第13話 助け
前回のシーンから続きます。
「……本当に残念だよ。 ここまでの美女が捕まるなんてな」
「最後の負け惜しみかな?」
「いや、気付くのが遅いのは、アイツと似ているかな」
周りから近づく、多くの足音。黒髪は、慌てたように周りを見回す。
「仕方ないけど、今回はお預けにしとく」
「そうか、せっかく緊縛プレイできたのにもう終わりか」
「こっちも消せなかったのが惜しいけどね。 邪魔するようなら今度は生けて帰れると思わないでよ」
と言い残し、ストーカーは去って行った。
「さてと。 それでこの鎖どうしよう」
プレイ中(?)の俺を置いて
◇
朝から教室が騒がしい。何事だろう。
「おう宗治!」
席に鞄を置くと拓が話しかけて来たが、体のあちこちにガーゼがあり、腕には包帯が巻かれている。
「なんだ拓か。どうしたんだその包帯」
「何でもねえよ。ただ、特殊プレイしてたら怪我しただけだ」
「何でもあるじゃねえか」
クラスメイトが目覚めてしまうとかどんなイベントだ。
評判の良い病院を調べてあげないと。
「ねぇ、宗治聞いた? 昨日も宗治のストーカーらしき黒髪が出たって」
「え? どこで」
「宗治の家の近場だって。人が集まってきたら逃げたらしいけどね」
「そうか」
「だから教室が騒がしいんだけどね。話題になるなんて幸せ者だな」
涼袈はそう皮肉っぽく言った。あくまで皮肉っぽくである。
うん、ウザい。
「なんだよ、誇ることじゃないだろ」
「それだけ影響力があるってことだよ。だからこそ、狂信的に支持する人もまたいるからね。」
俺は何かの教祖かよ。教えを広めた覚えは無いのけどな
「はは、宗治は罪な男だぜ」
「狂おしい程に誰かに好かれるってよっぽどのことなんじゃない? 逆に拓は吐くほど嫌われ」
「ては……流石に無いと思います……」
拓よ、心当たりがあるのか。というか、変な性癖に目覚めた時点で既に手遅れか。
◇
帰宅。
なんとなくスマホを起動すると、苺からの通知があった。
『どう? あれから変なこと無い?』
『相変わらずストーカーの噂ばかり。クラスの話題がそれで持ち切りさ』
すぐに既読がつき、苺がそのまま電話してきた
『そう。それは良かった』
「嫌になるぜ」
『やっぱり宗治は人気なんだね。流石リーダー』
「そうか?」
『そうだよ。向こうでも現地の人からも転生者からも慕われてたしさ』
「そうだったんだな。それは知らなかった。ありがとう教えてくれて」
『それはどうも。そうそう、リーダーは知らないだろうけど、私達が帰った後、自分の子供に「ムネハル」って名前付ける親が急増したらしいよ』
それは人気ってレベルなのか? まぁ、俺はあっちじゃあ救世主なのは確かだが、新生児の名付けに影響を及ぼすとは複雑だ
『それに、帰還者の何人かが、私達に協力してくれるみたいだよ』
「本当にか?」
『本当本当。実はもう動いている人もいるぐらいだから』
「それは感謝だな」
『だから、今丁度宗治の元にあの3人が向かってるよ』
「ちょっと待って、あの3人って……」
ピンポーンと小気味よくインターホンが鳴り、玄関のドアの向こうから
「お久しぶりです、勇者様! お困りとのことで駆けつけました、筋肉三兄弟です!」
……派手な奴らが来た。




