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CINDERELLA


 今回は80年代のメタル・ムーブメントを盛り上げつつも、デビュー時の「ヘア・メタル」と揶揄されたルックスと、ブルーズをベースにした本格派のハードロック・サウンドとのギャップを埋められなかった悲運のバンド、CINDERELLAをご紹介します!


 大好きなバンドですね!

 去年の秋に5枚組ボックスセットが出た時も真っ先に入手してAmazonにレビューし、直後に増産体制の為3ヶ月程入荷が無かったので、日本で最初にこのボックスセットを入手したと自負しております(笑)。


 彼等はトム・キーファー(Vo.Gu)と彼の友人エリック・ブリティンガム(Ba)を中心にフィラデルフィアで結成されましたが、ブルーズをベースにしたオーソドックスなハードロックという、トレンドからはやや距離を置いた音楽性と、曲作りからボーカル、ギターソロまでトムが担当するワンマンバンドという体制ゆえに、なかなか他のメンバーが定まりませんでした。


 1985年、地元のクラブで彼等のライヴを観たBON JOVIの推薦でレコード契約を得たものの、デビューアルバムのレコーディング時のバンドメンバーはトムとエリックの二人だけ。

 セッションギタリストとドラマーを起用してレコーディングを終了させ、正式メンバーに迎えられたジェフ・ラバー(Gu)とフレッド・コウリー(Dr)の初仕事はライヴではなく、写真とビデオ撮影……という、如何にもこの時代のハードロック・バンドという顛末でしたね。


 1986年、アルバム「NIGHT SONGS」でデビューした彼等は、やや地味でオーソドックスな音楽性を補う為に派手なルックスとステージ・アクションのライヴと、それを活かした作りのビデオクリップのオンエア作戦で知名度を高めていきます。


 また、前座として彼等を起用してくれていたBON JOVIの世界的大ブレイクと重なった事もあり、デビューアルバムがいきなり300万枚という大ヒットを記録しました。


 一躍時代の寵児にのし上がる、まさにシンデレラ・ストーリーを体現した彼等は、より渋味を増した1988年のセカンドアルバム「LONG COLD WINTER」までも200万枚の大ヒットとなり、このままビッグアーティストへの仲間入りをするかと思われましたが……。


 転機が訪れたのは1991年。メタル・ムーブメントが沈静化し、ALICE IN CHAINSやSOUNDGARDEN等の新世代ロックバンドの台頭により、派手なルックスやアクションを売りにしていた所謂「ヘア・メタル」に分類されていたバンドは淘汰されて行きます。


 CINDERELLAは元来、ブルーズをベースとしたアメリカに根を張っている音楽性であった為、よりルーツに忠実になったサードアルバム「HEARTBREAK STATION」で着実に生き延びると思われていましたが、ドラマーのフレッドの脱退、トムの喉の手術が重なって活動が停滞している間に、新世代のバンドにポジションを奪われてしまうのでした。


 新しいドラマーを迎えて3年振りに発表した「STILL CLIMBING」は、原点回帰とも言えるハードロック・アルバムでしたが、チャートにすら入らず、「ヘア・メタル」のイメージを持つバンドは死んだと、多くの80年代型バンドを解散に追い込むとどめの一撃となってしまいましたね。


 しかし、捨てる神あれば拾う神あり!

 脱退したフレッドは仲違いをしていた訳ではなく、実はスタジオのオーナーとなってトムと仲間の復帰を待っていたのです!


 彼の所有するスタジオでレコーディングした新曲を含むベストアルバムを97年に発表し、経費を削減しつつ売上げでツアー資金を得た後は、ライヴで全米を回る生活と、トムのソロ活動という両輪で、CINDERELLAは現在も生き延びております!


 彼等の魅力は、AEROSMITH + AC/DCとでも表現出来る豪快なハードロックに、クラシックロック・ファンをも納得させるブルーズ・フィーリングを巧みにブレンドしている所にあります。

 

 明らかにAC/DCのブライアン・ジョンソンからの影響が窺える、トムのダミ声ボーカルは好みが分かれると思いますが、ハードロックの王道を行くギター・リフとソロはシンプルながらセンスが良い為、何度聴いても飽きが来ませんね。

 私もギターを弾きますが、ウォームアップはもう10年以上CINDERELLAのリフですよ!


 また、歌詞も薄っぺらいラブソングや権力への不満ではなく、トム自身の人生から紡ぎ出されたブルーズである為、30過ぎた辺りから急に胸に滲みる様になります(笑)。


 おすすめしたいアルバムは全部……と言いたい所ですが、まずは彼等の代名詞であるデビューアルバム、「NIGHT SONGS」(1986)です。

 ドラムの音にやや時代を感じますが、派手さと渋さが両立した名盤で、特にオープニングの「NIGHT SONGS」の良さが分かれば貴方は死ぬまでハードロック・ファンでいられるでしょう。


 そして、個人的には80年代ハードロックの最高傑作だと思っているセカンドアルバム、「LONG COLD WINTER」(1988)を激推し致します!

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