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RATT


 今回はL.A.METALの代表格でありながら、同期のライバルだったMOTLEY CLUEやBON JOVIに水をあけられて短命に終わってしまったバンド、RATTをご紹介します!


 MOTLEY CLUEやBON JOVIは既に、ハードロック・へヴィメタルファンにとどまらない支持を得るビッグネームですが、RATTはハードロック・へヴィメタルファンを除けば、あの時代に青春を過ごした人の思い出のバンドというポジションから這い上がれない様に思えます。


 オリジナルメンバーのロビン・クロスビー(Gu)をHIV感染で失い、メイン・ソングライターのイケメンギタリスト、ウォーレン・デ・マルティーニとリーダーのホアン・クルーシェ(Ba)が再結成に加わらない等、メンバーの足並みが揃わないという現実からも、RATTで金を稼ぐよりも大事な事があると考える、メタルバンドらしからぬ堅実な人生観のメンバーが集まっていたのかも知れませんね。


 一世を風靡した経験があるにも関わらず、BON JOVI程親しみやすくはなく、MOTLEY CLUE程ワルな魅力は無いという微妙なポジションでした。


 しかしながら、彼等はMOTLEY CLUEと並んでL.A.METALムーブメントを視覚と聴覚の両方から支えた最重要アーティストのひとつであり、その存在を知らない人でも彼等のルックスとサウンドに触れれば、「あっ!JーPOPの大物も若い頃こんな衣装と髪型だった!」とか、「このギター・リフ、あのアイドルの曲のイントロじゃん!」みたいな発見がある事でしょう。


 彼等が参考にしたイギリスのメタル・ムーブメント「NWOBHM」の様に、まずは地道なライヴとデモテープ作りを活動の主軸に据えていたRATTは、メジャーレーベルとの契約が決まっても、リリースされたのは自主制作のEPでした。


 しかし、この頃既にMOTLEY CLUEとともに次世代のメタルバンドと評価されており、1983年のQUIET RIOTの大ブレイクで、大手メジャーレーベルもへヴィメタルに力を入れる様になります。


 ワーナーが彼等の自主制作EPをリミックスしてリリースする時には、既に中堅クラスのアーティスト並の予算をかけたビデオクリップが用意されていたのです(あのOZZY OSBORNEもタダ同然のギャラで出演していますね)。


 そんな中、満を持してリリースされたデビュー・アルバム「OUT OF THE CELLAR」(1984)は、スマッシュ・ヒットの代表曲「ROUND AND ROUND」に引っ張られる様に大ヒットを記録し、地道に鍛えた確かな実力のライヴと、これまでのへヴィメタルのイメージを覆す健康的なイケメン・ビジュアルで、多くの女性ファンをこのジャンルに取り込む事に成功しました。


 しかし、彼等のサウンドとスタイルはデビュー・アルバムの時点で既に完成されており、楽曲の良し悪し以外でのバリエーションを生み出せなかった事が災いし、デビュー・アルバムの成功を維持する事で精一杯となってしまった彼等は時代の荒波を乗り越える事が出来ず、90年代の到来とともに失速し、やがて解散します。


 冒頭に述べた理由から、再結成でもう一花咲かせるという最終手段も失敗してしまい、現在はボーカリストのスティーブン・パーシーだけが表舞台で奮闘している状況です。寂しいですね。


 RATTの魅力は、当時のムーブメントの勢いや、俗に「ヘア・メタル」と揶揄される、不自然なまでにボリュームのある長髪やカットTシャツと言ったファッションも楽しめるビデオクリップを観れば一番分かりやすいのですが、音楽だけでも十分に楽しめる魅力があります。


 彼等自身が「RATT'N ROLL」と名付けた、所謂へヴィメタルの不良っぽさやオカルトっぽさの無いストレートで快適なロックは耳に優しく、そこにへヴィメタル的などっしりと重いリズムと、テクニックとセンスを併せ持った個性の違う二人のギタリストの洗練された競演が加わる事により、リスナーには確かな手応えが保証されるのです。


 スティーブン・パーシーの余り情緒を感じさせない乾いたボーカルも、このサウンドの中では抜群に魅力的なのですが、裏を返せば、彼を活かすにはこのサウンドしかなかったという現実が、彼等がビッグになり切れなかった要因なのかも知れませんね。


 彼等のおすすめアルバムは、デビューからの3枚「OUT OF THE CELLAR」(1984)、「INVASION OF YOUR PRIVACY」(1985)、「DANCING UNDERCOVER」(1986)です!

 このアルバムの一曲でも好きになれば、たちまち彼等の痛快なサウンドに魅了されるはずですよ!

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