第6話 心
慎一が失踪して数日が過ぎた。
春賀の件に対しても捜査には進展が無いそうだ。
それに、俺のストーカーの事も相まって、より一層警戒心が強まっていた。
『リーダー、まだ慎一の新しい情報は無いの?』
『未だに入っていない。 捜査は難航しているそうだ』
『リーダーには何かおかしいこととかない?ストーカーの件とか、困ったら私に相談してね』
『苺も何かあったら連絡しろよ』
しかし、こうも立て続けに事件が起きるのは怪しすぎる。もしかしたら大きな事件の予兆かもしれない。
◇
「おはよう宗治」
「おはよう……」
「眠いなぁ」
「あぁ」
話をする気になれない。二人が心配だが、それ以上に、次は自分なのではないかという妄想に駆られる。
何もない所なのに、視線を感じたり、小さな物音ですら気にしたり。誰も彼も怪しく見えてしまう。
「宗治、宗治、おーい」
「あ、すまん、ボーとしてた」
「なんだよ、最近ずっとそれかよ。 悩みでもあるのかよ」
「こうも立て続けに事件とかがあると、今度は俺なんじゃないかって思うんだ」
「そうか、春賀のこととか、今はどうしようもないし、これから起こることが不安なのか」
「……」
「とりあえず今は吉報を待つことと、一人で帰らないこと位だ。 心配すんなって、俺がいるさ」
「ありがとうな」
こう、励ましてくれる友達がいることがどれ程嬉しいことか。
だが、そんなお前も巻き込まれるかもしれないっていう不安が、どうしてもよぎってしまうんだ。
そんな不安に苛まれたまま、授業の鐘が鳴る。
「教科書56ページを開いてー」
いつ終わるのだろう。早く終わってくれ。すぐに終結して、元気な姿を俺に見せてくれ。
心にモヤの掛かったまま今日も学校が終わった。
◇
『宗治、最近どうなの?』
『最近?』
珍しいことに香織からメッセージが届く。
『集まってからずっとやりとりないし、心配してたんだよ?』
『すまん』
こんなヤツまで心配させていたのか。
『宗治、悩みあったら遠慮なく言ってね』
『ありがとう』
『それで、今度はいつ会えるの?』
『今度ってこの間会ったばかりじゃないか』
『だって、慎一まで行方不明になっちゃったじゃん』
『だけど、俺達が集まっても何もできないだろ』
『そっか』
やたらと会いたがる奴との会話は夜まで続いた
◇
できた。喜んでくれるかな?いつに渡すのがいいかな?彼へのプレゼントを作っていたら、秋になってしまった。最近は凄く寒いし、今度会う時はマフラーにしようかな。
一生懸命作った物だから、きっと喜んでくれるよね。だから、特別な時に渡したいな。
それと、コイツらどうしようか?