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番外編 ハードロック・へヴィメタルの機材①


 今回は番外編として、ハードロック・へヴィメタルに使われる楽器やアンプ、エフェクター等についてご紹介したいと思います!


 ハードロックという音楽ジャンルが世界的に認知されてきた1960年代終盤、JIMI HENDRIX EXPERIENCEやERIC CLAPTONを擁するCREAMをハードロック足らしめていた要因は、大音量のアンプから必然的に生み出されていた歪んだギター・サウンドでした。


 エレクトリック・ギターの歴史から考えれば、ジャズやブルース、カントリーでの使用を前提としていた時代には「ギター・アンプは音が歪まない範囲で使用するもの」という常識があり、ギターアンプの世界では、ボリュームを上げても音の歪みが少ないフェンダー社のアンプが支持されていた歴史があります。

 

 よって1950年代のロックは、ELVIS PRESSLEYにせよCHUCK BERRYにせよ、アンプのボリュームを上げただけの軽く歪んだサウンドでギターをプレイしていました。


 後にハードロック・へヴィメタル・アンプの代名詞となるマーシャル社の当時の評判は、「頑丈なんだけど、音がすぐ歪んでしまう」というものだったんですよね。


 1960年前後になると、ジャズ・ギタリストのGRANT GREENやブルーズマンのFREDDY KINGが、レコーディング時に歪んでしまった小型アンプのサウンドを「クールだ」と考える様になり、それまでの軽い歪みに物足りなさを感じていたTHE KINKSが、アンプのスピーカーに切り込みを入れて歪んだ震動音を作り出す等、徐々にミュージシャンの立場から歪んだギター・サウンドの需要が生まれてくる事になります。


 そこからマーシャル・アンプへの需要が高まっていく過程については、第1部で触れていますので割愛させていただきます。


 高出力の大型アンプを大音量にして歪ませる事により、ロックの可能性は飛躍的に拡大しましたが、アマチュアのギタリスト、或いはお金が無くて小さいスタジオしか使えないプロ・ギタリストにとっては、近所迷惑から大型アンプを大音量に出来ない事情があり、小音量でも激しく歪んだギター・サウンドへの渇望が高まっていくのでした。


 そこで登場したのが、ギターとアンプの間に繋いでギター・サウンドを変化させる、所謂エフェクターというものです。


 当時は現在の様な多彩なエフェクターは存在していません。

 音を歪ませるという仕組みも、「人工的に過大入力しておいたから、後はお前らで何とかしろ」というものであり、JIMI HENDRIXやJEFF BECKの様な、エフェクターを使いこなせるセンスのあるギタリストの奏法が、急激にロック・シーンに浸透していく事となりました。


 最古の歪みエフェクターは、「ファズ」、「ブースター」と呼ばれる物で、現在の一般的な人気エフェクターである、「オーバードライブ」や「ディストーション」はまだ開発されていません。


 「ファズ」というエフェクターはかなり極端に音を歪ませるので、多くの音楽で飛び道具的な使われ方をされており、日本の音楽でもGS(グループ・サウンズ……ザ・タイガースやスパイダーズ辺りが有名です)や「仮面ライダー」、「タイガーマスク」等のテレビ番組のBGMとして効果的に使われていました。


 「ファズ」や「ブースター」の登場で、アマチュアや売れないプロ・ギタリストも簡単にハードロック・サウンドを手に入れる事が出来るようになりましたが、それでも大型アンプを大音量で鳴らした「本物の歪み」には敵わず、アンプを大音量で使えない小さな会場への対策も兼ねて、エレクトリック・ギターの心臓部である「ピックアップ」にも開発の興味は向けられていきます。


 ピックアップとは、エレクトリック・ギターの弦の下に埋まっているプラスチックのカバーがついた棒の様な物の事で、棒が1本の「シングル・コイル」と、棒が2本くっついた「ハムバッカー」の2種類が一般的です。


 このピックアップで弦の振動を拾い、電気信号に変換してアンプから音を出す仕組みなのですが、このピックアップを高出力にすれば、小さいボリュームでもアンプを歪ませる事が出来るはずだ……と考えた訳ですね。


 その目論みは見事に的中し、1970年代前半にはディマジオ社のハムバッカー、「スーパー・ディストーション」がKISSのエース・フレーリー等に愛用され、ここにハードロック・サウンドの基本が完成するのです。


 高出力ピックアップを登載したギターを、アンプのボリュームを上げて歪ませ、歪まないクリーンなサウンドが欲しい時はギター本体のボリュームを下げて出力を下げる。

 更に、ギター・ソロ等で激しい歪みが欲しい時は、歪んだアンプの上から更にエフェクターを踏む……実はこれ、50年近く経過した現在でもロック・サウンドの基本なんですよね。


 今時ギター・アンプ以外使い道の無い真空管といい、ロック・ギタリストとは本当にアナログな人種です(笑)。


 機材の話は、また番外編の機会にしていきたいと思います。


 ハードロック・へヴィメタルは、自らも楽器を持つと更に楽しめる音楽です。

 プロの様にギターを弾く事は難しいですが(私はプロレベルになる事は諦めました……)、そうでなくともエレクトリック・ギター1本で確実に人生は変わりますので、ギターを始めたい方が質問をしたい場合は、感想欄等も活用して欲しいですね!

 

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