EUROPE
今年も色々ありました。
私が「小説家になろう」に初めて来たのも今年の9月です。
3ヶ月前は、私にとってこの場所がこれほど大きな存在になるとは思いませんでしたよ!
令和元年、西暦2019年も、いよいよファイナル・カウントダウンが始まりましたね……。
今回は北欧メタルの代名詞的バンド、あの名曲「THE FINAL COUNTDOWN」のイントロは、日本でもTHE BEATLESやCARPENTERS並の浸透度を誇る、EUROPEをご紹介します!
彼等は1979年、スウェーデンのストックホルムでジョーイ・テンペスト(Vo)、ジョン・ノーラム(Gu)、ジョン・レヴィン・(Ba)、トニー・レノ(Dr)の4人組バンド、FORCEとして結成され、1982年、地元のバンドコンテストで優勝した報酬として、メジャー・レーベルの「EPIC」からアルバム1枚分のレコーディング契約を獲得します。
彼等はここでバンド名をEUROPEに改め、翌年にデビュー・アルバム「EUROPE」を発表します。
演奏やプロテュースはまだまだ粗削りでしたが、若い勢いと哀愁のメロディーに彩られた「SEVEN DOORS HOTEL」等の楽曲は、母国に次いで日本で高い評価を受け、外貨獲得の実績も買われて彼等のレコード契約はめでたく延長されました。
翌1984年にはよりハードロック然としたセカンド・アルバム「WINGS OF TOMORROW」を発表し、母国と日本での人気を定着させる事に成功しますが、ドラマーのトニーが脱退してしまいます。
彼等は後任ドラマーに、スウェーデンでセッション・ドラマーとして定評のあったイアン・ホーグランドを迎え、更にバンドの方向性を話し合った結果、専任のキーボーディストとしてミック・ミカエリを加えてよりメジャー志向のハードロックを創造する決意を固めるのでした。
幸運な事に、世界的なハードロック・ヘヴィメタル・ムーブメントに後押しされる形でEPIC本社からアメリカ進出をサポートされた彼等は、JOURNEY等で有名なプロデューサー、ケヴィン・エルソンの下でレコーディングを行い、サード・アルバムを完成させるのです。
それがあの名盤「THE FINAL COUNTDOWN」(1986)でした!
アラフォー以上の方であれば、イントロを知らない人はいないレベルの名曲であるタイトル曲や、全米制覇を成し遂げたバラード「CARRIE」等、ハードロックの、それも北欧出身のアーティストによるシングル・ヒット連発はまさに快挙で、全世界で700万枚ものセールスを上げた彼等は、母国スウェーデンではABBAと並ぶ国民的英雄の地位を獲得する事となります。
ハードロックでありながら万人向けの分かりやすい楽曲と、若きイケメン揃いという点から当時比較されていたBON JOVIのリーダー、ジョン・ボン・ジョヴィが、日本のマスコミの取材に「EUROPEって人気あるよね?」と、露骨なライバル意識を見せる程、当時の彼等の勢いは凄まじいものがありました。
しかし、ヒット・ポテンシャルと引き換えに自らのギターの音量バランスを下げられてしまい、更にアイドル的なフォト・セッションの仕事が増えてライヴの回数が減る等、ロック・スターの座とハードロック・ギタリストとしてのプライドとの狭間で葛藤したジョンがバンドを脱退すると、彼等の快進撃にも陰りが見え始めます。
後任ギタリストにキー・マルセロを迎え、1988年に発表したアルバム「OUT OF THIS WORLD」は、楽曲の完成度では前作を上回る程の作品で、私個人としては大好きなアルバムでしたが、あまりにボーカルとキーボードを前面に出し過ぎたサウンドはハードロックとは言い難く、古くからのファンを失ってしまうのでした。
ロック・シーンも様変わりした1991年、ハードロック路線へ回帰したアルバム「PRISONERS IN PARADISE」を発表した彼等には「過去のバンド」というイメージが付きまとい、高品質な作品が評価されずにレコード契約を失った彼等は休息が必要と判断して活動を休止する事になります。
その後は各々の活動に専念していた彼等ですが、1999年末の「ミレニアム・ファイナル・カウントダウン・イベント」に合わせた再結成という依頼を引き受け、そのライヴをきっかけに再始動。
2004年には、黄金期のメンバーで再出発アルバム「START FROM THE DARK」を発表し、ベテランらしいキャリアを活かした、彼等のルーツに近いブルージーな70年代型のハードロックでマイペースな活動を続けています。
彼等の魅力を語るとき、デビュー当時の哀愁のハードロック路線を語るべきか、黄金期のアメリカナイズされたゴージャスなハード・ポップ路線を語るべきか、はたまた再出発後のブルージーなハードロック路線を語るべきか、非常に迷う所です。
しかし、やはり私自身のリアルタイムでもある、黄金期の彼等を語らせていただきたいと思います。
彼等の魅力は、北欧らしい透明感を持ち、暑苦しさの無い爽やかなメロディーラインを主体とした優れた楽曲を、ハードロックの範疇に押し込んではいけない程の歌唱力を持つジョーイの爽やかなボーカルが包み込む、という点にとどめを刺すでしょう!
また、初代ギタリストのジョンはエモーショナルな熱いソロとリフ、2代目ギタリストのキーは正確無比なテクニックを活かしたソロと、アレンジとして計算されたリフ……という様に、対照的なギタリストの個性を楽しめるのも彼等の魅力と言えるでしょうね!
おすすめアルバムはやはり黄金期の3枚、「THE FINAL COUNTDOWN」(1986)、「OUT OF THIS WORLD」(1988)、「PRISONERS IN PARADISE」(1991)で、過小評価されがちな「PRISONERS〜」には、JーPOPファンでもドストライクに感動出来る大名曲「I'LL CRY FOR YOU」が収録されています!
「ハードロック・へヴィメタルを語る!」は、今回を年内最後に年始までお休みします。
とは言え、執筆活動をお休みする訳ではありません。
他の連載の執筆もありますし、見切り発車でスタートした為に文体や内容にばらつきがあった、この「ハードロック・へヴィメタルを語る!」の初期の記事を改稿する作業を年末に行いたいと思っているのです。
何かを崇める為に何かを貶めたり、自己顕示欲の為に敵を作らなければならない様な文章は、書いている時はめっちゃ気持ちいいんですけど(笑)、世に出した後に興奮と後悔が入り混じった様な自責の念に襲われますよね。
「ハードロック・ヘヴィメタルを語る!」は、音楽の力をポジティブに讃え、日々のストレスから何時でも現実逃避出来る、エアポケットの様な場所でありたいと思っています。
それこそが「小説家になろう」の存在意義だと思いますしね。
これからも宜しくお願い致します。