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第28話 入鹿苺

 気がついたら、俺は椅子の上に鎖で縛り付けられ、口にはガムテープそして腕は後ろに回され、椅子の腕かけと繋いだ手錠をつけられていた。


「おはよう。よく寝れた?」


 目の前には苺が包丁を手に椅子に足を組んで座っていて、笑いながらこちらを覗く。


「苺……お前……」


「見つかっちゃったね。正直に話すしか無いかぁ」


 そう言いながら立ちあがり、包丁を置きメイスに持ち替えて、


「"フォンデュ"」


 自分の髪に魔法をかける。

 明るい金髪が根元からだんだんと黒く染まっていき、ヘアバンドを取りトレードマークであるツインテールを解くと、まさしく()()()()()()()()がそこにはいた。

 その一連の動きを見て、俺は全てを悟った。


「この姿でやっと会えたね。そうだよ、私が宗治を付きまとって邪魔なオトモダチを(ころ)したんだよ。全部、私がやったの。私は完璧主義だから充分注意してたんだけどバレちゃったね。流石リーダー」


 考えてみれば、そうだ。ストーカー行為をするのに変装をしない訳が無く、黒髪は闇に紛れる。更に、太陽の光がカーテンで遮られるこの部屋のあの日と同じような暗い光では、香織と似ているように見える。

 そうか。俺をマーキングしたのも、ストーキングしたのも、俺の友達を拉致したのも。

 全部全部、苺だったのだ。とんでもない()()()だ。そして俺も、コイツの本性に気づくことはできなかったのだから。


 でもしょうがないでしょ。私にはこの方法しかわからないから。

苺はそう言いレンジでチンしたハンバーグを取り出し、俺の前の机に置く。


「食べて」


 何が入っているのかわからない物を食えるか。

 そう言ったら、大丈夫だからと。

 それでも食べないでいると、


「宗治、少し昔話をしようか。

ある所に、一人の少女がいました、、」



 その子とその両親は日々、狭いマンションの中で幸せな家庭を築いていました。

 父親の働く()()()の都合で、帰りが遅くなるようになります。

 少女は父親に早く帰って欲しくて、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 ある日のこと

 夜中に騒ぐ声を聞き、少女は眠い目を擦りながら起きました。寝室の扉を開けると、そこには真っ赤になった母親が、白い袋の中に何かを入れて外に出ようとしています。


「ママ、何やってるの?」


「目が覚めちゃったのね」


「床、お掃除しないの?」


「あのね、これが愛情なんだよ」


 その日はちょうど、クリスマスだった。

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