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SKRAPE


 今回は21世紀になってから登場した、所謂モダン・へヴィロック、NU METALのジャンルに属している知る人ぞ知る通好みアーティスト、SKRAPEをご紹介します!


 私と同世代のハードロック・へヴィメタル・ファンは、ヒップホップからの影響を無視出来ないLINKIN PARK辺りを最後に新しいジャンルへの探求を止めてしまう傾向にあり、私はそれをとても残念に感じていました。

 

 何故ならば、その後シーンの揺り戻しがあり、「時代の音だけどスピリットは往年のものだな」と感じる新人が増えてきたからなのです。

 

 近年、看板ドラマーのジェイソン・ビットナーがまさかのOVER KILL加入を果たしたSHADOWS FALL等も、メタルコアなサウンドにスラッシュメタルのスピリットを持っていたアーティストでしたしね。


 SKRAPEはアメリカのフロリダ出身の5人組で、サイドギタリストがサンプラー等も使いこなす、如何にもヒップホップ世代のへヴィロック・バンドだなと感じさせるアーティストです。


 しかし、この世代のバンドとしてはギター・リフのアイディアが多彩で、ボーカルのメロディーはシンプルなのにハーモニーは複雑で不思議な聴きやすさがありました。


 シンセやサンプラーの類いはあくまで雰囲気作りレベルに徹しており、分厚さと透明感を兼ね備えたサウンドの中をジャズ的とも言える軽くて手数の多いドラムが引き締めるという、ちょっとひねくれた知性派ニューウェイブが好きな人にもおすすめ出来るアーティストですね。


 ちなみに、彼等のデビューアルバム「NEW KILLER AMERICA」(2001)の日本盤推薦文を、決してへヴィロック派ではない、rockin'onの山崎洋一郎さんが書いていた事も特筆すべきトピックでしょう!


 日本盤の解説では、「摩可不思議なポップ感はSAIGON KICKを彷彿とさせる」と書かれており、確かにそんな要素も感じますが、個人的には「ジャズ〜フュージョン・バンドがSTATICーXをプレイしている」と言う印象もあります。

 プロデューサーも同じですし。

 

 つまりは音抜けが良くて格好良いって事ですよ(笑)。


 しかし、彼等はこの時代特有のセルフ・プロデュースである、ライヴをあまりやらずにハイ・クオリティの音源アピールを重視し、情報少な目のミステリアスなバンドとして注目一点集中型の活動でレコード契約を勝ち取った為、デビュー後のライヴツアーでは実力不足を露呈してしまい、ファンの不評を招いてしまいます。


 シーンの変化も彼等に追い討ちをかけ、新人としては珍しい3年のブランクを空けて発表せざるを得なかったセカンド・アルバム「UP THE DOZE」(2004)では、よりへヴィかつメロディックにはなったものの、迷いもあったのかサウンド的なバンド・マジックは消え失せてしまい、彼等は間もなく解散してしまいます。


 所謂NU METAL世代のアーティストは、デビューアルバムでいきなり時代の寵児に躍り出て、セカンドアルバムの失速で契約を切られる……なんて事が多かったですよね。

 

 これは勿論、不況で目先の利益ばかりを追うレコード会社が一番悪いのですが、ハードロック・へヴィメタルというジャンルでは、地道なツアーから自主製作、ファンベースを築いてからステップアップと言う堅実な道もあるだけに、アーティスト側も、時代や流行りに合わせて成功を急ぐ選択が、果たして自分の創作ペースや価値観とも一致するのかをじっくり検討する必要があるという事ですよ。


 ……ん?これって「なろう作家」にも当てはまるのかっっ(笑)?


 彼等の魅力は何と言っても、シンプルなボーカルメロディーなのに、ハーモニーとアレンジのせいで何故かポップに聴こえる楽曲と、透明感がありつつも分厚いギターとベースの中を、ジャズ的な軽さと手数の多さを併せ持った格好良いドラムが駆け抜ける爽快感です!

 

 「THE POLICE や KING CRIMSONの魅力はやっぱドラムだよな〜」と言う、お兄さんっぽい格好をしたそこのおじさん(笑)にも激推ししておきますね。


 おすすめアルバムは当然、デビューアルバムの「NEW KILLER AMERICA」(2001)です!

 

 近年この時代のへヴィロック・バンドのアルバムがやたら廃盤になっていますが、このアルバムがまだ現役であるという現実が、根強い支持の裏付けになっていると思いますよ!

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