第17話 part
☆
「へえ、かっこいいじゃん慎一君。他はどうだったの?」
隼人さんは、興味深そうに身を乗り出す。
「香織は俺達が組んで一週間後位で知り合ってそのまま仲間になりました。苺は自分からこっちに来て冒険することになったんですけどね」
「へえ、そんなんだ。一週間って言ってるけど、向こうではどのくらい過ごしたのかい?」
「帰ってきた時、こちらでは3日しか経っていませんでしたが、あちらではかなり長い年月すごしました確か二年経っていました」
「そうか。異世界で過ごした時間とこちらで経過した時間が違うというのは興味深いね」
「単純に日にち間違えたんじゃないですかね。異世界の人々は結構雑でしたし」
「そうかい。それはきっと日本よりもよく使う時間の単位が大きいからだろうけどね。向こうじゃ時計なんてなかったろ?ああ、分単位のね」
「まあそうなんですけど、せめて場所だったり時間だったりは融通して欲しかったですよ。王族はなんにでも適当なんですから」
「まぁ、あったことは元には戻せないからね。おっと、もう二時間も経ってしまったね。大丈夫かい?」
「そうですね。そろそろ帰らないと行けませんね。」
「そうか。ありがとね。また話聞かせてよ。事情聴取って名目だけどさ」
「もちろんです。それでは」
◇
宗治が警察署に行くなんてどうしたんだろう。
まさかこれがバレたんじゃ、
いや、そんな筈は無いと思うけど、万が一そうだったらどう思われるのだろう。
今日は宗治に手紙を書いて来たのに、跡をつけていたらポストにいれ損ねてしまった。家に入ったのを確認してから投函しないと。
「ちょとそこの君、いいかな?」
警察官に見つかったらしい。
最近こんなのばっかりだ。隠れれて無いのかも。
「何しているのかな?とりあえず職務質問させてもらってもいい?あ、都合悪かったら別にいいよ」
「そうですね、都合良くないので断らせてもらいます」
「そうかい」
そう言って警官は去って行った。
その先はブロック塀のある物陰。
影に入るとトランシーバーを持ち、
「こちら、例の容疑者らしき人物を確認。職務質問は拒否されました。どうぞ」
『了解。尾行せよ』
「へぇ、尾行するなんてまるでストーカーみたいだね」
ブロック塀の上から見下ろせば、案の定さっきの警官が報告をしていた。
「君、そんな所登ったら危ないよ」
「そんな時間稼ぎなんて必要ないでしょ。"エクステンド"、"メタルコート"」
少女は懐からメイスらしき物を取り出し、延長魔法と鋼鉄魔法を掛けた。
「ふっ!危ないのは君の方か。こちら、先ほどの者と交戦中、応援を頼む」
『了解した、至急応援を向かわせ、、』
「よそ見してるひまなんてないでしょ?」
鋼鉄の硬度の棒で、トランシーバーを破壊される。警官は、警棒で応戦するが、激しい殴打に打たれ続け、膝をついてしまう。
「これでも自分は強いと思っていたがね、ここまでされると流石に自信を失うよ」
と言いつつ、腰の空砲に手を伸ばす。威嚇用のものだが、あまり市街地では使いたくないが、仕方がないと思いつつ、黒髪の少女に銃口を向けた。
「あら怖い」
「悪いけど、逮捕されてくれないかな」
「それは拒否したいな。"バースト"」
突然、空砲が手の内で爆発した。痛みで警官は思わず唸る。
「バイバイ」




