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FIVE FINGER DEATH PUNCH


 今回は現代のメインストリーム・へヴィロックのど真ん中!別名アメリカン脳筋演歌メタル(笑)と呼びたいFIVE FINGER DEATH PUNCH(以下FFDP)をご紹介します!


 FFDPは2005年、ハンガリー出身のギタリスト、ゾルタン・バソリを中心にロサンゼルスで結成されました。


 私が初めて彼等を知った時に気になったのが、ゾルタンが1970年生まれだという点。

 特に目立ったキャリアも無い新人ギタリストとしては、やや遅咲き過ぎると思いましたね。

 

 実は彼は、祖国であるハンガリーの社会主義体制に希望を見出だせず、アメリカン・ドリームを求めて18歳で単身ロサンゼルスに渡り、L.A.METAL末期のクラブ・シーンで修行していた筋金入りのメタル野郎だったのです。


 ところが、プロデビューを目指した修行の最中にロック・シーンは大変動。

 ゾルタンは自分の音楽的な信念を曲げてまでプロデビューする事を拒み、音楽は続けながらも、堅気の社会人としてどこまでアメリカン・ドリームに近付けるか挑戦していました。


 FFDPの歌詞には、「社会への不平不満を言う前に自分の怠惰と戦え」という、ロック好きにとっては少々耳の痛いメッセージがあります(笑)。


 このメッセージの背景には、社会主義に馴染めなかったゾルタンにとっては、寧ろ自己責任の究極資本主義社会であるアメリカの方が快適であったという経験が裏付けされていました。


 この思想信条は、一般的に「表層的であっても取りあえず反体制」が売りのロックバンドとしてはかなり珍しく、ある意味彼等を「体制側バンド」として個性付けていると言えるでしょうね。


 その思想信条に違わず、政治家や資本家への批判よりも先に軍隊を積極的に支持して慰問活動を欠かさない等、脳筋の様に見えて実は極めて実直なアメリカ讚美バンドであり、故にアメリカの白人の間で熱狂的な人気を誇っているのです。


 アメリカ体制側の人気バンドと言えば、真っ先にKISSが思い浮かびますが、実はポール・スタンレーもジーン・シモンズもハンガリー系ユダヤ人なんですよね。


 体制側のロックバンドなんて……と眉をひそめる方もいるでしょうが、彼等の音楽は極めて痛快であり、ステージも子どもから大人まで楽しめるフレンドリーな雰囲気なので、思想信条で毛嫌いするには惜しい魅力を持ったバンドだと断言出来ます!


 彼等の音楽スタイルは、男臭くハードコア的なアイヴァン・ムーディのシャウト・ボーカルと、80年代メタル的なセンスを持ちながらもへヴィロックの歴史を凝縮した様な美味しいギター・サウンド、更にへヴィかつ安定感のあるリズム・セクションが織り成す、ポップなメタル・コアとでも言うべきものです。


 そして最も特筆すべき魅力は、その曲作りの上手さですね。

 どの楽曲にもリスナーのハートを掴むキャッチーなサビがあり、一方でバラードには演歌かカントリーか?と言わんばかりの泣きのコブシがあります。

 それでいながら、決して軟弱にはならない絶妙なバランスで、あくまでもへヴィロックらしさはキープされています。

 売れなきゃおかしい、ズルい音楽です(笑)。


 しかし、余りに高品質な作品を安定してリリースしているが故に、逆にマンネリ化が懸念されている事も事実。

 個人的には、そろそろプロデューサーのケヴィン・チャーコさんと手を切るべき時が来たと思いますね!

 彼等の楽曲に文句は無いのですから、サウンドにもう少しエッジが必要なのです!


 彼等のおすすめアルバムには、私が彼等を好きになったきっかけとなった名曲「UNDER AND OVER IT」を含む「AMERICAN CAPITALIST」(2011)と、バラードを減らしてコンパクトな楽曲を詰め込んだ「GOT YOUR SIX」(2015)の2枚を挙げさせていただきます!

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