第3話 日常
やっと今日の授業が全てが終わる。
月曜日に学校にクラスに入った途端、仲間が押し寄せてきて、しばらくの間質問責め。
中には、「実は異世界行ってたんじゃないの?」っていう完璧な考察をしてくる奴もいて内心焦ったが、なんとか1日乗り切った。
すっかり疲れ果て、ゆっくりとした足取りで家に帰っていると
「よぉ宗治!」
「なんだよ。 驚かせやがって」
いきなり、小学校からの友達である智雄が後ろから話しかけられた。
「久し振りだなー! っていうか、3日間本当どこいたんだよ!」
「ちょっと遠くの方で旅してた」
「自分探しだっけ? 結局見つかったのか?」
「徳川埋蔵金みたいに聞かれても……」
「いいじゃねーかよ。 それにあの子ともそれで知り合ったのか?」
「あの子?」
「ほら、お前一緒に居ただろ?」
「記憶にございませんが?」
「いつの政治家だよ。 ほら、黒髪長髪で清純そうなさ、」
いや誰だよそれ。
智雄が知らないなら少なくともうちの学校ではないだろうが、たまたま近くにいたのを勘違いしたんだろう。
でもなんだろう。めっちゃ気になる
「宗治もついに……」
「いやマジで知らんから」
「刺されるのか」
「何の最終回だ!」
「次回! 城○内死す!」
「関係ない城之○が死んだ!」
急に遊○王の○之内○すなよ。伏せ字多すぎてわかりづらいだろ。
ていうか、今まで何話してたか忘れてしまったんだが……
「とにかく、もう急に消えたりすんなよ。 こっちは大騒ぎだったからな。」
「それについては、本当にごめん。」
「消えるんじゃねえぞ……」
「団長最期の命令かよ!」
「次回! オ○ガ死す!」
「まて、その話はネタバレ次回予告ではない」
「イワーーー!」
「そっちは死んでない」
そっちというのは金髪の特徴的な顎を持つ方な。
というか、話が全く進まない。
「やっぱり宗治はおもろいなー」
「こっちは疲れるんですけど。」
「そんなこと言うなよ。 お前がいなかった時、クラスが図書館並みに静かになったらしいぞ。」
それは俺がうるさい奴ということなのか。
だが、いつも通りの日常に戻ることができた。それだけで大儲けである。
自分たちがいかに恵まれていたのかを知ったのが、まさか多くの人々が憧れる(?)異世界だったとは……
魔法があっても、エルフがいても、あちらには無いものはとても多かった。
このまま、俺に平和な人生が訪れて欲しいものだ。
◇
宗治が、誰かと親しげに話している。
向こうでは、あんな顔なんて、一度も見たことがない。
~私の知らない彼~
そう思うだけで、撮影がはかどる。
今日のこの時間、宗治が何をしていたのかを残さないと…
「あの、すいません、何をしてるんですか?」
宗治の学校の制服、幼さを残した女に、見られてしまった。
これはいけない。
「まさかとは思いますが、ストーカー?」
「"パラライズ リング"」
麻痺の魔法をすかさず唱える。黄色の輪に当たった少女が
その場に崩れ落ちる。
危ないところだった。彼を見守っていると、つい周りが見えなくなる。彼には気づかれてはいけない。だって私は妖精みたいなものだから。
正義感が強いから、そんなことしたら心配させちゃう……
人知れず彼を騙そうとする悪い奴から守ってあげないとね