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PANTERA


 今回はモダン・へヴィロックに多大なる影響を与えたテキサスの俗悪狂獣バンド、PANTERAをご紹介します!


 彼等は1990年のメジャー・デビュー後に大ブレイクを果たした為に、頑固一徹なへヴィロック・バンドだと思われがちですが、1981年、ダイヤモンド・ダレル(Gu)とヴィニー・ポール(Dr)のアボット兄弟を中心にテキサスで結成された時点では、VAN HALENやDEF LEPPARD等に影響を受けた分かりやすいハードロックをプレイしていました。


 やがてレックス(Ba)とテリー・グレイズ(Vo)が加わってバンドの体制が整うと、当時流行の兆しを見せていたL.A.METALタイプのサウンドのデビュー・アルバム「METAL MAGIC」(1983)を自主制作で発表します。


 ちなみに、このデビュー・アルバムのプロデュースはアボット兄弟の父親が担当しており、レコーディングに使用したギターとアンプはダレルが地元のコンテストで優勝してゲットした、当時はまだ無名の中小企業であったDEANギターとRANDALLアンプでした。

 元手をかけずにアルバムまで作れる、相当な音楽一家だった様ですね。


 しかしながら、テキサスのローカル・シーンでの活動にとどまっていた彼等は、ツアーに訪れる大物アーティストの前座こそ出来ても、自らがブレイクするきっかけは掴めず、テリーの脱退後にバンドの音楽性を見つめ直します。


 そこに現れた新ボーカリストのフィル・アンセルモは、見た目もパフォーマンスもワイルドそのもの。

 彼等は1988年発表の4枚目のアルバム「POWER METAL」から、スラッシュメタル的な攻撃性を取り入れた硬派なメタルへと生まれ変わるのでした。

 

 「豹」を意味するバンド名に違わぬワイルドなパワーメタルへと変貌を遂げた彼等は、テキサスを飛び出してアメリカ中を回るツアーを敢行し、METALLICAやMEGADEATHがメジャー・シーンを席巻する時代の追い風を受け、メジャー・レーベルの「ATCO」との契約をゲットします。


 1990年のメジャーデビュー・アルバム、「COWBOYS FROM HELL」から、彼等の全く新しいパワーメタル・サウンドはシーンに驚きをもたらしました。


 ギタリストのダレルが「昔から使い慣れていたし、音の立ち上がりが良いからこのメーカーのアンプで行くと決めた」というRANDALLのトランジスタ・アンプは、ロック・ギタリストの大半が好む真空管アンプの暖かいサウンドとは正反対の、冷徹にザクザクした耳障りなサウンドで大きなインパクトを与えます。


 更に、プロデューサーのテリー・デイトとともに磨き上げた1/4音下げ等の独特なチューニングによる唯一無二のギター・サウンドと、バスドラムのヘッドとスティック先端に施されたセルロイドのコーティングによる、これまでにない強烈なビートは、後のへヴィロック・バンドの標準装備となる程の影響力を持つ事になります。


 メジャーデビュー・アルバムはチャートこそ下位に低迷しましたが、強力なライヴの評判でアメリカ中のへヴィメタル・ファンに彼等の名前は浸透し、MOTLEY CLUEのトミー・リーもインタビューのBGMにPANTERAを大音量で流す事を要求する等、このシーンならではの「横の繋がり」によって、彼等のブレイクの下地は整えられて行くのです。


 そして1992年、へヴィロック史上に残る大名盤「VULGAR DISPLAY OF POWER」を発表し、彼等はメタル・シーンが低迷を続けた1990年代中盤から2000年代初頭を孤軍奮闘する、全世界的な成功者となるのでした。


 しかし、アンセルモの麻薬問題やメンバー各々のソロ活動等がある中2002年にバンドが解散状態になると、2004年にはダレルが銃を隠し持ったファンからライヴ中に射殺されてしまうという悲劇がメタル・シーンを襲います。


 2018年には、ドラマーでダレルの兄のポールも亡くなってしまい、PANTERAの再結成は永遠に叶わないものとなってしまいました。


 しかしながら、彼等の影響力は絶大で、今の若い人が20年以上昔のアルバムを聴いても、「これ、今のへヴィロックと同じやん!」という衝撃を受ける事は確実ですよ。


 彼等の魅力は、徹底してへヴィかつ攻撃的であるにもかかわらず、ロックの勘どころを押さえている街・テキサスならではの直感的な格好良さとポップさがある楽曲と、アンセルモのワイルドなのに意外と下品じゃない深味のあるボーカル、変幻自在なダレルのギター、まさに鋼鉄ばりのへヴィさで一体化したレックスとポールのリズム・セクションと、バンドとして非の打ち所がない完成度にあります。


 現代のへヴィロックでは当たり前の個性として定着した、「歯切れが良いのにうねるへヴィネス」というものを最初に確立したバンドと言えますね!


 おすすめアルバムは彼等の出世作である「VULGAR DISPLAY OF POWER」(1992)、このへヴィさで全米アルバム・チャート初登場ナンバーワン(!)の「FAR BEYOND DRIVEN」(1994)、そして彼等唯一の公式ライヴ・アルバム「OFFICIAL LIVE 101PROOF」(1997)の3枚です!

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