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狂おしい果実から  作者: じょーかーOtuka
第一章 日常より
13/34

第13話 助け

前回のシーンから続きます。

「……本当に残念だよ。 ここまでの美女が捕まるなんてな」


「最後の負け惜しみかな?」


「いや、気付くのが遅いのは、アイツと似ているかな」


 周りから近づく、多くの足音。黒髪は、慌てたように周りを見回す。


「仕方ないけど、今回はお預けにしとく」


「そうか、せっかく緊縛プレイできたのにもう終わりか」


「こっちも消せなかったのが惜しいけどね。 邪魔するようなら今度は生けて帰れると思わないでよ」


 と言い残し、ストーカーは去って行った。


「さてと。 それでこの鎖どうしよう」


 プレイ中(?)の俺を置いて



 朝から教室が騒がしい。何事だろう。


「おう宗治!」


 席に鞄を置くと拓が話しかけて来たが、体のあちこちにガーゼがあり、腕には包帯が巻かれている。


「なんだ拓か。どうしたんだその包帯」


「何でもねえよ。ただ、特殊プレイしてたら怪我しただけだ」


「何でもあるじゃねえか」


 クラスメイトが目覚めてしまうとかどんなイベントだ。

 評判の良い病院を調べてあげないと。


「ねぇ、宗治聞いた? 昨日も宗治のストーカーらしき黒髪が出たって」


「え? どこで」


「宗治の家の近場だって。人が集まってきたら逃げたらしいけどね」


「そうか」


「だから教室が騒がしいんだけどね。話題になるなんて幸せ者だな」


 涼袈はそう皮肉っぽく言った。あくまで皮肉っぽくである。

 うん、ウザい。


「なんだよ、誇ることじゃないだろ」


「それだけ影響力があるってことだよ。だからこそ、狂信的に支持する人もまたいるからね。」


 俺は何かの教祖かよ。教えを広めた覚えは無いのけどな


「はは、宗治は罪な男だぜ」


「狂おしい程に誰かに好かれるってよっぽどのことなんじゃない? 逆に拓は吐くほど嫌われ」


「ては……流石に無いと思います……」


 拓よ、心当たりがあるのか。というか、変な性癖に目覚めた時点で既に手遅れか。



 帰宅。

 なんとなくスマホを起動すると、苺からの通知があった。


『どう? あれから変なこと無い?』


『相変わらずストーカーの噂ばかり。クラスの話題がそれで持ち切りさ』


 すぐに既読がつき、苺がそのまま電話してきた


『そう。それは良かった』


「嫌になるぜ」


『やっぱり宗治は人気なんだね。流石リーダー』


「そうか?」


『そうだよ。向こうでも現地の人からも転生者からも慕われてたしさ』


「そうだったんだな。それは知らなかった。ありがとう教えてくれて」


『それはどうも。そうそう、リーダーは知らないだろうけど、私達が帰った後、自分の子供に「ムネハル」って名前付ける親が急増したらしいよ』


 それは人気ってレベルなのか? まぁ、俺はあっちじゃあ救世主なのは確かだが、新生児の名付けに影響を及ぼすとは複雑だ


『それに、帰還者の何人かが、私達に協力してくれるみたいだよ』


「本当にか?」


『本当本当。実はもう動いている人もいるぐらいだから』


「それは感謝だな」


『だから、今丁度宗治の元にあの3人が向かってるよ』


「ちょっと待って、あの3人って……」


ピンポーンと小気味よくインターホンが鳴り、玄関のドアの向こうから


「お久しぶりです、勇者様! お困りとのことで駆けつけました、筋肉三兄弟です!」


 ……派手な奴らが来た。

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