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MOTLEY CLUE


 今回はL.A.METALの牽引役にとどまらず、バッド・ボーイズ・ハードロックの代名詞として世界中の支持を集めている大物バンド、MOTLEY CLUEをご紹介します!


 2014〜2015年末のフェアウェル・ツアーを最後に正式な活動停止を表明した彼等でしたが、自伝的映画「THE DIRT」のヒットで再評価され、つい先日その活動停止誓約書を爆破して(笑)再結成ツアーを行う声明を発表しました。


 ロック狂の悪ガキがそのまま大人になった様なキャラクターの彼等であれば、「暇だったし、もっと稼ぎたいと思ったから再結成した」と言っても許されますが、個人的にはギタリストのミック・マーズの体調やモチベーション、病気の治療費等で、バンドの結束を再確認するシリアスな意味合いの再結成だと推測していますね。


 彼等の結成は1981年、ロサンゼルスのハードロック・バンド、LONDONを脱退したニッキー・シックス(Ba)が好みのメンバーをライバル・バンドから引き抜く形で実現します。


 ニッキーは貧乏時代に空のベースケースだけを買い、セキュリティが緩い安物のベースを万引きした事があると後に告白していましたが、良くも悪くもそのアイディアマンとしての素質がMOTLEY CLUEを成功に導いた事は間違いないでしょう。


 トミー・リー(Dr)、ミック・マーズ(Gu)、ヴィンス・ニール(Vo)を従えたニッキーは、1979年勃発のイギリスのへヴィメタル・ムーブメント「NWOBHM」を参考に、当時のアメリカには無かったPR戦略を実行して行きます。


 ライヴ会場での7インチレコード(今で言う所のCDマキシシングル)配布や自ら権利を持った自主製作アルバム作成、英国式の「デニム&レザー」に拘らない、カットTシャツや母親のネグリジェまで?動員したファッション等々、彼等の影響力は現在ではKISS並みで、ビジュアル戦略を重要視しなかったVAN HALENは既に超越したレベルにあると言っても過言ではありません。


 1982年、自主製作アルバム「TOO FAST FOR LOVE」の権利をワーナーに買い取らせ、リミックスを施してデビューした彼等でしたが、当時は「安っぽいAEROSMITH」等と酷評されました。


 とは言え、評論家の批判よりもライヴに詰めかけるファンの方が重要であるのはロック・バンドの常識ですよね。

 彼等はそのライヴ・パフォーマンスで支持を拡大し、TRIUMPHの記事でもご紹介した「US FESTIVAL」への参加で人気が爆発、ハードロック・バンドとしては稀有な、TOP40シングル・チャートでも勝負出来るメジャー・バンドに成長します。


 しかし、最年長で脊椎の病気持ちだったミック以外はピュアな悪ガキの彼等、若くしての大成功は麻薬やアルコールの問題を引き起こし、泥酔運転のヴィンスはHANOI ROCKSのドラマー、ラズルを事故に巻き込んで死なせてしまい、ニッキーはヘロイン中毒による仮死状態で楽屋から病院直行と、お騒がせでは済まないレベルの問題を続発させてしまいます。

 ちなみに、ニッキーの病院搬送に付き合ったのはGUNS AND ROSESのスラッシュとスティーブン・アドラーでした。


 彼等はその後麻薬やアルコールの問題を断ち切り、1989年のアルバム「DR.FEELGOOD」で念願の全米制覇を成し遂げ、ロック史にその名を刻むビッグネームに君臨します。


 90年代は順風満帆に見えた彼等でしたが、シーンの変貌でエンターテイメント系のハードロックは下火になり、ヴィンスが趣味のカーレースに熱中していた背景もあって、1993年、バンドはヴィンスを解雇し、当時隆盛のグランジ〜オルタナティブ系寄りのアルバムを作る為、新たにジョン・コラビをボーカリストに迎えます。


 個人的に、ジョンを迎えたアルバム「MOTLEY CLUE」はかなりの良作だと思うのですが、やはり80年代のイメージを払拭する事は出来ず、1997年からは基本的にオリジナル・メンバーで活動を続けていました。

 

 トミーが脱退していた一時期は、新メンバーとして経験豊富なランディ・カスティロを迎え、彼が癌で闘病中(後に死去)の間に、元HOLEの女性ドラマー、サマンサ・マロニーを迎えていた事は、ハードロック・へヴィメタル界としては画期的なニュースだと思いますので、ここでスペースを割いてご紹介させていただきます。


 彼等のサウンドは、特に奇をてらった部分はないオーソドックスなハードロックで、ギタリストのミックのプレイスタイルも70年代的なブルーズ・ベースのものである事から、AEROSMITHの80sアップデート版と考えるのが妥当な所であると言えるでしょう。


 しかし、ヴィンスが持つ天然のチャラい声質が楽曲をポップに彩り、実は機械の様に正確にあらゆるスタイルを弾きこなせるニッキーのベーシストとしての実力と、ハードロック・ドラマーとしては圧倒的なリズム・アイディアと引き出しを持つトミーのプレイ(ハードロック・ドラマーが疎かにしがちな裏拍への意識が半端ないです)で、彼等のサウンドは唯一無二のものとなっていますね!


 彼等は結構アルバム毎に違うスタイルに挑戦しているので、おすすめアルバムも選者によってガラッと変わると思われます。

 へヴィメタル・バンドとしての彼等を堪能したい場合は「SHOUT AT THE DEVIL」(1983)、バッド・ボーイズ・ハードロックを堪能したい場合は「GIRLS.GIRLS.GIRLS」(1987)、一枚で彼等を知りたいという場合は「DR FEELGOOD」(1989)をおすすめします!

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