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乙女ゲー異世界転生者(♂)は悪役令嬢を救いたい   その四百九

「普通に渡すか? いや、今さら普通に渡すのはちょっと無理か……」


 そもそも今渡したら、間違いなくさっきのリリーシャさんのお店でこのプレゼントのことを思い出したことがバレる。


 文化祭を経て、色々ともう許してくれていそうだしもう何も関係なくプレゼントってことで渡す? いや、これがパワーストーンである以上、いつ買った物か察してしまうだろうし、急にプレゼントを贈るっていうのも不自然だ。やっぱり普通に渡すのは無理だ。


 何か、何かないか……!


 自然に凜香さんにこれを渡すにはどうすればいいのか、必死に思考を回した結果、


「そうだ!」


 思い出したのは、男女混合ミスコンに参加するまでの稽古中の四五郎さんとのやりとり。



『え? 女の子との仲直り?』

『はい、ケンカっぽくなって怒らせたままなんですよね……』

『そうだね、うーん……だったらデートしてプレゼントでいいんじゃないかな?』

『え? ケンカしてるのに?』

『うん。こっちが先に仲直りのために動いたってことが大事なんだよ』

『断られても?』

『うん、断られてもね』


 あの時は半信半疑だったし結局実行には移さなかったけど、今だったらちょうど良いかもしれない。


「よし……!」


 どうするかは決まった。あとはどう誘うかだ。


「お待たせしました凜香さん」

「待ってましたわ! さあこちらへ」


 上機嫌の凜香さんがすぐにチェスが遊べるよう準備された席にちょいちょいと手招きしてくる。


 早速チェスで遊びたがる凜香さんに苦笑しながら席に向かおうとして、ピンと来た。


「そうだ! 凜香さん、せっかくですから今回の勝負は賭けにしませんか?」

「賭けチェスですの? お金は駄目ですわよ?」

「ええ、もちろんお金じゃなくて、勝った方が相手にお願いを一つ聞いてもらえるっていうのはどうでしょう?」

「なっ!?」


 勝ったらデート……いや、おでかけしてもらってそこでペンダントを渡そうと思いつきで提案してみたところ、凜香さん的には衝撃的な提案だったのか何故かオーバーリアクション。


「……ちなみになんでもいいんですの?」


 獲物に狙いを定めたハンターみたいに凜香さんの目が鋭くなる。


「えっ? も、もちろん相手に叶えられる範囲でですね……」


 これは……まずいか?


 どうやら凜香さんのやる気に火がついてしまったらしい……。


 凜香さんが勝ったら何をお願いされるんだろうか?


「ハンデはいつも通りでいいですわね?」

「あっ、はい。それはお願いします」


 ハンデなしだともう本当に勝負にならないので格好悪いけどこればっかりはしょうがない。


 凜香さんの駒から最弱のポーンの駒を二つ、後はナイトの駒を一つあらかじめ取り除いてから勝負開始。


 これでどれぐらい有利になるのかは正直わからないけど、同じハンデを凜香さんにしたら瞬殺されたレベルだったので結構なハンデなのかもしれない。


「さあ、始めましょ」

「はい、じゃあ最初はここで」


 チェスは先手が有利らしく、これもハンデにもらって勝負スタート。

 序盤は駒のハンデを活かし果敢に攻めることで優勢を保つ。


「ふふん、まだまだですわ!」


 中盤、見えてなかった動きで凜香さんにビショップを取られ一気に形勢は互角に。


 まずい……。


 優花が勝つには序盤の優勢のまま終盤まで行くしかなかったが、中盤で既に互角にされてしまった。このままでは負け濃厚。


「お嬢様失礼します。お茶の準備が……まだやってるんですね」

「あっ、めいさん」


 今日もめいさんは忙しそうにしていたけど、少し時間ができたのかお茶を入れてくれていた。


 いつもならもう一局終わってる時間なのにまだ終わっていなくて少し困ったように笑うめいさんに優花も苦笑する。


「ゆうか君、どんな感じですか?」

「あはは、見ての通りです」

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