第14話 筋肉
「突然来てすみません!」
本当だよ。突然筋肉の塊が三体来るとかビックリで収まらないだろうが。
「えっと、とりあえず何しに来たの?」
じゃあ俺が説明をと、長男でゴリラの様な大男、真帆斗が丁寧に、
「勇者様が最近ストーカー被害にあっているとのことで、休日だけでも護衛任務をさせて頂きに来ました!」
「いや俺普段家出ないよ」
「では、ご邸宅の護衛を! ドラゴンが来ようとも傷一つ無く守り抜いてみせましょう!」
と、次男の細マッチョ真男が勢いよく名乗りでて、
「通学の安全は三男のこの私、真人にお任せあれ! この魔剣でストーカーを切り伏せてご覧にいれましょう!」
「いや待て待て待て! とってもバイオレンスだし、銃刀法違反!」
「な、この魔剣ガイアスラが……」
「何日本に持ち込んで来てんだよ。 返してこい」
「嫌です! これだけは勇者様のご意見だあっても! 今まで共に戦った相棒なんです!」
「じゃあせめて外に出さないようにしろよ」
話し合いの結果、魔剣ガイアスラさんはどっかのスーパーのビニールの中に入れることになった。
せっかくの魔剣だが日本ではただの刃物でしかない。
てかそれ、向こうでは天地を切り分け、世界を創造したとされる伝説の魔剣なんですが。
◇
「結局我らの助けは必要ないと……」
「いや明らかに邪魔だよね、家に魔剣持ち込まれる気持ちわかる?」
「く、今回は引き下がりますが、絶対に勇者様には借りを返しますから!」
と言い、玄関からお帰りになられた。
本当のこと言うと俺アイツら三人より強いんだけどな。まぁ、勇者だったから当たり前だが、その時の話はほとぼりが冷めたら誰かにでもするかもな。
◇
「そういうことで、アイツらは帰らせたぞ」
『そう、まぁ宗治なら大丈夫かもね。 また何かあったら連絡してね。じゃあ』
電話が切れる。魔剣のことは苺も彼らに釘をさしておいてくれるそうだ。
やれやれ、相変わらず無茶苦茶な連中だな。こっちが大変だっつうの。
だがそれより、俺には今すぐとりかかるべき重要事項がある。
「もしもし、宗治です。 メール見て連絡させて頂きました。 今からお時間よろしいですか?」




