第19話 香織と苺
「"シルバーバレット"」
苺の指から、銀色の魔力の塊が音速で放たれる。
香織はそれを杖で弾くが、バキッと音を立て折れてしまう。
仕方なく香織は懐からメイスを取り出し
「本気でいくよ。死なないでね"バーン・スネーク"」
アスファルトの上が燃え上がり、炎が蛇の形に変形し、とぐろを巻いて苺を威嚇する。
「へぇお友達造ったんだ。あまりいないもんね」
炎の蛇は勢いを増し、約5メートル程の大きさへ成長。苺に飛びかかるが、両手でいとも簡単に引き裂いてしまった。
「あれ? それだけ? なぁんだ、香織ちゃんって案外……」
「"エクステンド"、"メタルコート"!」
メイスを伸ばし、鋼鉄を纏わせる。苺も「あぁ、その気なんだね」と言い、同じくメイスに魔法をかける。
二人の姿は一瞬で見えなくなり、先程までいた場所の中点でメイスが交錯する。
重い金属音が何度も響き、メイスに触れたアスファルトが砕ける。
「"サンダーコート"」
苺のメイスが電気を帯びる。それを見た香織は、
「乙女にそれは無いんじゃないの? "へヴィメタルコート"」
自身のメイスを更に強化する。
地面を蹴り、両者がメイスで殴りかかったその時
「"パワードプロテクション"!」
道を遮る形でバリアの壁ができる。
「二人とも何してるの!」
「でも苺が……」
「喧嘩両成敗! 落ち着いてよ!」
苺の方の道から、一番興奮した栞が出てくる。
「もう! 目を離したらこんなこと始めるんだから! 今は慎一のことが優先でしょ!」
わかったよ……
と苺は引き、同じく香織はメイスを納め折れた杖を拾う。
その後、二人は顔を合わせず帰宅した。
◇
『ってことがあったんだ』
『そうか、連絡ありがとう』
苺と香織が喧嘩したらしい。栞が止めてくれたのか。
『栞はケガ無いか? あの二人を止めるなんて相当苦労すると思うが』
『ありがとう。ケガは無いよ。狭い道路だったからバリアで何とかなった。道は滅茶苦茶だったけどね』
『すまない。こっちからも言っておく』
『お願いね』
『もちろんだ』




