3枚です!


 ……と言いたい所なんですが、実は輸入盤CDで「WISCONSIN……」から「CUNNIBAL」までの5枚をセットにして2000円位で買えてしまう「ORIGINAL ALBUM SERIES」というものが出ているんですよね(笑)。

 私はコレで済ませちゃいました!激しくおすすめです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ