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狂おしい果実から  作者: じょーかーOtuka
第一章 日常より
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第4話 集会

 帰還して一週間が経った。


「さて、皆集まったな」


「久しぶりリーダー!」


「このメンバーも1週間ぶりかー」


「やっと会えたね」


 一週間ぶりの仲間。こうして見ると、皆3年ぶりの日本に慣れてきたようだ。

 今回は雑談と雑談ときおり雑談。あと、異世界からの帰還で生活に影響が出ていないかの報告も兼ねてということで召集したのだが…

 雰囲気が完全にオフ会。異世界オフ会だな。

 幸い中に人は少なかった。

 もしも聞かれればどうなるかわからない。こっちの世界での人生に絶望した人が異世界に行く方法を知るために拷問するかも知れない(妄想がおかしい)

 まぁ、信じる人なんていないが、仲間はとりあえず時差ボケ以外はさほど気になることは無いという。良いことだ。


「そんなことより宗治、アイツらも、もうそろそろだぞ」


 向こうでは武道家をやってた亀山 慎一(かめやま しんいち)が大声を張り上げて言う。


「アイツらって……」


「あれだよ。 俺達の願い使ったじゃん」


「あぁー、あれかー」


 あれとは、異世界の王との約束。それは一つだけ願いを叶えること。

 俺達はそれを異世界から日本に帰るという願いを叶えてもらった。

 ただし、俺達だけではない。

 王との約束に人数制限なんて無かった。そこを突き、日本から来た人で日本帰還の希望者全員を日本に帰らせること。

 我ながらこれはナイスアイデアだった。

 これだから抜けている奴等は。お陰で約束とやらを最も有意義な事に使えた。

 戻りたい人なんて山ほどいるしな。


「もう帰ってくるんだっけ?」


「確か一週間後ってことだったが」


「あぁーそうだったな。 思い出した」


 そうだった。俺達が先に帰り、他の人は準備を整えてお別れするんだったな。

 俺達は転移した人の中でも特に強く、魔王倒すことに人一倍熱意があった為、向こうの人々とはあまり関わる余裕がなかった。


 だが、他の奴等は大抵現地民と交流しており、結婚してる奴もいた。

 いや帰る気が無いんかい!って突っ込むと帰っても家に居場所が無いんだと。寂しそうなので、そっとしてあげた。


 まとめると、俺達は向こうに思い入れなんてないからさっさと帰ったが、他の人はお世話になった人にお礼とか挨拶行くから後から行くってことで話がついていた。


「いやー帰ってくるのか」


「リーダー、これから帰って来る連中と集まったりしないの?」


「どうすっかな。 アイツらにも生活あるし、俺達は一緒に活動してたから集めたけど、そんな大人数は無理だな」


「えー、苺は仲良くなった人としゃべりたいのに」


「それは自分で会いに行け」


 うちの回復術士、入鹿 苺(いるか いちご)

 この中で最も向こうで友人を作った友達作りの天才である。


 その外見にも癒されるが、彼女はこのメンバーの中で異質な存在でもあり、異世界ではパーティーを転々としていた。

 理由は簡単。可愛いからとりあえずメンバーに入れるが、彼女の求める理想が高く、ミスすると散々罵倒され喧嘩になり結局コイツが抜けるっていうのをだいたい5回やって俺達の所に来た。

 普通の人なら1日持てば勲章ものの地雷女であったが、ここは兎に角魔王への殺意が凄かった為、そんなの気にしてられなかったので誰一人本性に気付かず、結局最後まで同行した。


 苺がなぜパーティーを転々としていたのかを俺達は魔王討伐後に知った訳だが、人って夢中になると周りが見えないんだな。


「ところでリーダーって何で日本に帰ろうと思ったの?」


「あぁ、そのことか。 それはお前らも望んでいただろう?」


「リーダーに聞かれて帰りたかったからそう答えたけど、リーダーは日本でやり残したことがあったの?」


「やり残したことか……」


「宗治、確かに異世界の生活は不便だったが、英雄として生きることもできたんだぞ?」


「まさかお前らがそんなことを聞いてくるとはなぁ」


「私も宗治と一緒にいれるなら向こうでも良かったけど」


「そうか……」

 皆別に異世界が苦ではなかったのか……

 ん?今さらっと何か言ったような…


「いや、俺は向こうの生活が不便だったから単純に日本に居たときが便利だったし、特別、人生に絶望とかなかったからな。」


「そっか。じゃあ、今回はハッピーエンドだね!」


 今回はってことは次回あるのか。嫌だぞ。もうあそこ行くの。


「んじゃあ宗治。いや、リーダー!ここらでお開きにしますか!」


「そうだな! 皆、元気でな!」

「またね!」

「元気でねーリーダー!」

「またね。 宗治……」


 ということで俺達はこれで解散した。

 いやー仲間っていいなーなんて。



 これがまさか最後の集会になるなんて思ってもいなかった。

 それは恐怖が始まってからのお話……

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