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TRIUMPH


 今回は、カナダを代表するハードロック・トリオでありながら、存在が地味であるが故に日本では過小評価されがちなアーティスト、TRIUMPHをご紹介します!


 LOUDNESSの高崎晃さんは、一緒にツアーを回ったアーティストで印象的だったのは?という質問に対して、真っ先に彼等の名前を挙げて絶賛していました。

 「彼等はステージを離れてもプロ意識の高い紳士だったし、前座の俺達にも同じ機材を使わせてくれた。そして当然、俺達よりも良い音を出していた」


 TRIUMPHは1978年にアルバム「TRIUMPH」でデビューし、カナダ出身のトリオである事と、ギタリストでボーカリスト、更にメイン・ソングライターでもあったリック・エメットが繊細なハイトーン・ボイスの持ち主だった事から、同郷のハードロック・トリオ、RUSHと比較される事が多かったと聞きます。


 しかし、時代の先を行く巧みなセンスで支持基盤を拡大し続けるRUSHに比べると、適度にハードで適度にメロディアスな正当派だったTRIUMPHは、パンク〜ニューウェイブ真っ只中の時代背景も災いして、常に安定したアルバムセールスとライヴ動員を残すものの、暫くは通好みのオールドウェイブという評判に甘んじていました。


 そんな彼等に転機が訪れたのは1983年、アメリカ最大級のロックフェス、「US FESTIVAL」の「HEVEY METAL DAY」に登場し、赤丸急上昇の新人QUITE RIOTとMOTLEY CLUE、当時アメリカで大ブレイク中のSCORPIONS、メタルゴッドJUDAS PRIEST、泣く子も黙るVAN HALENという強力ラインナップの間に割り込む事に成功し、一気に世界的知名度を獲得するのです。


 この時の映像や音源は今では手軽に接する事が出来ますが、良い曲を良い音で、全力を以てして誠実に表現する彼等を観ていると、ハードロックっていいよなあ……と瞳から爽やかな汗が吹き出て来ますよ(笑)。


 その後の彼等は特大ヒットこそありませんでしたが、MTVやL.A.METALムーブメントの力を借りてカナダを代表する中堅バンドの地位を確立します。


 しかし一方で、生真面目な職人揃いだった彼等は子ども騙しなビデオクリップの撮影や、売らんが為の外部ライターやプロデューサーを押し付けられる事に嫌気が差し、リックが大半の楽曲を書いていた事によるバンド内のビジネス的な問題もあって、1989年のリックの脱退により全盛期にピリオドが打たれました。


 新しいギタリスト兼ボーカリストを迎えたTRIUMPHも、ソロになったリックも好盤を発表していましたが、音楽シーンはグランジ〜オルタナティブ、はたまたヒップホップの時代となり、繊細なメロディーが売りのひとつだったバンドは解散します。


 しかし2007年、カナダの音楽賞の授賞式で久し振りに顔を合わせたリック(Gu.Vo)、マイク(Ba)、ギル(Dr)のメンバー3人は過去のわだかまりを和解し、翌年からマイペースな再結成を実現して現在に至っています。


 誠実な人柄を感じさせる音楽性でありますから、メンバーが仲直りしてくれる事で価値が上がるんですよね。良かった良かった。


 彼等の魅力は、トリオ編成ならではのシンプルなパワーに加えて、リックの繊細なボーカルとギターワーク、必要とあらば導入されるアコースティックギターやマイクが操るキーボード、更にセカンドボーカルを担当するギルの男臭い骨太ボーカルと、優れた楽曲の為なら全てを出し尽くすバンドとしての総合力です。


 特にアルバムの中で数曲披露される、リックのアコースティックナンバーとブルーズギター、そしてギルの骨太ボーカルは格別で、アルバムを一度聴き始めると途中で止める事は不可能だと思われます(笑)。


 そんな彼等のおすすめアルバムは、70年代の正当派の味わいに溢れた初期の代表作、「JUST A GAME」(1979)、US FESTIVALの自信を音に変えたヒット作、「THUNDER SEVEN」(1984)、リック在籍時最後の作品でセールス的には失敗したものの、80年代型ハードロックの完成形とも言える内容を誇り、ギルのボーカルがめちゃ格好良くなっている私の激推し、「SURVEILLANCE」(1988)の3枚です!

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