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MORBID ANGEL


 今回はデス・メタルのパイオニアにして帝王、MORBID ANGELをご紹介します!


 デス・メタルとブラック・メタルはどこが違うの?という話をよく振られるんですが、前者がサウンドと連動した暴虐性重視である所、後者は反キリスト的な思想と歌詞重視である所が違いと言えるでしょう。

 ブラック・メタルには、荘厳さを演出する為にギターよりシンセの音の方がデカいバンドもあって、いやこれメタルちゃうやろ?ってのがありますからね(笑)。


 唯一のオリジナルメンバーのギタリスト、トレイ・アザトースによって彼等がフロリダで結成されたのは1983年。

 既に1986年には、デス・メタルの原型とも言える咆哮や極端に歪ませたギターサウンドなどを提示したアルバムを完成させますが、バンド自身が「世に出すレベルではない」と判断してお蔵入りにする等(後に海賊盤対策で発売)、デビュー前から高いプロ意識を持っていたバンドでした。


 1989年に満を持してリリースされたデビュー・アルバム「ALTARS OF MADNESS」は、既にこれ以上は何も足し引きの必要が無いほどに優れたデスメタルの聖典(バイブル)であり、一般の方々がデスメタルと聞いてイメージする嫌悪感もさほど感じない、スラッシュメタルが聴ける方なら全然大丈夫な歴史的名盤です!


 その後の彼等はボーカリストやセカンド・ギタリストの脱退や交替等、紆余曲折を経ながらも優れたアルバムとライヴを重ね、フォロワー達とは格の違いを見せつけていました。


 しかし、トレイとともにサウンドの核を支えていた超絶技巧ドラマー、ピート・サンドバルが腰痛で脱退してからは、流石のトレイも活動のペースを落とさざるを得なくなります。


 未だ年齢を感じさせない激烈なサウンドを聴かせてはくれるものの、へヴィロック全般にデスメタルの要素が含まれて当然の昨今、純粋なデスメタルの提示だけではリスナーにアピールし切れず、彼等にも引退の時が近づいていると感じますね。


 デスメタル・バンドのリーダーだし、ジャケットや取材の写真からして怖そう……という先入観を与えてしまいがちなトレイですが、実は日本のサブカルチャーが大好きで、アニメ「らんま1/2」、ゲーム「ストリートファイター」等をこよなく愛する親日家です。

 影響を受けたギタリストに、「熱気バサラ(マクロス7)」を挙げるミュージシャンが他にいるでしょうか?


 デスメタルという音楽の基本的な骨格は、歴史上の暴君を参考にしたと思われる権力者の下で虐殺される庶民の怒りや、現代社会の理不尽な格差による悲劇等、「死」とそれに伴う怒りを表現した歌詞を、野獣の様な咆哮と緩急を極端なまでに表現したサウンドに乗せるというものであると認識しています。


 サウンド面の核になっているのは、超絶技巧でありながら情緒を感じさせない無機的なギターソロとリフ、そして俗に「ブラスト・ビート」と呼ばれる32分音符相当の高速ドラムでしょうね!


 ブラスト・ビートは、標準的なドラムの奏法ではなく、手足を痙攣させる様に動かし、その持続する反動で高速ビートの疲労感を意識させずにプレイするものです。

 

 従って、全力で一撃ずつ打ち込む基本パターンのドラムより音が小さく、細くなりがちである為、デスメタルのドラマーには技術だけでなく、並外れた筋力とスタミナも必要になるのです。

 デスメタルのドラマーが身体的な理由で脱退する時は、退職金を支給すべきですよね。


 MORBID ANGELはデスメタルのパイオニアではありますが、それ故にルーツとなったスラッシュ〜スピードメタルとの接点も深く、必要以上のブラスト・ビートや極端な緩急に頼らない曲作りの上手さを持っていました。

 ですから、ボーカルに拒否反応さえ出なければ、意外にも快適にヘドバン出来てしまう音楽なのです。


 そんな彼等のおすすめアルバムは、先述のデビュー・アルバム「ALTARS OF MADNESS」(1989)、独自のサウンドが完成され、デスメタル初心者にも聴きやすい「COVENANT」(1993)、ピート・サンドバルのドラムを始め、ライヴでもこんなに演奏が凄いのか!と驚嘆させられるライヴ・アルバム「ENTANGLED IN CHAOS」(1996)の3枚を挙げさせていただきます!

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