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第27話 戻れない日常

 窓とカーテンの隙間から差し込む朝日で目が覚める。

 

 もう朝か。


 異世界から帰って来た翌日も、こんな朝だった。

 いつも通り顔を洗い、朝飯を食べる。あの時には、そんな何気無い日常が俺にはあった。


 今日は丁度土曜日で、予定も無い。せっかくだし、ゆっくりしようかな。


 仲間からのメッセージを自分の部屋で返信ししたりして午前を潰す。

 こんな平和な日が俺にはあったのだ。これからもあるはずなのに、懐かしい気分に浸っているのはなぜだろうか。


 ふと思い、あの時の日にちのメッセージまで遡る。4人全員が揃っていたあの頃の会話見て、思わず涙が浮かんだ。もしもあの時に戻れたのならば……


『今日ひま?』


 苺からだ。


『一応今日は予定は無い』


『そっか。じゃあ家来る?』



「遠慮なく上がって」


「お邪魔します」


 隣町のマンションの一室。そこが苺の家で、両親は居らず高校生ながら一人暮らしをしているという。


「昔は親と一緒に暮らしてたんだけどね。既に買ってあった部屋だから、家賃とかは気にしなくていいんだ」


「そうか。寂しくはないのか?」


「慣れた。中学までは親戚と暮らしてたけどね」


 リビングには、しっかりとした緑のソファーがあり、ここで待っていてと言われたので座ってみる。

 こんなこと前にもあって気がする。あれは確か香織の家だったが、何だろう。こう同じような感覚がする。

 ソファーに座っていたら、苺「ちょっと待ってて」とお茶を淹れてくれた。

 しばらく談笑していると、インターホンが鳴り苺が応対に出て行く。


 そこで俺は一人になった訳だが、俺は何故か少しだけ開いた寝室らしい部屋が気になった。

 少しだけで、中が見えるか見えないか程度に開いたドアが。

 俺は、罪悪感を感じつつ近寄って中を覗く。


 そこにあったのは……


「あーぁ。見ちゃった」


 そこで俺の意識が飛んだ。



 宗治くんに連絡するも、繋がらない。何かあったのか。


「隼人さん、メンバー揃いました。今すぐ本部を立ち上げますので」


 この事件は終わっていない。第4の失踪者、宗治くんのクラスメイトである五三涼袈が失踪したのだから。


「今までの事件と関連性が、いや同一犯によるものならば、市民が危ない! 早急に対処しましょう」


「しかし、向こうも恐らく魔法を使うのでしょう? そうであるならば、隼人さんならば次の手なんて簡単にわかるはず」


「いや、時の流れによって研究が進んでいるようだ。俺達の頃の常識を遥かに凌駕する程だ。俺達の頃なんて、魔法とは魔力を使ってできる奇跡みたいな物という考え方だった」


「うーん、我らの頃は概念なんて無かったからな。だが我々で解決しなくてはならない、この我らで!」


 そう、このチームは10年前に異世界から帰還した者達で構成された捜査班。異世界も帰還者も、存在は今まで国家機密であり、同じ事件が起きた時を想定して作られた俺達の班。


彼らの先輩でもある俺達が、為さなければならないのだ。

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