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乙女ゲー異世界転生者(♂)は悪役令嬢を救いたい   その三百九十七

 まあ、別に優花の一票だけが凜香さんのグランプリという結果を導いたわけじゃないけど、それでも自分の応援が凜香さんのグランプリという最高の結果に結びついたという満足感と興奮。


 それを隠さず、素直に凜香さんがグランプリを取ってくれて本当に嬉しいと凜香さんへと伝えると、


「……ふ、ふーん。そ、そうですか……」


 素直に褒められて照れた凜香さんの頬が赤くなった。


「ふふっ」


 照れているのを隠そうとして必死に顔を背けたり、トロフィーの裏に隠れようとしたりするものの、一緒にトロフィーを持っているので全然ちゃんと隠せてない。


「何笑いながら見てるんですの! こっち見ないでください!」


 思わず笑ってしまうと、今度は怒りで凜香さんの顔が真っ赤になった。


「くふふっ……」

「ちょっと! また笑いましたわね!」


 それもまたおかしくてまた笑ってしまうと、結局また凜香さんに怒られてしまった。


*****


「ふう……終わったなあ」


 男女混合ミスコンも無事に終わり、女装からいつもの姿に着替えてすぐに今度は文化祭の閉会式。


 ようやく終わったという実感と共に疲れと眠気がやってきてあくびをしてしまう。


 我ながら中々に気が抜けてると思うけどそれもしょうがない。本当に色々とあった文化祭が終わったから……というだけじゃなく、それよりも大事なことを達成したからだ。


『来場者も過去最高となり大盛況の文化祭となりましたのは、ひとえに学生達の創意工夫、日頃の努力の成果が出たものと……』


 長い挨拶を聞き流しながら考えるのはこの世界、そして凜香さんのこと。


 男女混合ミスコンのグランプリを凜香さんが取ったことで、もうこの世界は真央が主人公のマジハイのゲーム世界じゃなくなったと証明されたと考えて良いだろう。


 凜香さんが危険な目に遭うのは、マジハイでそうだったから。この世界がマジハイじゃなくなったのならもう凜香さんが危険な目に遭うこともない。

 優花の当初からの目的である『凜香さんを救うこと』は、意図せず既に達成されていたわけだ。


 タイミングを考えてもきっとこうなったのは、深雪先輩の想いの欠片……竜二、翡翠に続いて三つ目の想いの欠片を優花が入手した時。


 考えてみれば主人公じゃなくて攻略キャラクターの『ゆうか』が他のキャラクターを攻略して想いの欠片を入手できていたのもおかしかったわけだけど、きっとそのイレギュラーさが今回で限界に来てこの結果になったんだろう。


『それではこれで、白桜学院文化祭閉会式を終わります。本日は本当にありがとうございました……』


 もちろん凜香さんを救うことができたのは本当に嬉しいけど、正直優花の計算外、棚からぼたもち的な感じで凜香さんを救うことができてしまったので、急に目標がなくなった感じがどうしてもしてしまう。


「これからどうしよう……」


 凜香さんを救うことができたのならもう伝説の白桜に願いを叶えてもらう必要もないので、これ以上想いの欠片を集める必要もない。


 ……いや、もうマジハイのゲーム世界じゃなくなったのなら想いの欠片も伝説の白桜も出現しない可能性の方が高いか。


 そう思えばもう元の世界に戻る手段もなくなったわけで、いよいよ残りの人生はこの世界でどう生きるかという問題になってくる。

 元々元の世界でもなりたいものや目標もなく生きてきたので、いざ自分の人生と向き合おうとすると中々に難しい。


「まあ、今はいっか……」


 まだ人生は長いそんなに焦って決める必要もない。今はただ凜香さんを救うことができた達成感に浸っていたい。


『……というわけで……それではこれより』


 乙女ゲーのマジハイ異世界に転生して、悪役令嬢である凜香さんを救うことができたのでこれで優花(おれ)の物語は終わ……。


『後夜祭を開始します!!』


 あ、そっか。後夜祭がまだあるんだった。

これで終わ……らないです!まだまだ続きます!

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